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第百十話

こんな無名作品のPV、評価、ブクマ、本当にありがとうございます!! これからも頑張ります!!!

 はい。


 結果から言うと『ダメ』でした。


 空気を押しのけ、音を余裕で置いて行く速度を出すも、普通に走っていた時と結果は変わらずアレは遠いまま。


 じゃあ今はアレに向かって工夫も無く歩いているのかと言ったら、それは否だ。


 今……



 俺は崇められてる。



 何言ってんだって感じだが、紛れもない事実だ。


 俺は台座の上に寝そべっているだけで、肉や魚、くだもの等が勝手に運ばれて来て、その肉付きと民族衣装に口元を隠すフェイスベールが相待って妖艶な雰囲気を醸し出す『獣人』のちゃんねー達が食べさせてくれる。


 俺に今あれが生えてなかった事に安堵するべきか悔しがるべきか複雑な光景だ。



 デカイノ、ツクルカ?


 バカ野郎!!!



 ……保留で。


 リョ。



 見渡せば獣人達がこぞって俺に頭を地面につけ跪く。一つ問題なのが…… 俺はコイツらに何をしてやればいいんだ?


 そもそもここに来た経緯だが本当に偶々だ。



 ・・・



 飛び上がって直ぐに気づいた。


 景色は流れるが、見据えた目標だけは一向に近づける気配が無い。


 無理だな。


 ダナ


 と言っても思いっ切り前にジャンプしたようなものなので推進力が無くなり重力に引かれるまではこのままだ。


 出来るだけ体を大きく広げ抵抗を大きくしてなんとかスピードを落とす。


 すると徐々にスピードが落ちていき重力に従い高度が下がっていき、俺はジャングルの奥地に着地した。



 オイ、ナンカイルゾ


 え? あ本当だ。



 一つは異形の化け物、多分魔物だ。結構大きく相も変わらず気色悪い。だがそれは今はいい、問題はもう一つのそれに追われる存在だ。


 見たところ二足歩行の生物で体型的に女性だ。最初はクラゲちゃんみたいに人型なだけかと思っていたが、首無し達のように衣服っぽい物を身に纏っている。


 さてどうするか。


 明らかにこの魔物に追われていた所の逃げた先に俺が現れて絶体絶命という表情なんだが。


 てか、なんかモフモフしてないか? 肌というより毛皮、足もよく見ると関節が少し違う。


 よくよく見ると頭部は人のソレではなく、凛々しい目に突き出た鼻と口。そして、フッサフサの大きい耳。


 少しだけ人に近いのか頭髪のように髪型を形作るように毛が生え、狼と人を合わせたような外見だ。


 異世界において夢にまで見られた存在。ファンタジーの定番。


『獣人』がそこには居た。



 マ、マジかよ、スゲェ。


 ソンナニ?


 そんなにだよ、これは。


 フーン。


 いやフーンって、もっと感動しろよ。


 デ、ドスル?


 あ? ああそうか。



 俺の突然の襲来に魔物も獣人も固まっている。


 俺は取り敢えず一瞬で消えるように魔物との距離を詰め腕の一薙で魔物を消滅させる。


 グシャっと体が爆ぜ肉片が飛び散り、しばらくすると霧散していく。


 よしコレで一安心と思い、獣人の方に向き直るとペタリと地面に座り込んで怯えていた。


 ま、そうだよなと思いつつ、いつも通りスキルで敵意は無いことを伝える。


 それでも簡単には信用出来ないみたいで、どうしたものか困っていると、獣人の女性は結構ヤバめな怪我をしているみたいだった。



 マズイな、このままじゃ死んじまうぞ。


 スキルツカエ


 あれ結構見た目変わっちゃうけど大丈夫かな?


 ハヤクシロ!


 わ、わかったよ。そんな怒鳴るな。



 俺の生成スキルと暗示スキルのせこい使い方。黒いドロドロの液体を生成しそれに暗示をかける。


『こいつの失った体となれ』


 液体は獣人に流れ込み赤く染まった腹部から染み渡る。少し悶えているが我慢してくれ。


 そして程なくして液体は抉られた体の肉や骨、血液や臓器へと変わっていき体を補修していく。


 獣人は呆気に取られこちらを見た後あまりの出来事の連続と疲労や緊張が重なったせいか気を失ってしまった。



 ありゃりゃ。


 ドスル?


 いやどうするって放置するわけにいかないしな。しょうがない。



 俺は獣人を抱えジャングルをゆっくり歩き始めた。


 そして丁度良く流れていた川で休んでいたら目を覚まして、ようやく俺が助けてくれたと理解したらしいのだが、急に恭しく深々と頭を地面につけ始めた。


 そんなにしなくてもと思っていると、何やら何処かに案内したいらしく俺の手を引き、その方向を指差す。


 別に断る理由もないし、何があるのか興味が沸いたので俺はその子の案内に従ってジャングルを進んだ。



 ・・・



 そんなこんなで今では獣人の集落の真ん中で崇め奉られてるわけ。


 いやー、人生何が起きるかわかったもんじゃないな。

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