第十九話『家と絵本とイズの出会い』
「リシェ、どうしてここにいるんだ? しかもリルまで連れて?」
「リルがナナミが遠くの森にいったといったの。 その先には化物みたいな木がいるって......」
リルは眠ったようで俺が背負っている。
「遠隔透視かも知れませんね......」
ルエルが足元でつぶやく。
「盗賊が俺たちの動きを知っていたのはそのせいか...... リルの界獣の力か。 とんでもないな」
「みたいだね。 それですぐに来たんだよ。 おいてくわけにもいかないから、リルを連れてクリエで姿を隠して...... でも、あんなものと戦うなんて信じられない」
「ご、ごめん」
怒られそうになってとっさにあやまる。
「はぁ、まあいいよ。 仕事しなさい、なんて私も言い過ぎたもの」
「まあ、おかげでかなりの報酬を得るよ。 これで当面は生活できる」
「本当にあそこに住むつもりなの?」
「せっかく買ったしな。 それにモンスターを倒してしまえば、住めるだろ」
「そうだけど......」
「まあ、町だとハンターの近くにすむ人がいい顔をしません。 町から離れた方がいいですよ」
ルエルに言われてリシェもうなづいた。
「確かにハンターは狙われるから、こんな森の方がいいかもね。 それにお金が入ったなら家も魔巧具も手に入るし」
「家はわかるけど魔巧具?」
「そう。 お風呂や料理の火力、灯り、それに食品の保存なんかの魔巧具があるからね」
(そんな冷蔵庫みたいなのもあるのか。 確かに宿屋の風呂は沸かせたな。 それなら食料も買いだめしておける)
俺たちはさっそく町に帰る。
「家を建てて欲しい。 かまわないがどこにだ」
大工の棟梁のバレスさんに頼んだ。 俺は協会によったあと大工に話にきていた。
「ここなんだけど......」
俺は地図を広げて教えた。
「そこってモンスターがでる森じゃねーか!」
「それは俺が倒して安全にするよ」
「とはいえ、その奥には禁獣がいるんだぞ。 最悪襲ってこない保証もねえ」
「グラントレントなら、倒したから問題ないよ」
「嘘だろ!? あの化物を倒したのか! あれは百年以上前からあそこにいるんだぞ!」
「それは協会に確認してくれ。 それでやってくれる」
「......どうします。 親方」
「いくらなんでも、なぁ」
不安そうに他の大工たちが親方をみる。
「いや、この仕事受ける!」
そうきっぱりバレスさんはいいきった。
「どうしてですかい!?」
「あぶなすぎますぜ!」
「あんたナナミだろ」
「ああ、そうだけど」
「聞いてるぜ。 すげえハンターがいるってな。 確か子持ちになったそうだな。 そのための家だろ」
「そうだ」
「うちにも娘がいてな。 そんな若さで親になるのは大変だ。 ここはいっちょ力になるぜ!」
そう言ってくれた。
「ありがとう! 頼むよ!」
俺はモンスターを倒したら伝えに来ると、前金を渡してかえった。
「よかったですね! 家を建てると約束してくれました! ところでそんなに本を買ったんですか?」
俺が抱える本をみてルエルがそういう。
「ああ、リルのための絵本や初期の言葉の本だ。 どうも6才にしても幼い。
精神的にも...... だから絵本からのほうがいいだろ」
「確かにまともに教育もうけてませんからね。 この世界ではありがちですが...... どうしましたか浮かない顔ですね」
「いや、勉強やなにかをするにも、リルのこと、いつまでもリシェに甘えてはいられないなと思ってな」
「......確かに、リシェさんも拘束していますからね。 困りました」
「だめですだか......」
その時、強いなまりのある声が聞こえてきた。
「ん?」
「すまないね。 今は人が足りてるんだよ」
「いいえ、すみませんですだ」
そう店先で謝る少女がいた。 店先で断られたのかしょんぼりして町を歩いていく。
「働き口を探しているのか......」
「とはいえ、仕事もたくさんあるわけではないですし、女の子では難しいですね」
ルエルはそういう。
「働き口...... そうだ! まってくれ!」
「えっ?」
メガネの少女を呼び止める。
「すまない、俺はハンターのナナミっていうんだけど」
そうカードをみせた。
「あ、わわ、わだしはハンターなんてできないですだ!」
そう少女は慌てていった。
(かなり慌てものだな)
「いや、子守りとか家事とかできないか?」
「それなら、うちは田舎でもたくさん兄弟がいだので......」
「何人ぐらい?」
「八人でわだしが長女ですだ。 わだし家に仕送りしたくて働きにでたども、特に家事ぐらいしか得意なごともなぐて......」
「ちょうどいいな」
「えっ? 雇ってくださるですだか!」
「ああ、このぐらいでどうかな」
俺は金額を提示する。
「そ、そんなに、是非やらせで欲しいですだ。 わだしは【イズ】ですだ! いえ、イズです!」
この少女イズに家政婦をお願いすることにした。




