第118話:レッツ鉱石採集
―――8月23日、中野サイド―――
昼飯食って道具も準備して、ついにエーデルマウンテンに出発だ。
「カンタロー、悪いが荷車引いてくんねぇか?」
倉庫から出した物が全部乗っかった人力車みたいなやつが俺に向けられた。
「え、俺がか?」
「まぁそりゃあな。街の外出りゃモンスター出るんだから、前衛に持たせるのは無理だろ」
スキャッタとアンディーもこっちを見てる。
「ああ~。確かにな」
アンディーも遠距離攻撃タイプだが、途中で交代してもらえばいっか。
「うっし任せろ」
箱から棒が出てて四角い輪っかになってるやつに入って、人力車みたいなやつを引いた。
「結構重ぇな」
両手で棒を持って更にそいつを腹で押す感じで前に進んだ。
街を出て、樹氷って言う木が凍ったやつの間を通りながら山を目指した。ユラスたちと一緒に石集めながらレベル上げして、魔人滅殺剣も見つけてやるぜ。
お、樹氷の影から狼が出てきやがった。
「俺が行く。スキャッタは周りのチェック頼む」
「おう」
スキャッタが周りを監視して、ユラスが狼を潰した。ま、1匹だけならヨユーだな。
お、次はリスが出やがった。こいつは遠距離攻撃してもいいんだよな。
「うっし、やってや…」
手に持ってた棒を離して杖を出そうとしたら、ピュンと弓矢が飛んで行ってリスに直撃した。それでリスは死んだ。
「ナイス、アンディー」
「ちぇっ、俺もやろうと思ったのによぉ」
「さすがに荷車下ろすのを待つのはな。特にクリスタリッスは攻撃が早い」
「確かになぁ~」
まあ交代してからでもいっか。リスが同時に2匹出りゃ俺の出番もあるんだが、1匹ずつしか出やがらねぇ。
やっべ俺全然敵倒してねぇじゃん。レベル上がんねぇ。ん・・・? 千尋ちゃんレベル56になってんぞ? 大村は55のままだ。フン、やっぱ別々になってんじゃねぇか。ったりめぇだ、あんなヤツに女子がずっとついて行く訳ねぇだろうが。でもレベル同点だからさっさと離さねぇと。
「なぁアンディー、これ交代してくんねぇか?」
「ん? 疲れたか? いいぞ」
「うっし、じゃあ頼むわ」
やっと交代できたぜ。レベル上げたいってのは黙っとこう。なんか空気読めてねぇみたいな感じになるし、それ引っ張るのに疲れたのもマジだ。
狼はユラスに任せて、俺はリスだな。お、来たぞ?
「うっしゃあ、死ねぇ!」
リスはHP弱ぇから一撃だ。
「どうだ! 見たか!」
「はっはっは、クリスタリッス1匹に随分と気合入れてんな」
その調子で山ん中を進んでると洞窟みたいなのが出て来た。
「なんだあれ? 洞窟か?」
「そ。あそこで鉱石が採れるんだよ。今日はここにしよう、初日だし近場で済まそうぜ」
お、この洞窟で鉱石とんのか。
「ふぃーっ、洞窟だとモンスター出ないから休憩にもいいんだよな」
「え? マジかよ~」
レベル上げできねぇじゃん。
「おいおいカンタロー、モンスターは出ない方がいいだろうが」
「あー悪ぃ悪ぃ、つい」
そうだったな、鉱石とるんだからモンスター出たら邪魔じゃねぇか。
「これ、交代頼む」
アンディーが人力車の棒を下ろした。モンスター出ねぇならいっか。この流れなら帰り道の最初アンディーになるし。
洞窟を進んでると、行き止まりに着いた。
「んじゃ、この辺にするか」
到着だな。
「いっ、しょっ、と」
人力車を下ろした。
「ちょっと休んだら始めるか」
その場でしゃがんで休憩した。みんなは人力車に入れたリュックから飲み物とかオニギリを出してる。俺も食うか。
「うおっ、どうしたんだ? それ」
「え?」
あーそっか、四次元収納もプレイヤーだけだったな。説明したら、すっげえ羨ましそうに見られた。確かに結構便利なんだよな、これ。
10分ぐらいでみんな立ち上がり出した。
「んじゃ始めますかね」
人力車から、なんか船の錨みたいなやつが付いた棒を取り出した。なんて名前だっけ、この道具。ま、いっか。
「狙うのは銅のキラキラ光ってるやつだ。カッパライトっつって、そこそこの金になる。武器もそうだが、家具とか車とかにも使われてるメジャーな鉱石だ」
それから、カツン、カツンとみんな錨の道具で壁を掘り始めた。この尖った部分で銅のやつを掘り出せばいいんだな。
「うわ、結構ムズいな」
全然当たんねぇ。
