表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/60

第三十五話『分裂する蛇──霧の湖の異形』

「ここか湖か」 


「鬱陶しい霧だな。 よく見えん」


 湖まで着くと、濃い霧が立ち込めていた。 


「それでそのモンスターとやらは、どこにいる?」


 シャガはそう聞いた。


「......あれだな」


 湖のほとりで群れるようにいる青い蛇がみえた。


「あの蛇か? 数は多いが大きさも普通のより少し大きい程度、もしかして猛毒を持っているのか?」


「いや、毒性は大したことはないらしい。 体がしびれる程度だという話だ」


「なら俺が......」


「待て」


 剣を抜き向かおうとするシャガを俺は止めた。


「なんだよ」


「見てろ。 シェリー」


 光となったシェリーは蛇の一体を貫いた。


「弱いじゃねーか。 ん?」


 貫かれた蛇の胴体から頭が生え、ちぎれた体から頭が生えようとしていた。


「なんだ...... 数が増えたのか!?」


「ああ、あれは切ると分裂して増えるらしい」


「なんだそのモンスター!? 聞いたことがないぞ!」


「......だから、シェルディオさまは俺に頼んだのはそういうことだ。 今まで何度か討伐に向かったそうだが、増える一方だから魔力の霧を発生させる魔巧具で、ここに隔離しているらしいな」


「魔巧具は周囲の魔力を集めて作動しますが、これほどの広さだと、交換しないと長くは持ちませんね」


 ルエルはそういった。


「それじゃ、いつか霧もはれちまうのか。 だがどうする? 切れないぞ」


「いろいろ俺たちで試すしかないだろう」


 クアトの衝撃波、ギュラの炎、シャガの白猿、ジアルガで潰してみたが、その蛇は再生力もすさまじく、炎や衝撃波にも耐える。


「くそっ! 再生力が高すぎてジアルガじゃ倒せねえ!」


「ああ、俺の手持ちじゃ切らずに倒せない。 ティモシーの界獣も...... リシェのミリエラの氷なら止められるかな」


「......いえ、氷も使い続けないとだめでしょうから、無理だと思います」


 そうルエルがいう。


「おい、お前も界獣を使えるんだろ。 あいつをなんとかできないのか。 監視とはいえ協力するなとはいわれてないだろ」


 そうシャガはシェイネスに言った。


「......ええ、確かに監視が目的ですので、協力もやぶさかではありませんが、私の【マジェルク】、は地面に穴を掘ること、【ビヨス】は液を吐いた場所を石化させることです...... 使えますか?」


 そう淡々とシェイネスは答えた。


「くそっ...... 二体も操れるのかよ」


 シャガはちょっとショックを受けている。


「だったら石化させればいいか。 頼めるか」


「正直、一体、二体なら石化させられますが、複数は無理です。 そこまで広範囲に連発できません」


「それなら穴に落とすのは有効かもな。 攻撃しなければ増えないからな。 やってみるか」


「それなら、お前らは穴を掘れ、俺が奴らを集めてくる」


 そういうシャガに囮を任せ、俺とシェイネスは穴を掘りに向かった。



「頼めるか」


「ええ、マジェルク」 


 シェイネスが呼ぶと、地面から大きなもぐらが現れた。 そして地面に大きな穴を掘り進めていく。


「シェイネス、少しいいか」


「はい、なにか?」


「ガルグルムさまに長く仕えているのか?」


「......私の住んでいた村はモンスターに滅ぼされました。 そこでガルグルムさまに拾われ、界獣を使役する才能があったため仕えたのです」


 そう静かに話し出した。


「なるほど、フィグルスさまのシャガのように、ガルグルムさまは恩人と言うわけだ」


「そうなりますね......」


 そのとき、瞼が動き、少し表情に動きがあったように見えた。


「一体、なぜガルグルムさまはあれほど俺を管理したがったんだ? すこし神経質すぎるように感じたんだが」


 俺の問いにシェイネスは少し躊躇するように見えた。


「......あの方は、あなたが思われているほど冷酷でもありません。 強いものの管理はやむを得ないことなのです」


 無表情ではあるが、感情を圧し殺しているようにも見えた。


「なにか理由でもあるというのか?」


「......かつて、あの方には友がいました。 力あるその者は道を踏み外し、その力で、ガルグルムさまの故郷でもあった国を滅ぼしたのです」


(友......)


「その性質を知りながら止められなかった後悔から、あの方は厳格な力の監視こそ必要だと感じられているのです」


 そう目を閉じ、シェイネスは言葉を止めた。


(......なるほど、そんなことがあったのか)


「掘り終わりました......」


 そう穴を掘り終えたシェイネスは、元の無表情な顔に戻りそう伝えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