第二十五話『町の灯りと公国の技術』
「やったよみんな......」
ティモシーは村の方を見てそういった。 俺も一応手を合わせる。
「シェリー」
呼ぶと空間が歪みシェリーがやって来た。
「よかった...... どうやらエリアバーストを倒したことでつながりが復活したようだな」
「マスター!」
呼ばれて近づくと、倒れたエリアバーストのそばで、ルエルがなにかを真剣に見ている。
「どうした?」
「これ......」
エリアバーストの甲殻の下の方に、数字らしきものがみえる。
「260...... なんだ...... 番号か」
「これ人の手が加わっていますよ...... ほらあそこ」
そうルエルがエリアバーストの壊れた甲殻の中に、肉片と共に光る褐色の結晶のようなものがある。
「これは...... 魔力の結晶です!」
ルエルが叫ぶ。
「まさか魔星石か!!」
「これが人のやったことだってのか!」
それを聞いてティモシーは言葉を失っている。
「ああ、ただこんなことをできるのはどこかの国か......」
(まさか、王契将か...... それに数字、リルの腕にもあったのと形式がにている。 たまたまだよな......)
そのとき、胸の奥のざわめきを止められなかった。
「こちらがティモシーだ」
「ああ、よろしくな」
ティモシーをリシェたちに紹介する。 あれから俺たちは村から戻ってきていた。
「ええ、ティモシー噂は聞いてる。 【鋼鷲のティモシー】ね」
そうリシェがいうと、ティモシーは腕を組んだ。
「ああ、私も知ってるよ。 【氷猫のリシェ】」
二人は笑いあっている。
「リシェも有名だったんだな」
「そりゃ、わだしでも知ってるくらいです」
そうイズが当たり前のようにいう。
「お帰りなさい!」
こちらをリルが見て走ってきた。
「ああ、そうだ。 これ新しい本だよ」
「ありがとう!」
そう嬉しそうにリルは本を抱き締めた。
「リルは本が好きなんだな」
「ええ、かなり習得が早くて、もう文字は全て読み書きできるようになったよ」
リシェは嬉しそうにいった。
(ということは、単に教育を受けられなかったからか...... まあ障害があろうが、大切に育てるけど、本人が生きづらいのはかわいそうだからな)
「ナナミ、私は少し調べものをしてくる。 約束は守るから心配するな」
そういってティモシーは出ていった。
「あれか......」
「でしょうね。 村を滅ぼしたモンスターが人為的なものだったんですから、その犯人を探したいのはわかります」
「どういうこと?」
リシェに見てきた全てを話した。
「......そう。 それってデュラードが関係してるのかな」
「いや、ティモシーの話だと、十年も前の話だ。 さすが関係があるとは思えない」
「じゃあ、どこかの国かな? 帝国とか」
「ない話じゃないけどな...... まだなにもわからない。 まずはさきに町のことだよ。」
「そうだね」
「俺は町の出来を少し見てくる」
「わかった」
「いってらっしゃい!」
「ああ」
本を手にリルが笑顔でそういったので、俺はそれに答えた。
「大分、感情を表に出せるようになりましたね」
ルエルが嬉しげにそういう。
「ああ、本当によかった。 感情を出せるようになるぐらい、慣れてくれたんだろうな。 ただ......」
「あのエリアバーストの番号ですか」
「......そうだ。 違うとは思いたいがあの番号、リルと関係があるんじゃないかと思ってる」
「確かに、あのモンスターは人為的に作られたものでしょうが...... では、リルちゃんは」
「わからないな。 調べた方がいいのか、そのままにしておくべきなのか......」
そう言いながら俺は町の方へ向かった。
「おお旦那!」
バレス親方が近づいてきた。 みると町のように建物が立ち並んでいた。
「すごいな! もうこんなにできたんだ」
「ああ、家なら十数軒、近くの湖から水を引いた。 下水もつくった。 あとは水浄化の魔巧具だが...... かなりの額だが、どうする」
「予算はあるから、ぜひつけて欲しい」
「わかった! つけておくよ。 他に欲しいものはあるかい?」
(建物、水、あとは......)
「町の灯りや火力はどうすればいい?」
「この町全体にかい。 そいつは【源力玉】《スフィア》っていう魔巧具がいるな。 ただここじゃ作ってない。 でかいのなら【ハルリール公国】で作ってるはずだが、俺たち一介の大工には売ってはくれないだろうな」
そう親方は腕を組んだ。
「なら自分で買ってくるよ」
「そうか、ハンターとして、名声のある旦那なら作ってくれるかもな。 買えたら言ってくれよ」
「ああ、あとは頼むよ」
「よしきた! お前ら仕事を続けるぞ!」
そう、親方は檄をとばし仕事にもどった。
「ハルリールか......」
「確か、この世界でもかなり先進的な魔巧技術のある国ですね」
「よし、いこう」
俺たちは魔巧具を手に入れるべく、ハルリール公国に向かうことにした。




