第三十六話『封印の静けさと崩れた王座』
「おい! できたか! 来るぞ!!」
ジアルガの背中にのり、シャガが走ってきた。 その後を無数の蛇が蛇行しながらついてきている。
「ここまでとべ! クアト」
ジアルガが飛ぶと蛇たちが穴へとバラバラと落ちていく。 落ちなかったものも隠しておいてクアトの衝撃波で穴へと落ちていった。
「これで全部か」
「ああ、仮にいても数が少なきゃただの蛇だ。 増やしさえしなければそれほど驚異でもないだろ」
深い穴の中で蠢く蛇を見てシャガはいった。
「よし、頼むよシェイネス」
「......ええ」
ジアルガが折った太い木を、何本か穴の上に渡して地面に押しつけ穴を塞ぐと、シェイネスが呼んだ灰色のカエルが、口から石化液を出して石化させた。
「これでこいつらはもうでてこれないな。 しかし倒せないこんなモンスターがいるとはな」
「......それだが、ナナミちょっといいか」
シャガが俺を呼び、耳元でささやいた。
「......あいつらの腹に数字があった。 リルにあった番号に似ていたんだが......」
「なんだと...... それなら、これも人為的に作られたモンスターか」
(また、あの番号か...... 一体だれが作っているんだ)
「報告は聞いた。 助かったぞ、我らのなかにあいつを止められる界獣がなくてな」
そうシェルディオさまが笑顔で礼を述べた。
「ええ、それはこのシェイネスが力を貸してくれたおかげです」
「そうか、ガルグルムの...... 礼をいう」
「いいえ、私はいわれた通りしただけですので......」
そういつもの無表情なシェイネスがいった。
「それで......」
「ああ、聞いた。 まさか我が国にも何者かの手が迫っていたとはな...... これからは更に警戒が必要だろう」
「それでは俺たちはこれで」
「では、失礼します。 シェルディオさま」
リシェがそういうと、シェルディオさまは止めた。
「そなた、大きくなったな」
「えっ? 覚えておられたのですか?」
「ああ、一目見てな」
「あのときはありがとうございました」
目を潤ませ、礼をいうとリシェはその場を後にした。
「知ってたのか?」
「ええ、私がまだ幼い頃、モンスターに襲われた私をシェルディオさまが助けてくれたの」
「それで......」
「その後国から連れ出そうとしてくれたんだけど、王契将を快く思わない、あのときの国の命で私を国外には出せなかった。 でも私のことをいい里親に託してくれたお陰で、生きてこれたの」
「そうだったのか。 それなら憧れるのもわかるな。 俺もフィグルスさまに助けられたから理解できるぜ」
シャガがうなづく。
「そうか、ならこの国に来たがったのはそのせいだったのか」
「ええ、本当なら私が手伝いたかったけど......」
「かまわないさ。 俺が代わりに手伝ったからな。 俺たちは家族だろ」
「ありがとう......」
「これから、どうされますか?」
シェイネスがそう聞いた。
「お前、このタイミングで聞くか」
シャガがそうあきれたように言った。
「?」
シェイネスが不思議そうに見た。
「ああ、一度町に戻る。 二人も来てくれ」
「わかった」
「はい」
俺たちは一度、自分達の町へと戻ることにした。
「おお! これは!」
シャガが驚きの声をあげた。 久々に見る町は多くの建物が並び、国の王都並みの威容を誇っていた。
「俺も久しぶりにきたが、ここまでできているとは思わなかったな」
「すごいね!」
「すごい、すごい!」
「すごいです!」
「本当にこんな町を作ったのか......」
そうリシェや、リル、イズ、ティモシーが口々にいった。
「おお、旦那! 帰ってきたか! どうだこの町!」
そう、俺たちに気づいたバレス親方は上機嫌で近づいてきた。
「ああ! すごいよ! ここまで作ってくれるとは!」
「まあな! かなり骨を折ったが、我ながらよいできだ!」
親方は自画自賛した。
「......とはいえ、ほとんど誰も住んじゃいないぞ。 住人を集めないと、家ってのは人が住まないと早く痛むぜ」
「ふむ、確かに、住人を集める暇がなかった。 さてどうするか?」
「親方ー!!」
そう大工の一人が慌てるように走ってきた。
「あん? どうした?」
「じ、実は、王契将の一人、城の王が討たれたとか......」
「えっ!?」
「それはどういうことです!!」
シェイネスが大工に詰め寄る。
「い、いや、俺もよくは町に買い出しにいったらその話で持ちきりで......」
「......行ってみよう。 すまない親方、作業は続けてくれ」
「わかった」
俺たちはその話を確かめるべく、町へと向かった。




