第九話『界獣誘拐の闇と召喚士の対決』
(なんだこいつ......)
フードの人物は通りを確認している。 その様子から敵意はないと判断して、一応言われたとおり木箱の裏に座る。
「......おい、どこに行った」
「こっちに来たはずなんだが」
「探せ、そんなに遠くには行ってないはずだ」
そう人相の悪い男たちが俺がさっきいた場所で話していたが、なぜかこちらに気がつかず去っていった。
「......あいつら俺をつけてたのか」
「あいつらは【ルベン商会】っていう裏社会のやつらだよ」
そういってフードをぬいだのは、俺と同い年ぐらいの少女だった。
「あ、ああ、それでなんで助けてくれたんだ」
「君、召喚士だよね。 クリエ」
そういうと、少女の肩にカメレオンのようなものが急に現れた。
「界獣か...... 召喚士なのか」
「ええ、私は【リシェ】」
「俺は......」
「ナナミでしょ。 ロックトードを倒したって噂は聞いてるよ」
「ああ、そうか。 それでなんで俺を助けたんだ。 同じ召喚士だからか」
「まあそれもあるけど、力を貸してほしいんだ」
「力を貸す? どう言うことだ」
「今、界獣がいなくなってるでしょ。 私の界獣もいなくなったの。 それを一緒に探してほしい。 君もそうなんでしょ」
「帰らせればいいんじゃないか。 俺は無理だけど」
「それができないの。 何か阻害するものがいるのか帰らなくて......」
心配そうにリシェは目を伏せた。
「わかった。 今俺の界獣で調べさせている。 さっきの通路にあった建物が怪しいらしい」
「......やはり、ルベン商会のやつらね。 私も噂を聞いてやつらを調べていたの」
「ただ、やつらが周りをうろついているし、証拠もなしに突撃したら不味いだろ。 逆に犯罪者として捕まるしな」
「そこは任せて...... クリエ」
リシェの肩にいたカメレオンが姿を消した。
「消えた......」
「クリエは姿を消せる。 私たちもよ」
「それでさっきのやつら俺たちに気づかなかったのか......」
「ただ消せるのは姿、しかも私の近くだけ、音や声は聞こえるから静かにね」
「わかった」
俺たちは通路に戻り、さっきの建物へと近づく。 建物はかなり大きく窓などはない。
「これだけでかい建物なのに、窓もない......」
「ええ、中に入りたいけど、開くのを待ちましょう」
しばらく待っているとドアが開いた。 中からぞろぞろと男たちがでてくる。
「まだ足りないな。 特殊なのがいない」
「もうこの町のやつは狩りつくしましたよ」
「所有者がいるやつは反撃されたらことだ。 慎重に行くぞ」
そういって外に出ていく。
(やはり界獣のことか......)
俺たちは開いているうちにドアから中へと入り込んだ。
建物は倉庫のようで、誰もいない。
「倉庫か......」
「こっち!」
リシェが呼んだ。 行ってみると地下への階段があった。
「行ってみよう」
俺たちは階段をおり、地下へと向かった。
そこには多くの大小の箱がおいてあった。
「なんだ」
中にはみたことない動物たちの彫像がある。
「これ界獣よ...... 彫刻かな?」
「そんなものよりルエルだ」
ルエルを探して見回るが、そこには彫像の箱があるだけだった。
「いないな...... リシェのは?」
「いない。 奥にも部屋があるみたい。 みてみましょう」
奥の部屋をみてみる。
「なんだこれ......」
そこには大きな白い鱗の双頭の蛇がいた。
「蛇、これも界獣か......」
「ええ、でもこれは......」
その時、蛇が目を開けその鎌首を持ち上げる。
「何者だ...... いない」
蛇の後ろから男がのっそりとでてきて、周囲を見回した。
蛇がシャーと鳴いた。
「......いるな。 ベルベラ」
そう呼ぶと白い蛇は口を開け、白い霧を吐き出した。
(まずい!)
「シェリー!」
シェリーの光が霧に触れた瞬間、まるで凍りつくように動きを止め、白く硬質な石へと変わって地面へと落ちた。
「なっ! これは」
「石になってるんだ! さっきみたあれは界獣を固めたものだったんだよ!」
「ほう召喚士がいるのか......」
男はニヤリと笑う。
「何のために界獣をさらっている」
「金になるからに決まっているだろう」
移動して距離を取りつつ話を聞きだす。
「界獣の売買は禁止されているのよ! 発覚すれば重罪なの!」
「知っている。 だからこそ金になるんだろう」
移動してもその方向に話しかけている様子から、俺たちの移動に気づいた感じはしない。
「やつはこちらの位置がわからない...... 背後をとろう」
「ええ」
俺たちは後ろに向かう。
「無駄だ...... ベルベラ」
ベルベラと呼ばれた蛇は移動する俺たちの方をみて霧を吐き出す。
「だめだ! こいつこっちの場所がわかる!」
蛇がその体をくねらせこちらに迫る。
(くっ、姿を温度か何かで探知しているのか...... あれを)
「エフェネ!」
空間からエフェネが現れると、無数に別れ部屋中を舞った。
蛇がそちらに気を取られている。
「ちっ! 何してる! ベルベラ! 周囲ごと石化させろ!」
蛇の霧が周囲を石へとかえる。 ただエフェネは次々と分裂する。
「クアト!!」
クアトが現れ口から衝撃を放つと、男を壁へと吹き飛ばした。
「ぐはっ!!」
男はそのまま膝から崩れ落ちると、蛇もその姿を霧のように消した。 シェリーの石化が解ける。
「戻ったかシェリー。 よし、こいつからルエルの場所を聞き出さないとな」
「ええ、おそらく界獣たちも石化が解けたはず」
俺は男を担いで建物をでた。




