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第四十二話『裏通りの誓い──ザメルの覚悟』

「裏通りか...... シェイネス」


「ええ、行きましょう」


 俺たちは店をでると、細い路地を進み裏通りへとでた。 そこは薄暗く、異臭もしている。


「こいつらから聞いたほうがはやそうだ。 頼むよシェイネス」


「はい」


「なんのようだ」


 俺が後ろを振り向くと、三人の人相の悪い男たちがいた。 酒場からつけてきていた。


「お前ら、クリエイスになんのようだ」


「前に世話になったから礼をいうつもりなんだ」


「そうか...... やつはもう死ぬからその必要はないぜ」


 いつの間にか後ろにも六人ほどの男たちがいて、剣をぬいた。


「召喚士相手に剣か......」


「ただのチンピラのようですね」


「ああ!? なめるなガキ!!」


 男たちはこちらに迫る。


「マジェルク」


 シェイネスが呼ぶと、男たちが次々と穴に落ちた。


「ぐあっ!」


「うわっ!!」


「な、なんだ!?」


 男たちは混乱している。


「ギュラ」


 ギュラが炎を吹き出した。


「ひぃ!」


 穴の中で男たちは声をあげた。


「お前たちはなんで俺たちをつけた。 いわないとこの中で丸焼きだぞ」


「ま、まて!! 俺たちはクリエイスに協力しそうなやつを監視するように言われただけだ!」


「どうやら嘘ではなさそうですね」


「ああ、そうだ。 そいつらはここらをうろついているだけのただのチンピラさ」


 後ろから声がする。 そこには長髪の整った顔の女性がいた。


「あんたがザメルか」


「ご明察、お前らクリエイスさまに用なんだって」


「ああ」


「ならこっちに来なよ」


「どうします? 信用できそうにありませんが......」


 そう不快な顔をしてシェイネスがいう。


「だけど、ここしか手がかりがないですよ」


 そうルエルがいうと、シェイネスは黙る。


「......そうだな。 一応すぐエトゥロを出せるようにしておくか」


 俺たちはザメルについていった。



「ここが私の隠れ家だ」


 一軒の宿屋のような建物にはいった。


「おいてきたけど、あいつらどうするんだ?」


「問題ない。 ここはここを牛耳る【クレードル商会】という組織の縄張りだ。 手出しはしてこんさ」


「そうか。 それでクリエイスさまはどこにいる」 


「あってどうする? まさか再会だけが目的じゃないだろう」


「できるなら、この国から俺たちのところに来て欲しい」


「お前たちのところ」


(これはいうべきか......) 

 

 ルエルとシェイネスを見ると、うなづいた。


「俺たちはリルという王契将の町にいる。 そこで魔巧具の技術者を必要としていて、クリエイスさんなら詳しいはず」


「リル、新しい王契将か! ......まあ、あの人は研究、技術者でもあるからな。 お前らがあいたい理由がわかった。 私もあの人をこの国から逃がしたい、利害が一致するな」


「軟禁場所を教えてくれるのか?」


「ああ、ただ軟禁じゃないな。 監禁されている。 時間がたったら殺されるだろう」


「それならはやく行こう」


「まて、今はさっきの奴らみたいに、グランバルトの兵が国中に私兵等を配置している。 クリエイスさまは信奉者が多い、反乱を警戒してのことだろう」


「だが、はやくしないと手遅れになる」


「帰りのルートも確保が必要なんだ。 取りあえず、今日はここで泊まれ、明日つれていく」


 不安ながらも、ルエルとシェイネスと話し合い、その日は泊まった。



「さあ、こっちだ」


 俺たちは商人風に偽装して馬車で町をでた。


「それでどこにいる?」


「シビアの森の小屋にとらわれている。 ここから半日いったところだ」


「あなたはなぜクリエイスさんを助けようとしてるんです。 かなりのリスクがありますよね」


 シェイネスが、そうザメルに聞いた。


「......私は王家を憎んでいた。 前王だったクリエイスさまの父親はいち早く魔巧具の製造に取りかかり、莫大な利益を得たが、その技術によりさまざまな仕事がなくなった。 職人だった私の家もそうだ。 親父は荒れ私がガキの頃、家をでていった......」


「それなら恨みもあったんだろう」


「ああ、私はガキの頃から昔あの裏通りでスリをしていたのさ。 それでまだ王になる前のあの人に捕まった。 まあ牢獄行きだと思っていたが、あの人は私に謝ったんだ。 政治が悪くてすまないとな」


「珍しい人ですね。 貴族や王族は民のことなど目もくれないのに」


 ルエルがそういうと、ザメルは笑う。


「そうだろう。 あの人はそういう変な人だ。 王になったら貧富の差をなくすとそう約束していた。 それはまだ道半ば、グランバルトに王座を奪われた」


「それで助けようとしてるのか」


「......ああ、あの人を助けてこの国を救う」


 そのザメルの目は覚悟を映しているように見えた。

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