第二十七話『空間を裂く翼──インビジブルバット討伐戦』
「それでモンスターを倒して欲しいということですか」
俺たちは宿にむかい、話をしていた。
「そうだ。 【インビジブルバット】と呼ばれるモンスターが、この町から北の鉱山にいる。 それで鉱山が閉山中なんだ」
「それはハンター協会に頼まないんですか?」
「......ああ、事情があってね。 私に同行して欲しい、どうだろう頼めるか」
(事情か。 曰くありげだが、源力玉があれば街灯や防犯用に使える。 安全のために手に入れておきたい)
俺はルエルと目をみあわせて頷く。
「わかりました」
「ここが【ヤーム鉱山】だ」
クリエイスさんはそういった。 前には坑道が見えている。 トロッコと線路も坑道内まで続いている。
「魔力を感じますね......」
ルエルが鼻をひくつかせていった。
「さあ、いこう」
「ええ、それでその、インビジブルバットとはどういうモンスターなのですか?」
「名前の通り、その姿を消す巨大なコウモリだ」
(リシェのクリエと同じか......)
「しかし巨大なら、適当に攻撃しても当たるのでは?」
「それが全く当たらない...... 何か別の能力もあるのかもしれないな。 それを君と解明して倒したいんだ。 この剣もそのために作ったものだ。 これは雷撃を放てる」
そういって剣を抜いた。 その剣には宝石が埋め込まれてる。
「その宝石って、魔星石ですか!?」
ルエルが驚くようにいった。
「魔星石? それはなんだい? これは魔晶石だよ。 ただかなりの高純度の【魔法石】といわれているものだ」
(ルエルの感じたものはそれか......)
「エフェネなら魔力探知できるから、見つけられるか」
「......いえ、この坑道の至るところから魔力が反応していて、無理じゃないかと思います」
そうルエルが周囲を見ながら言う。
「ああ、この鉱山には魔力を含む鉱石がある...... その界獣では探知は無理だろうな」
(魔力を含む鉱石......)
「それならルエルに頼るしかないな。 微細な魔力探知はルエルの得意分野だ」
「ええお任せください! ただ少し集中するため、時間を要します」
「ああ、その時間はこちらで稼ぐ」
「さすが禁獣を倒したといわれる者だな。 複数の界獣を使うとは驚きだ」
クリエイスさんはそう感心するように大きくうなづく。
「......いえ、そんなことはないですよ」
俺たちはしばらく坑道を進む。
「ここになにか魔力を感じます...... ただ動いているのですが、小さくて感知しづらいです」
その広がった空洞にはモンスターは見えない。 そこかしこにノミやハンマーなどが鉄の杭などが散乱している。 ルエルを入り口に待機させ中を確認する。
「どこにもいない......」
「きます!」
その瞬間、衝撃で壁に叩きつけられる。
「ぐはっ! な、なんだ......」
「くっ、攻撃は受けていないのに!」
クリエイスさんは剣をふるう。 すると虚空に雷が走った。
「ダメだ。 当たっていない......」
「大きなものなら、雷撃なら当たるはずだが......ルエル!」
「まだわかりません! なにか一瞬で大きな魔力が現れたような気がしましたが......」
(一瞬......)
「また、きます!」
横に飛び退くと衝撃波が壁を砕いた。
「シェリー!!!」
光が衝撃波がでた方向に鋭く走る。 ただなんの感触もなく光が迷うように飛んでいる。
(当たらない...... シェリーのあの速さでかわされたのか)
「これは厄介だな。 衝撃波は連続で放たれるわけでもなく、たいした威力はないが、早くしないとこちらが倒れる」
「同感です...... ルエルの探知にかけましょう。 我々は時間稼ぎを」
俺たちは衝撃波をかわしながら、当たらない攻撃を加えていた。
(ルエルまだか...... ザッファの風、クアトの衝撃、ギュラの広範囲の炎でもとらえられた形跡はない。 いったいどこいる......)
「わかりました!!」
ルエルが叫ぶ。
「どこだ!!」
「姿を消しているだけじゃないんです! やつは他の空間に移動もしています!」
「空間移動!?」
「そうか...... それで連続で攻撃をしてこないし、攻撃をしても当たらなかったのか」
(しかし、空間移動中は攻撃を与えられないということだな...... となると)
落ちている鉱山の道具が視界に入る。
「ルエル、やつが次に出たら教えてくれ!」
「わかりました!」
俺はひとつ道具を拾いシェリーを呼ぶ。
「来ます! 真ん前です!」
「クアト!」
衝撃波がクアトの衝撃と重なる。
「いけ! シェリー!!」
光が虚空に向かうと、ドッという音がした。
「だめです...... また消えました」
「いや、これでいい。 クリエイスさん。 その場で動かず、俺がいったら剣をふり最大の雷撃をお願いします」
「ああ、なにか策があるのか。 わかった、信じよう」
俺はルエルのいる場所まで戻る。
「出たらいってくれ」
「わかりました」
少し時間をおくと、目をつぶっていたルエルの目が開いた。
「来ます!」
「いまです! クリエイスさん!」
「うおおおお!!!」
クリエイスさんが剣をふるう。 いままでより大きな雷撃がその場に火花と轟音が響きわたる。
「ギャアアアア......」
そう、鳴き声が響くと、黒こげになった巨大なコウモリが姿を現わし、地面に落ちた。




