第二十八話『王の素顔と刻まれた番号』
「しかし、うまく雷撃が当たったな......」
落ちたモンスターを見ながらクリエイスさんがいった。
「それはクリエイスさん、これですよ」
ルエルがモンスターをみた。 その体にノミが刺さっていた。
「これは鉄のノミか」
「ええ、ここに落ちていたノミです」
「なるほど、雷撃を放てば多くの電気が必ずここに当たるというわけか......」
クリエイスさんはそう納得するように頷いた。
「ええ」
「さすがだな。 やはり私の思った通りだ」
「クリエイスさんは最初から俺のこと知ってたんですね。 あったばかりなのに禁獣を倒したことを知っていた。 たまたまあった訳じゃなかったんですね」
「......ああ、ばれていたか。 正直、君を探していた。 ルーキーでありながら禁獣すら倒す君をね」
「それならハンター協会に依頼しないのはどうしてです?」
「どうも、信頼できなくてね。 上層部にはよくない噂がある......」
(やはり、協会にも何かあるのか)
「だから繋がりの薄いルーキーの俺を調べていたわけですか?」
「そういうことだ。 騙したようですまないな」
そう笑顔で答えた。
「かまいません。 ここは知られたくないでしょうから」
「どういうことです? マスター」
「ここが魔宝石の採掘場所なんだよ」
「えっ?」
「そうだ。 ここを他のものにも知られたくなかった」
「それはわかります。 俺は源力玉さえ手に入ればそれでいいですから...... ですけど、本当に手に入るんですか。 こんな場所を知っているってことは国の関係者でしょうけど」
「ああ、手に入る。 私はこの国の国王」
「なっ!?」
「えっ!?」
俺たちが驚くと、クリエイスさんは笑った。
「まさか国王自ら鉱山を解放に来るなんて」
「無論、反対されるから臣下には内緒だ」
「無茶苦茶ですね。 死んだらどうするんです」
ルエルはあきれた。
「はははっ、それは君たちを信じていたからね。 実際この厄介なモンスターを倒してくれた」
「まあ、俺たちは魔巧具さえ手には入ればそれでいいですが...... 王さまがあんなモンスターと戦うなんて......」
モンスターを見た俺は戦慄を覚えた。
「どうした?」
「まさか!」
モンスターの皮膚をナイフで切る。 すると体内から褐色の結晶が現れた。
「それって! マスター!」
「......ああ、間違いない。 羽の裏に番号がある......」
モンスターの羽の裏に643の数字が刻まれていた。
「どういうことだ...... 番号、まさか人為的なものだと言うのか」
クリエイスさんが眉をひそめた。
「ええ、他の場所でもモンスターに番号がありました」
「......モンスターを改造、産み出したりしているということか。 そんな馬鹿な......」
クリエイスさんは唖然としている。
(この反応から見て、この国でもそんな技術はないようだな)
「しかし、こんなものを作れるならば国か、よほどの力を持つものたろうな」
「ええ、ですが番号をわざわざ残しているのはなぜでしょう? 知られれば誰かの関与が疑われるのに......」
そうルエルがいう。
「確かにな...... 戦略的に使ったのならば、ただのモンスターということにしておきたいはずだ」
クリエイスさんは首をかしげる。
(そうだな...... なにか目的があるのか。 しかし、この番号の形式...... リルのものによく似ているな)
「まずは回収して国で調べさせよう」
「お願いします。 申し訳ないですが、わかったことを知らせていただければ幸いです」
「わかった」
(機密扱いになるから、教えてもらえるかはわからないが、一応は...... 一体誰がこんなことをしているんだ)
大きな不安が胸に去来する。
俺たちは坑道から帰った。
「これが源力玉だ」
そうクリエイスさんがいう。 大きな透明の球体があり、中には結晶のようなものがみえ、仄かに内部が光っている。 ルエルによると魔力を外から吸収して圧縮するようだ。
「じゃあ、旦那、これは我々がきっちりと運びますんで」
そういうと、バレス親方の部下たちがそれをもって帰っていった。
「ありがとう! 頼むよ」
「ナナミはこのまま帰るのか?」
「ええ、少しお土産を買って帰ります」
「娘さんにかい?」
「ええ、それに仲間にも、クリエイスさんは...... いえ王はどうされるのですか」
「はははっ、クリエイスさんでいい、今は研究者だからね。 私は部下たちとあの結晶を調べるよ。 何かわかったら知らせよう」
「ありがとうございます」
俺たちはクリエイスさんと別れ、町で買い物をすると帰路についた。




