表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/87

宰相の評価



 僕が開拓地を訪れて、その後どうなったかというと――


 あの日以来、狼の出現頻度は激減し、開拓者たちは意気軒高。ゴーレム20体の活躍もあって農地開墾は大いに捗った。遅延していたスケジュールを一気に巻いて開拓は完了。ちなみに使命を果たしたゴーレムたちは姿を変えて今も役に立っている。ウッドゴーレムは小屋を建てるための材木に、クレイゴーレムは外敵を阻む土塀に。


「陛下はこのゴーレムの用途をあらかじめ想定していたのですか?」

「勿論ですよ。ザイード宰相」


 執務室で、俺はザイード氏に農地開拓の件を報告していた。

 成果は上々でザイード氏もそこは認めてくれたようだ。


「……大したものですな」

「フン。わかればよいのじゃ、若造めが」


 俺の代わりにエンズが薄い胸を反らしてふんぞり返る。

 

「で・す・が」


 ザイードは一度表情を柔らげたが、すぐに厳しいものへと変えた。


「現地で狼退治とは無鉄砲にも程があります! そんな軽率な真似をなさるとは国王としての自覚はないのですか!?」

「い、いえ、あの、でもですね。僕が居たから民にも開拓地にも被害が出なかったわけですし……」

「そういうのを結果論というのです」


 ぴしゃりと言われてしまった。


「でも、放置してたら最悪の場合、犠牲者が出ていた可能性だってあったと思うんですよ」

「その点は仰る通りかと存じますが、そういった時のために騎士団が存在するのです。王が軽率に前線に出てなんとしますか」


 正論が耳に痛い。

 しょんぼりする僕とは対照的にエンズは笑っていた。


「若造が説教したくなる気持ちも、わからんではない。我が主はどうにも危なっかしいところがあるのでな。ま、それはさておくとして、じゃ。此度の我が主の手並みはお気に召したかな? んん?」

「せ、成果だけ見れば期待以上と言えます」

「どんな相手であっても正当な評価を下せるというのは美徳じゃな」


 ニヨニヨと笑うエンズに覗き込まれてザイード氏は顔を背けた。


「……狼退治に関しまして、今回は不問とします。が、無茶はおやめください陛下。ご自身だけの身体ではないのですから!」

「あ、はい。今後は気を付けるようにします」


 僕は曖昧に頷いた。

 なるべく気を付けよう。うん、なるべく。


「それでは私はこれで失礼致します」

「はい。お疲れ様です。結果報告を聞いてくれてありがとうございました」

「こちらこそありがとうございます陛下。またご相談させていただく際にはよろしくお願いいたします」


 早口でまくし立てて一礼するとザイードは執務室を退出していった。

 僕はエンズと顔を見合わせた。


「うーん……。ちょっとは評価してもらえったっぽい、かなぁ?」

「まだまだあの堅物の信用を得るには足らんがの」

「そうだよね」

「一日やそこらで先代と同じだけの信を得られるものか」

「だよねぇ」

「我に相応しい王になる日を楽しみにしておるぞ」

「アッハイ。が、頑張ります……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