第二十話『家族の静寂と盗賊の再来』
「......そして、神王さまは世界を平和にしましたとさ」
「......すごい」
俺が絵本を読み聞かせ終わると、リルは目を輝かせている。 そして絵本を渡してやると、最初のページから食い入るように読んでいた。
「それ、【神王と神獣】ね。 私も文字を覚えるのにその絵本を読んだことがある」
「わだしも読んだごとありますだ。 あります」
リシェとイズがそういった。
「興味を持ってくれてよかったよ。 イズも読んであげて欲しい」
「は、はい。 わだしも文字はあまり読めないので、絵本から一緒に勉強します」
そうやって、イズはリルのそばで絵本の文字を指差し教えてくれている。
「いい人がきてくれたね」
リシェはそれを微笑んでみている。
「ああ、よかったよ」
「それでこれからどうするの?」
「まずは家を建ててもらうために、モンスターを狩りにいくよ。 それでリシェには自由にしてもらいたいんだ」
「自由に?」
「いままで勝手に振り回してすまなかった。 本来、リルのことを約束した俺が責任を持つべきだったのに、全て任せてしまった。 リシェにもやりたいことや目的もあるだろうに......」
そう謝った。
「......そうだね。 確かに勝手に強いモンスターと戦ったり、危険なところに家を買ったりしたけど、でも私も自分がしたくてしたことだから」
「......リシェ」
不安そうにリルがリシェを見ている。
「大丈夫。 特に今やらないといけないこともないし、当面はわがままに付き合ってあげるよ」
そうリシェは微笑んだ。
「そ、そうか、ありがとう」
俺は正直、ほっとした。
次の日、家を建てる場所のモンスターを倒しにルエルと向かった。
「リシェさんいてくれてよかったですね」
「ああ、助かったよ。 なんとか家を建てるまではリルのそばにいて欲しいからな。 まだイズも慣れてはないだろうしな」
「ですね。 魔力を感じます......」
「俺も界獣たちをもっとうまく指示できるようにしないと...... 行くぞ」
それからモンスターたちを倒して回った。
「ふぅ、かなり倒せたな......」
「ええ、十二体ほどですね。 近くには魔力は感じられません」
「なんとか複数の界獣を重複しても、長く使えるようになったな」
出しているシェリーたちを撫でる。
「ええ、マスターの魔力がかつてないほどに高まってますから」
「界獣ってギュラみたいに変化するんだろ?」
「ええ、あなたが必要だと感じればそういう子供も起こりえます。 ただあくまでも無意識、意識して変化は促せません。 できたら私にして欲しいですが......」
美しい毛並みを持つザッファを羨ましげに見ながらルエルはいった。
(まだ言ってるな...... 俺はその姿が気に入ってるから永遠に変わることがないのにな)
それから一ヶ月ほどかけて、近隣のモンスターを狩りつくした。
「本当にモンスターはでないのか?」
すこし不安そうにバレス親方が大工と建材をもちやって来た。
「ああ、それにハンターのリシェと界獣を使うリルもいる。 数体程度どうということはないよ」
「そうか。 ならさっさと仕事を始めさせてもらうぜ」
そういうとバレス親方はさっそく部下に指示をし始めた。
「あとは頼むよリシェ」
「ええ」
「いってらっしゃい」
そうリルは見送ってくれた。
俺はルエルを連れて町へと向かった。 協会から呼び出しがあったからだ。
「リルちゃんもかなり話してくれるようになりましたね」
「そうなんだ。 ちゃんと家事とかの手伝いもしてるし、いいこでよかった」
つい顔がほころぶ。
「それで協会からなんのようでしょう?」
「わからんが至急と手紙が届いた。 厄介なことなら断るが...... 今後金が必要になるかもしれない。 受けないわけにもいかないから、一応話だけはきく」
「それがいいですね」
町についた俺たちは協会に向かう。
「あっ! ナナミさん! お待ちしてました!」
ミーシャさんが出迎えてくれた。
「なに? 緊急の用事って?」
「実は......」
「俺が呼んでもらったんだ」
奥の部屋からシャガがでてきた。
「シャガか。 なんでここに?」
「ああ、フィグルスさまの命だ。 まあ奥で話そう」
奥の応接室に向かった。
「それで?」
「実はまた盗賊がでたんだ。 そこで手を借りたい」
「宵獣団は全員捕らえたろ?」
「いいや、【ゼクド】と言うリーダーだけ逃した」
「そいつがまた盗賊団をつくったのか? でも召喚士もいない、脅威でもないはずだろ」
「......いや、今回はどこからか手に入れた魔巧具を使うんだ」
「魔巧具......」
「それでお前に力を借りたい」
(ゼクド...... ないとは思うけど、もしリルの力をまた得ようと動かれても厄介だな。 ここで潰しておくか)
そう思い俺はその話を了承した。




