表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/87

“蛇”の巣穴



 息を切らせながら裏道を走ぬけて、細身で長身の顔中を傷だらけにした男は、王都の外れにあるあばら屋に辿り着いた。


「くそったれが。余計なことしやがってあのガキ」


 荒れた息と苛立ちに顔を歪めているのは、ひったくりに失敗した男だった。

 じめじめと薄暗いあばら屋の奥から粗野な声がかかる。


「よお、どうしたどうした?」

「どうしたもこうしたも邪魔されたんだよ」

「ははっ、オイオイ。まさかしくじったのか?」

「ほっとけ!」

「ひったくりでヘマするヤツがいるのかよ」


 ゲラゲラと嘲笑が響いた。

 闇の中には多くの気配があった。


「う、うるせえ!」


 顔を赤くして怒鳴り返す男の前に、ゆらりと影が立っていた。つい今まで、誰もいなかったのに、はじめからそこに居たかのような自然さでその影は立っていた。影は研いだばかりの刃物のような視線を向けてきた。


「……」

「お頭!?」


 無言の、ただし殺意混じりの視線に男は狼狽した。


「お前は事前のちょっとした小細工も満足にできないのか? おい?」

「いえ、そんなことは」

「言い訳は要らん。現に失敗しているじゃないか。おい?」

「す、すみません!」

「大仕事が待ってるんだ。しっかりしろ。次は、無いぞ」


 男の傷だらけの顔はすっかり青ざめていた。

 背筋をピンと伸ばし返事をする。


「はいっ」

「あと2軒はどうしたってやらねえといけねえんだ。気合い入れろ。他の奴らもだ。人の失敗を(わら)ってるってこたぁミスしねえってことだよなあ?」


「お頭」の言葉が闇の中に緊張をもたらした。


「かなり警戒されてるようだがやることはかわらねえ。はじめてってわけじゃねえんだ。――全て計画通りにやるぞ。根こそぎ奪って、全員、殺せ」

「「おうっ!」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