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第78話 ~深雪side~ 私は、この世界にいていい

 てつとがいるから、私はもう、

 「どうして私だけこんな身体なんだろう」

 と、夜のたびに自分を責め続けることはなくなりました。


 てつとがいるから、私はもう、

 「誰にも見つからないまま、静かに消えてしまいたい」

 なんて思わなくなりました。


 人はきっと、自分で自分を閉じ込めるための「何か」を心の中に作ってしまうのだと思います。

 てつとにとってそれが私に教えてくれた『スポンジ』だったように、私にとっては、「白い自分」でした。


 みんなと違う肌。


 みんなと違う髪。


 みんなと違う目。


 私はずっと、その全部をどこかで恐れていました。


 「かわいそう」だと思われることも。


 「綺麗」だと特別扱いされることも。


 「怖い」と目を逸らされることも。


 そのたびに、自分が少しずつ世界から浮いていくような気がしていたんです。


 でも、てつとは違いました。


 てつとは、私の白さを「珍しいもの」として見ませんでした。

 「かわいそうなもの」としても見ませんでした。

 ちゃんと私を見てくれました。

 不器用で、少し面倒くさくて、でも優しくて、弱いところもある、一人の女の子として。

 だから私は、てつとの前では笑うことができたんです。

 怖がらずに、自分のことを話すことができたんです。

 これから先、きっと不安はなくならないと思います。

 視界は少しずつ狭くなっていくし、見えなくなる未来も変わりません。

 時々、自分の進む道がわからなくなる夜もきっとあります。

 それでも、そんなときは思い出そうと思います。

 てつとが見つめてくれた、あの真っ直ぐな目を。

 下手なギターを最後まで弾き続けてくれた、あの震える指を。

 そして、私に向かってまっすぐ届けてくれた、あの言葉を。

 

 「みゆが好きです」

 あの瞬間、私は初めて、自分がこの世界にいてもいいのだと思えました。

 

 だからこれからは、てつとの瞳に映る私を、嫌いにならないように生きていきたいです。

 たとえ見える景色が少なくなっても、心まで暗くならないように。


 私は、てつとと一緒に、ちゃんと明日を見つめて生きていきたいと思いました。

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