「はははっ。初めてだとそんなもんさ。あと、地味にこれ疲れるから休憩も適当にとっていいぞ」
「オッケー」
それからも壁掘ったり休憩したり、分かれ道まで引き返して他の道に行ったりしながら鉱石集めを続けた。たまに他のチームが既に採掘やってた時は、何もしないで他のとこに言った。石集めは順調なんだが全然レベル上がんねぇ。
「5時過ぎたし、そろそろ帰るか」
ユラスのその一言で帰ることになった。帰り道だけがレベルアップのチャンスだ。みんなで掘り出した鉱石とか道具とかを人力車に積んでいく。積み終わったあと俺は人力車を引っ張る棒の輪っかに入った。
「出口までは俺が運ぶから外出たらまずアンディー頼むな!」
「あ、ああ、構わないが・・・」
うっし、千尋ちゃんに先越されてるしレベル上げねぇとな。うおっ、千尋ちゃんレベル57なんてんぞ。いつの間にか葵ちゃんも50になってるし。今日は2人でレベル上げやってたんだな~。大村のやつは55のままだな、うっし。
帰り道の途中、
<レベルが56になりました>
うっしゃレベル上がったぜ! 大村は55だ。そのままメタリックで働いてやがれ。
「アンディー、そろそろ交代すっか。俺がそれ運ぶわ」
「ああ。じゃあ頼む」
そのまま街に帰った。鉱石は市庁舎で買い取るらしいが、今日はもう閉まってるから明日寄ってから山に行くらしい。倉庫から借りた道具もそのまま酒場まで持って行って晩飯にした。スノーウィーンみてぇな田舎でも夜には酒場がやってて、サウスポートみたいには騒ぎげなかったがそこそこ盛り上がって、そのまま酒場で寝た。
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―――8月24日―――
「おーーい、カンタロー」
「ん・・・?」
スキャッタに体を揺さぶられて起きた。朝か。他の2人ももう起きてた。
「お前けっこう寝ぼすけなんだな」
「悪ぃ悪ぃ、朝弱ぇんだよ俺」
「ま、時間なんていくらでもあるからいいけどな。メシにしようぜ」
前はアラームで起きることが多かったからな。あいつら朝飯の時間とか決めること多いもんな~。なんで夏休みでゲームの世界にいんのに目覚まし使わなきゃいけねぇんだよ。
朝飯は酒場で昨日の余りモンを用意してくれた。てか宿屋いらねぇじゃん。
「なあなあ、今日はどこまで行くんだ?」
昨日は近くで済ませたとか言ってたけど、レベル上げが移動でしかできねぇから遠くがいいな。
「ん? ああ・・・」
「・・・・・・」
3人が何か考えるようにお互いの顔を見合った。
「ま、昨日と同じじゃつまんねぇし、ちょっと足伸ばしてみるか」
「だな! だよな!」
昨日とった分の石は3万ぐらいで売れた。揉めたくないから山分けらしい。
今日は昨日よりも遠いとこに行くって言ってたけど、結局マジちょっと先ぐらいの場所だった。まあ採れる石一緒だしレベルとかないユラスたちは遠くに行きたくないだろうからな。
鉱石集めが終わってスノーウィーンまで帰った。レベル56のままだ・・・やべ。昨日が56に上がったばっかで終わったし、しゃあね…
「うおっ!」
「どうした? カンタロー」
「あ、いや、何でもねぇ。ムシが目の前に出て来ただけだ」
「ムシ? 珍しいな、この街で出るなんて」
あ、しまった。適当に嘘ついちまった。雪国ってムシとか出ねぇんだっけ。ってそれより大村のヤツのレベルが57に上がってやがる! あいつ今日レベル上げやったのか? メタリックに就職するとか言ってたのにもう辞めたのかよ。ったく、結局ムリだったんじゃねぇか、ザマねぇな。
千尋ちゃんは58、葵ちゃんは52だ。やっべ、葵ちゃんもジワジワときてんじゃねぇか。追いつかれねぇようにしねぇと。
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―――8月25日―――
今日は昨日よりもちょっと先に行った。けどリスとしか戦えねぇ上にアンディーと半々だから全然経験値が増えねぇ・・・。56のまま採集場所に到着した。あ、そうだ。
「なぁなぁ、3人が鉱石採ってる間レベル上げ行ってていいか? ここんとこチョットしか上がってなくて。いいだろ?」
「「「・・・」」」
ん? ちょっと間があるぞ?
「いやいや、そりゃねぇだろ。鉱石集め手伝ってくれるのが一緒に行動する約束だっただろ?」
あー・・・マジか。そういう約束だったっけか。
「あっ、はは・・・。やっぱそうだよな、悪ぃ」
やっべオレ空気読めてねぇみたいな感じになっちまった。トレジャーハンターにはレベル上げがねぇから難しいな。
帰り道で、なんとかレベルが57に上がったが、千尋ちゃんは59、大村は58、葵ちゃんは53になってた。みんな順調だなぁ、自由に動いてるだろうからなぁ。その周りに合わせずに勝手に動くのがダメなんだけどな、ったく。でもこりゃ、レベル60一番乗りは無理っぽいなぁ・・・。
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―――8月26日―――
今日は昨日の洞窟よりも少し先に行った。
「なぁなぁ」
「ん? どうした?」
「ずっと東の方ばっか行ってっけど、西の方には行かねぇのか?」
マップ画面で見てて気になったんだが、東の方ばっか行ってるみてぇだ。
「ああ、それな」
アンディーが知ってるみてぇだ。
「南西の一帯はメタリックが管理してるんだよ。手出ししようモンならよく分からん罪を着せられてエコノミアの牢屋行きさ。他にも鉱石採れる場所はいくらでもあるから、わざわざ近づかねぇ」
「うっげ、またメタリックかよ」
「知ってるのか?」
「エコノミアにある会社だろ? スノーウィーンにも工場があるっつってたな」
「その工場の連中が鉱石採集に来るのさ。採掘場所を探し回ってる部隊もいるらしくてな、中南部をウロついてるようだ。洞窟を見つけたら片っ端から管理下におかれてトレジャーハンターは入れなくなっちまう」
「うげっ! メタリックうぜぇ!」
ブラック企業みてぇだしな。やり方がコスいぜ。
「トレジャーハンターが採った分はナチュレが買い取るからメタリックとナチュレで採掘場所のナワバリ争いみたいになってるんだが、どのみち中南部は魔人が出たことあるって話で腕の立つ者しか近寄らない。ホワイトウルフとクリスタリッスは普通に出るし、メタリックは戦闘ド素人にやらせてて上手くいってないみたいだから放置してる」
「フンッ、なんだ。コスい割にジョボいんだな」
「そんな訳で、俺らは東側しか行かねぇ」
「なーるほどな」
4時半を過ぎたぐらいで鉱石集めを終わって街に戻った。いつものように酒場に行って晩飯。騒ぎ出す前にユラスが話を切り出してきた。
「明日は休憩にしよう。サウスポート行って稼いだ金で美味いもん食おうぜ」
「は? 休憩すんのか?」
「え? ああ、まぁ・・・もう3日半も鉱石採集やってたからな。トータルで20万ぐらい稼いだから1日ぐらい遊べんだろ」
「あぁ、そう、だな・・・」
「おいおいカンタロー、レベル上げしたいのは分かるが、あんまり焦るのも良くないぜ」
「あ、あぁ、悪ぃ悪ぃ。そうだな」
あーやっぱ千尋ちゃんレベル60いってるな。葵ちゃんも1こ上がって54。大村は58のままだな、今日は休憩か? んじゃ俺もたまには休憩していっか!
