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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第23章 異世界崩壊編

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地下経済は、地下にある

 ――回転する中華テーブルを囲む俺たちとノーム。

 テーブルの上には豪華な中華料理。ノームのおじいさんは厨房とテーブルを行ったり来たりしてめっちゃ歓迎してくれる、

「丹波さんたちから話は聞いてますじゃ。まずはたくさん食べてほしいですじゃ」

(完全にレジスタンス仲間だと思われてる……)


 壁にはうざいくらい『魔王モール打倒』などと書かれた張り紙や横断幕がある。

「他の皆さんも、上の方でゆっくりされているはずですじゃ」

 上もこんな雰囲気なのか気になったが、安全なことは間違いないようだ。


 ひとまず、出された酒と食事を取ることにした。

 目の前のシュウマイを一つ口に放り込む。……うまい。肉汁がほどよくしみ出してくる。結局こういう堅実な料理が一番信用できる。


「やっぱり気になるのはヒルデ師匠なんだけど……。ん、ちょっと待てよ。全員、ヒルデ師匠が生きていたのに驚かなかったように思えるけど……?」


 イゴラくんが元気のない様子で答える。


「ヒュームンさんが教えてくれたんです」

 レンゲで麻婆豆腐の豆腐のみを食べている。四角いの、ほんと好きだな……。

「なるほど……。皆を連れてくるときに話してくれたのか」


「まあ、今回間に合うかどうかまでは微妙だったようですけど」

「ヒルデ師匠……、魔法を使ってたみたいだけど」

「それは、僕にもわかりません。とにかく、ボクは卵の殻のような防御壁すら出せません」

 イゴラくんは魔法が消えたことが相当堪えているようだ。いつもは意外とどっしりとしているのに、魔法がなくなったらこうも変わってしまうのか。


 ちらりと、魔法を無くしたもう一人を見る。

「はあ……」

「ルルドナ、大丈夫か」

 大きなため息をつくルルドナに声をかける。

「はあ~……」

 紹興酒をがぶ飲みしている。がぶ飲みするようなお酒でもないような。

「おいおい、元気ないな」

「そりゃそうよ……」


 全ての力及ばず、負けたのだ。しかも完敗に近い。

「3億売り上げがあったからいいだろ」

 胸ポケットから小切手を出す。

「そんなの、いつ受け取ったのよ……」

「土下座したとき」

「ちゃっかりしてるわね……」

 そっちだってお礼言ってただろ、とツッコミをしたかったがそれすら許されない雰囲気。


「おいおい、落ち込みすぎだって。俺たちは戦うためにこの世界に来た訳じゃないぞ」

「あんたはそうだろうけど、私は……。それにもう、強力な重力魔法も使えないし……」


 途中に、助けが来てくれなかったら……。

「まったくこれだけら好戦的なやつは……戦闘民族かよ」

「なんとでも言いなさい……。もう、魔法が使えないのよ……」


 魔王に負けたことより、魔力がなくなったことのほうが堪えてるようだな……。

「俺なんて最初から使えないんだが」

「それは……、わかってるけど」


 正直、あまり実感はなかった。普段の俺には、魔法なんて無かったし。

「雑貨屋の仕事には必要ないからいいだろ。元気出せって。だいたいもう相手だって魔法使えないんだろうし」

 例外はあるみたいだけど……。

「用心棒失格ね……」

「あの、用心棒として働いてもらってる覚えはないんだけど」

「夜勤は用心棒をかねてるのよ」

 そうだったのか。


 暗い雰囲気の俺たちに、ノームの爺さんは明るく声をかける。

「皆さん、まずは食べて元気になるですじゃ! それに、魔法が消えることはある程度予想通りですじゃ」

「え?」

 ノームの爺さんは、俺たちの目が丸くなるのを楽しそうに見つめる。

(魔法が消えることを、予想していた……だって?)


「地下経済を知ってる者にとっては、常識ですじゃ」

 得意気なノームの顔。

 ……だから、地下経済の意味、違いますよ……。


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