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第十三話『王契将の招待』

「ふぅ、なんとか帰れたな」


「意外に警備も緩かったですね」


 ルエルがいう。 俺たちはデュラード領を抜け、元の町へと戻ってきていた。


(確かに領土を封鎖してもいなかった。 その暇がなかった...... いや、俺たちに知られた所で証拠もないから問題ないと判断したのか。 それで調べにでもこられたらやぶ蛇だからな)


 その時、協会からリシェが帰ってきた。


「どうだった?」


「送った手紙は読まれたみたいだけど、特に目立った反応はないね」


 俺たちは手紙にしてハンター協会にデュラードの犯罪行為を告発しておいた。 


「やはり証拠もないからか...... さすがに匿名での告発だと弱いか」


 あえて匿名の手紙にしたのは直接行った場合、もし協会内にデュラードの仲間がいたときの用心のためだった。


「もしくは内部の仲間がもみ消したか...... ね」


「そんな事ができるならかなり上位に仲間がいることになりますね」


 そう真剣な顔でルエルも言う。


「まあ今、俺たちにできることはした。 あの魔巧具の修復や再開発にもかなりの時間がかかるし、界獣たちの誘拐もそう簡単じゃないだろう」


「ですね」


「それにしても会話ができる界獣なんて、ルエルがはじめてだよ」


 そうリシェはルエルを珍しげに見ている。 そのそばにはミリエラという猫のような界獣がリシェのそばで座っている。


「そういえばリシェの界獣、デュラードたちが霊獣だといっていたな」


「ええ、ミリエラは私の子供の頃からの友達よ」


「にゃーん」


 答えるようにミリエラが鳴いてリシェの足にすり寄る。


「そうか。 まあ無事でよかった。 さてとりあえず、ルエルが帰ってきたことだし、寝よ」


 俺はベッドに寝転がった。 


「なんですか! 人々のために立ち上がったんじゃないんですか!」


「デュラードみたいなことをいうな......」


 ルエルがどしどし床を踏むのを無視して、俺は寝たふりをした。



「俺に話?」


 嫌な夢を見て起き、俺は情報を得るため協会に向かうと、ミーシャさんがそう話を振ってきた。


「ええ、【王契将】【フィグルス】さまがナナミさまに会いたいと......」


「王契将って?」


「知らないんですか!?」


 ミーシャさんが信じられないという風に驚いている。


「王契将とは王獣を使役できる召喚士で、その力は一国の軍隊と同じくするとか。 この世界に七人います......」


 そう足元のルエルがいった。


「その人がなぜ俺に?」


「わかりませんが...... かなりの活躍をされているからではないでしょうか。 ナナミさんは複数の界獣を使役しますから」


「そうなのか」


「ええ、大抵は一体、多くてもニ体ぐらいですね。 ですので注目されているはずです。 そのせいでは?」


(まさか、デュラードの手先じゃないだろうな)


 ミーシャさんからフィグルスという人物の城を聞いて、俺たちは向かうことにした。


「王契将ってすごいのか?」


「そりゃもう! 王獣を使役できるなんて、人間でもあり得ない力を持ちますよ」


「まあ霊獣のトゥエロを呼ぶのでもかなりの負担だからな。 王獣なら途方もない負担がかかるはず...... 確かにあり得ないか。 そうだ。 この間、トゥエロだけじゃなく複数の界獣を呼んだけどかなり持ったな」


「それはあなたの魔力が増しているからでしょうね。 精神が強くなれば魔力が増し、複数の界獣や強い界獣を呼ぶこともできますから」


「そうか。 それであれだけ呼んでも倒れなかったのか。 とはいえ王獣なんて呼んだら確実に倒れるな」


「多分、呼び出せないと思います。 王獣は気高く、人に簡単には従ったりしません。 界獣である私でさえ見たことはありません」


「そんなものを従えられるのか。 それなら俺を召喚した人が王契将の中にいるかもしれないな」


「可能性はありますが、王獣を呼べるのになぜあなたを呼ぶのです?」


「まあ、それもそうか」


 そんなことを話ながら町を歩いていると、向こうからリシェが走ってきた。


「ナナミーー!! どうだった? なにかわかった?」


「いや、ただミーシャさんの話では、協会でも手紙のことは知られているらしい。 ただ、上が動いてないのだとか......」


「そう。 やはり、上層部に仲間がいるのかも...... それでどこに行くの?」


「フィグルスって人が俺に会いたいんだと」


「フィグルスって王契将の【鎧の王】フィグルスさま!? すごいじゃない!」


(この興奮ぶりだとかなりの有力者のようだな) 


「私もついていっていい? 私、王契将に昔から憧れてたの!」


 そうリシェは目を輝かせながらいった。


「いや、デュラードの仲間かもしれないぞ。 危険すぎないか」


「それはないよ。 ナナミの話だとデュラードは界獣に恨みがあるんでしょ。 王獣を使役する王契将がそれに力を貸すとも思えないわ」


「まあ確かにそれもそうか......」


 俺とリシェはフィグルスのいる【マルガスト】という国へと向かった。

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