「あ、でもよ、ウマいもん食うならホワイライトかグリンタウンでも良くね? 特にホワイライトの肉はウメェぞ?」
「確かに肉はホワイライトで食うのが一番なんだが、あそこは酒場もなくて夜に騒げないからな。魚はサウスポートが一番だし、ナチュレ中の特産品が集まるから肉も野菜もそこそこのモンが食えるんだよ。酒もユニオンから輸入だからサウスポートに集まる」
「ほ~~ん。確かにホワイライトとかじゃ夜に騒ぐのは無理だな」
「明日は明日で楽しむとして、今日も楽しもうぜ!」
「だな!」
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―――8月27日―――
朝飯を食った後、サウスポートまで移動した。ウマいもん食って、海で泳いで、また酒場で夜遅くまでバカ騒ぎした。最っ高の1日だったぜ!
レベルも移動中58に上がったし良しとすっか!
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―――8月28日―――
初めてユラスたち会った時と同じように、午前中にスノーウィーンに移動して午後に鉱石集めをやった。サウスポートからの移動もあったから一番近い洞窟になった。レベル上がんなかったけどしゃあねぇな。
うげっ!
夜、騒ぎ疲れて寝る前にあいつらのレベル確認したら大村と千尋ちゃんが63、葵ちゃんが58まで上がってた。マジかよ、あいつら今日何があったんだよ。気合入れてレベル上げやったのか? てか大村と千尋ちゃんたち、結局一緒に行動してんのか? いや、いやいやいやいや。
マップ画面を見ると、俺が船で通って来たブラッキからサウスポートまでの線が4本に増えてた。マジか! いや、それだけじゃねぇ! スノーウィーンまでの線も4本だ! あいつらスノーウィーンまで来てやがる! マジで!?
いや、でも俺はもうユラスたちに誘われて一緒に行動してんだ。今さら呼び戻されても簡単には戻らねぇぞ。てか俺がこの村にいることも分かるはずなのに探しにも来ねぇし・・・勝手にしろってんだ。
でもレベル葵ちゃんにまで追いつかれてマジやべぇ・・・。
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―――8月29日―――
酒場でスキャッタに起こされる。いつものように起きて、いつものように雪山に行った。昨日とは違う場所だが、何日か前に行ったとこだ。
鉱石採集が終わって、何事もなく街に帰って来た。レベルはギリ59に上がった。うっし、あと1で60だ。って葵ちゃんも59になってるし。千尋ちゃんも64に上がってて、大村は63のままだ。
ん・・・?
マップ画面を見たら俺たちが鉱石集めに行ってるとこよりも西側、メタリックの縄張りになってる場所に誰かが通った線があるぞ・・・? 2本が俺よりもちょい西ぐらい、1本がそのさらに西だ。まさかアイツらまだメタリックの調査続けてたのか? 確かに転勤無視したら刑務所行きとかはヒデェけどよぉ、そんな調べ回ってなんとかなるモンなのか?
っと、いけねぇいけねぇ、メタリックなんか気にしてる場合じゃねぇ。あいつらよりレベル上げて魔人滅殺剣みつけねぇと。
「なぁなぁ、」
「ん? どうした、カンタロー」
「明日さ、魔人滅殺剣探しに行かしてもらっていいか?」
「は? あー・・・、うーん・・・。・・・どうする?」
ユラスがスキャッタとアンディーに顔を向ける。次にしゃべり出したのはアンディーだ。
「あれは多分、吹雪の谷より向こうにあるからなあ。魔人に遭遇する確率も上がるし、マウンテンウォーラスにフリーズシーホースも出る。そんなオイソレと行くのは・・・」
うげ、やっぱキツいか。アンディーがスキャッタの方を見ると、スキャッタも反応した。
「それに、魔人滅殺剣はもし見つかったらカンタローがもらっていいとは言ったが、積極的に取りに行くのはなぁ・・・」
「う・・・」
ちょっとこれ拒否られそうだな。でもそんな約束とかの話してたか?
「こ、この通りだ。頼む・・・! 今までも鉱石集め手伝ってきたから良いだろ?」
椅子に座ったまま両手を太ももに乗せて、頭を下げて頼んだ。あれ・・・なんでオレ仲間相手にこんなことしてんだっけ・・・?
