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偶然、女装した俺を“女の子”だと思い込んだ先輩に口説かれ溺愛されています!?  作者: 夜天 颯


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7.先輩に好きな人がいるか聞いたら、、、、

「……ほんと、なんなんだよ」


 駅からの帰り道。


 さっきまでのことを思い出して、思わず呟いた。


 凛花先輩とのスイーツ。


 距離、近すぎだろ。


 普通あんな近くないだろ。


 というか――


「……あれで普通なのか?」


 わからん。


 あの人、基準がバグってる気がする。


「……」


 考えても仕方ない。


 そう思っていた時だった。


「――朝比奈」


「っ!?」


 急に名前を呼ばれて、反射的に振り向く。


 そこにいたのは――


「……先輩」


 白瀬凛花先輩。


 さっきまで“唯”として会っていた相手。


 でも今は。


 学校の先輩として、そこにいる。


「まだ帰ってなかったんだ」


「……まあ」


 距離は普通。


 さっきとは全然違う。


「先輩こそ」


「ちょっと寄り道してた」


「そうですか」


 知ってる。


 とは言えない。


「……」


 一瞬、沈黙。


 なんか気まずい。


 さっきまで一緒にいたのに。


 いや、違うか。


 “別人”としていたんだよな。


「……」


 ちらっとこっちを見る。


 すぐ逸らす。


 なんだそれ。


「……あの」


「ん?」


 気づけば、口が動いていた。


「少しだけ、時間ありますか」


「……」


 凛花先輩が少しだけ目を見開く。


「いいよ」


 あっさり頷いた。



 近くの公園。


 ベンチに座る。


 夕方の風が少しだけ涼しい。


「珍しいね」


「何がですか」


「朝比奈から話しかけてくるの」


「……そうですか」


「うん」


 少しだけ笑う。


 やっぱり、この人はこの距離が普通なんだな。


「……」


 どう切り出すか迷う。


 でも。


 なんとなく。


 聞かないといけない気がした。


「……先輩って」


「うん」


「好きな人、いるんですか」


 言ってから思った。


 何聞いてんだ俺。


 重くないかこれ。


 でも。


「……」


 凛花先輩は、少しだけ黙った。


 その沈黙が妙に長く感じる。


「……どうして?」


「いや、その……」


 理由なんてない。


 ただ。


「……なんとなくです」


「ふーん」


 先輩が空を見上げる。


 その横顔が、少しだけ遠く感じた。


「……」


 答えない。


 やっぱり変なこと聞いたか。


 そう思った時。


「いるよ」


「……え?」


 あっさりだった。


「好きな人」


「……」


 心臓が、少しだけ跳ねる。


 なんでだよ。


「……そうなんですね」


 なんとかそれだけ言う。


 それ以上、何を言えばいいのかわからない。


「気になる?」


「……」


 少しだけ迷って。


「……まあ」


「素直だね」


「そうでもないです」


 笑われる。


 でも。


 なんか、少しだけ悔しい。


「……どんな人なんですか」


「気になるんだ」


「ちょっとだけです」


「ふーん」


 凛花先輩がこっちを見る。


 じっと。


「……」


 なんだその目。


「……優しい人」


「……」


 思い当たるやつ、いくらでもいるだろそれ。


「あと」


「はい」


「ちょっと鈍い」


「……」


 なんか刺さった気がする。


 気のせいか?


「それと」


「まだあるんですか」


「あるよ」


 楽しそうだな。


「そういうとこ、ずるい人」


「……」


 一瞬、言葉が詰まる。


 どこかで聞いた気がする。


 さっき。


 いや、なんでもない。


「……変わってますね」


「そう?」


「はい」


「でも、好きなんだよね」


「……」


 軽く言うな。


 そんなの。


「……」


 なんか、変な感じだ。


 知らないはずなのに。


 妙に引っかかる。


「……朝比奈」


「はい」


「どうしたの」


「……」


 どうしたんだろうな、ほんと。


「……なんでもないです」


 そう言うしかなかった。


 わからないから。


「……」


 少しだけ沈黙。


 でも。


 さっきよりは、少しだけ距離が近い気がした。


 物理じゃなくて。


 なんとなく。


「……帰るか」


「うん」


 立ち上がる。


 並んで歩く。


 さっきまでより、少しだけ自然に。


「……」


 でも。


 頭の中にはずっと残ってる。


 “好きな人、いるよ”


 その言葉が。


「……めんどくせぇな」


 小さく呟いた。


 たぶん。


 これ、もう――


 気のせいじゃない。


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