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第十二話『魔星石の剣と界獣の叫び』

「なるほど、我々が手に入れた界獣の所有者というわけか......」


 デュラードはそう剣を抜いた。


「......何のために界獣を魔力の結晶に変えている」


「それがこの世界のためだからだ。 界獣なぞこの世界には不要...... 魔力の結晶として魔巧技術に使った方が人のためになろう」


「かつて、界獣を乱獲して多くの国を滅ぼしたんだろ。 そんなことをしていいのかよ」


「そんなものはおとぎ話にすぎない。 実際に見たわけではないからな。 そんなことより、人々のために資源として利用すべきなのだよ」


 デュラードはその場で剣を振るう。 とっさにかわした。 風を切る音がすると壁に大きな傷ができていた。


(なんだ!? 風を放ったのか)


 デュラードの剣には先ほどみた結晶のようなものが刃に埋め込まれている。


「それが魔星石ってやつの力か」


「......そうだ。 このような魔巧具を人々が使えるようにする。 そうなればこの世界は豊かになるだろう」


「界獣を消し去ってかよ!」


 デュラードが放つ剣風をかわす。


「もともと界獣など、この世界のものでもない異物。 勝手に生まれる危険なもの...... 私が幼いとき家族が界獣に殺されたのだ! 界獣は猛獣やモンスターとなにもかわらない!」

 

 そうデュラードは怒りの眼差しで剣を振るう。


(個人的な恨みもあるってことか...... だが、かなり時間を稼いだ、もうリシェは界獣を逃せたか。 よし!)


「クアト!」


 クアトの咆哮が衝撃波となり、周囲の容器のガラスを破壊した。 中にいた界獣がかすかに動いている。


「くっ!! 魔巧具を!」


(界獣を助けたいが、この数どうする...... デュラードを倒して助けたほうが早いか!)


「邪魔です......」


 メニフィアが黒いムカデのようなものを空間から呼び寄せた。 


「こいつも召喚士かよ! シェリー!!」


 シェリーが向かうが、ムカデは床に消えた。


「消えた!?」


 ムカデが床からでて緑の霧を吐いた。


「なんだ...... くっ」


(眠い...... これは! 睡眠ガスのようなものか! くそっ......)


 意識が遠退いてくる。


「君には悪いが人々のためにここで消えてくれ......」


 デュラードの声が聞こえる。


(......ダメだ ......意識が遠のく......)


 その時、どすどすと走る音が聞こえる。


「なんだ! ぐわっ!」


 衝撃があり、目が覚めると目の前にルエルがいた。


「ルエル!! お前どうして!?」


「話はあとです!!」


「わかった! お前は界獣たちを助けてくれ!」


「はい!」 


 ルエルは後ろに走った。


「なんだ...... あれは」 


 デュラードが困惑している。 


「【グラスト】...... 眠らせなさい」


 メニフィアの声でムカデが向かってくる。


(さっきの衝撃で目が覚めたが、こいつの吐く霧は食らうと眠ってしまう。 かなり魔力を消耗している。 いけるか)


「ギュラ!!」


 ギュラが現れると床にムカデは消えた。


「影に隠れている。 床の影に炎を!」


 ギュラの炎が床の影を焼いた。


「ギィィ!!!」


 ムカデが焼け出されて地上にでてきた。


「こっちは動けます!!」


 ルエルが叫んだ。


「よし! 持ってくれよ! トゥエロ!!」


 トゥエロが現れる。 


「ルエル、界獣たちを!」


 ルエルたちはトゥエロのなかに消えていく。


「空間転移!? 逃がさない!」


 デュラードが剣を振り上げた。


「ギュラ炎を放て!!」


 ギュラが炎を前方に吐き、炎の壁をつくる。


「くっ......」


 デュラードたちが怯んでいる間に俺はトゥエロに入った。



「はぁ、はぁ...... なんとか逃げ切れたか」


 城の見える丘に俺はいた。


「ええ、界獣たちはここにいます」


 ルエルがいうように弱っているが界獣たちがそこにいた。


「お前どこ行ってたんだよ!」


「界獣を狙う者たちの話を聞いて探っていたのです。 そしてルベンを知り追跡してきた所、ここに着いたんです」


「そうか...... まあ無事でよかった」


「ありがとうございます...... わざわざ探してくれたんですね」


「ま、まあな......」


「ナナミ!!」


 向こうからリシェが走ってきた。


「ルエルに会えたのね!」


「ああ、リシェも無事でよかった」


「ええ、あの部屋からでたらルエルにあって、界獣たちを逃がすのを手伝ってもらってたんだ」


「そうか。 それで界獣たちは」


「森に逃がしたよ。 それでデュラード男爵は?」


「ああ、あの魔巧具は壊しておいたけどな。 脱出するのに精一杯だった。 やはり倒しておくべきだったか」


「いえ、彼を殺せば重罪としてナナミが追われることになる」


「確かに...... 証拠もないから罪にも問えないな」


「あんな魔巧具そう簡単には直せないでしょ。 協会に話して警戒すれば、界獣を誘拐するのは難しくなるはず。 早く協会に向かいましょう」


 そのとき丘に吹いた風が弱った界獣たちの毛並みを揺らした。 その姿をみて俺は怒りが沸き立つのを感じる。


「......行こう」


 俺たちはデュラード領をでて協会へと向かった。

 

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