「うーん・・・」
「どうするかなぁ・・・」
なんか、ヤバそう。いや、でも俺だって金にしかならねぇ鉱石集めに付き合わされて、戦闘もロクにさせてもらえないのを我慢してきたんだ。たった1回のワガママがダメなのか? でもここでキレたらアイツらの時と何も変わんねぇ。せっかくの新しい仲間なんだ、我慢しねぇと。
「ま、1日ぐらい良いんじゃないか?」
「マジ?」
ユラスがそう言ってくれて、思わずバッと顔が上がった。
「カンタローはこれまで鉱石集めの経験がなかった。似たような日々を繰り返すことに慣れてないんだろ。吹雪の谷の先ではエーデライトも採れる。確かに強いモンスターも出るが、カンタローがいるから1人増えてる。1回ぐらい行ってみてもいいだろ」
それで、スキャッタもアンディーも納得したみたいな感じでフゥッと息を吐いた。
「ま、確かにな。俺らも、鉱石採集やるからには多少のリスクを負わないとな。たまにはエーデライトも狙ってみるか」
(厄介な拾いモンしちまったな。ま、いずれ耐えられなくなって出て行くか)
「2人がいいなら、俺もいいぞ。たまには、戦闘の方も慣らさないとな」
(カンタロー、確か仲間と揉めて1人になったんだったか。納得だな)
「んじゃ決まりだな。ただし、今回だけだぞ。それと、魔人に遭遇したら絶対に引き返す。カンタロー、これでいいな?」
スキャッタ、アンディーがOKした後、ユラスが指を立てて約束事を話した。ヤバくなったら逃げるのはいいが、今回だけ? さすがに1回じゃ見つかんねぇと思うんだが・・・。
「お、おぅ・・・」
なんか歯切れの悪い返事になっちまった。せっかく俺に合わせてくれたんだからちゃんと礼いわねぇと。
「サンキュな、みんな!」
どうなるかとも思ったが、みんなOKしてくれた。仲間ってのはこうでなくっちゃな。
「さすがに日帰りは無理だから、明日は吹雪の谷を越えるところまで行って、適当な洞窟で野営しよう。明後日からは状況次第だが、長くとも2泊だ。それでいいな?」
「「ああ」」
「おう!」
野営ってことは、キャンプか? おぉ、なんか冒険って感じがするな!
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―――8月30日―――
今日は、スキャッタに起こされるよりも前に起きた。今日はいよいよ、魔人滅殺剣探しに出発だ!
吹雪の谷ってのがあるのと、その先じゃ新モンスターにエーデライトって鉱石も出るらしい。楽しみだな。
朝飯を食った後、食料とか飲み物、火おこしの道具とかも人力車に積んで出発した。待ってろよ魔人滅殺剣!
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―――8月29日、大村サイド―――
MP回復係がついてからの作業中、高松さんからメッセージが入った。雪山を歩き回っていた班は、新しい採掘場所探しが仕事らしい。こっちが採掘班なら、あっちは探索班と言ったところだろう。
怪我しても見捨てられるという劣悪な環境。それが野放しにされている。ナチュレ王国側はこれをどこまで把握してる?
メタリックの背後にはエコノミア政府がいるから、スノーウィーンのような小さな村では対抗できない。だからこそ関わらないことにしたのだろう。ナチュレとしても、下手に首を突っ込むと国際問題に兼ねない。スノーウィーン工場で寮生活をする社員も住民登録はエコノミアに残すらしいから、国民でもない人のためにエコノミアを敵に回すようなリスクは取れないだろうな。
その探索班よりはマシに思えるが、この採掘班も楽ではない。さらに俺はツルハシを振るよりも楽な作業だが、午前中の疲れが残ってるのか手を動かすのがやっとだ。顔をしかめずにはいられない。昨日の疲れも取れてなかったのだが、これではますます疲れが溜まる一方だ。
MP回復係は、ほぼ3分に一度俺のMPを400回復させる作業を続けているのだが、平気そうだ。生命力を使うはずなのだが、かなりの生命力の持ち主なのか、時々口に運ぶ水分や食料で回復しているのか。
俺を含め、採掘作業中のメンバーには何も与えられない。そんな中MP回復係はゴクゴクボリボリ。さらには監視係が時々マッサージをする。1人だけ優遇されてる人間が目に映るのも、精神的にキツい。監視係が(ルールに従ってるのか)何も口にしないことが、唯一の救いだ。
3時になった。休憩を、くれ。頼む。他のメンバーは時間を確認する手段もないから、かなり辛いだろうな。
ピ~~~~~~ッ!
ここで長い笛。皆ツルハシを下ろし始めた。よし、休憩だ。
次回:雪労働者の暮らし




