4.深夜テンションの怖さ
宜しくお願いします!
数年前、私が龍穏寺本家の義理の親戚達に嘲笑いの的にされ、この屋敷では龍穏寺家の子供ではなくただの下僕として入った頃、
私は実の親に見捨てられたどころか当時ここにいた使用人たちからもいじめられ、義務教育年齢なのに学校は出席日数ギリギリまで行かされず、毎日全身が痛むほどこき使われながら物理的と精神的な"暴力"を受けた。
だがある日、その使用人たちの行いは義理のお父さんに見つかり、当時の使用人の中でジイ以外の人達はクビになった。まあ、あの時義理のお父さんは私に頭を下げてくれたが当時まだ幼かった私にとっては耐えきれない闇だった。
ちょうどその頃、私は一時期義理のお姉さんとお兄さん、すなわち龍穏寺涼香さんと龍穏寺霧人さんの遊び相手になるよう義理の父から打診というより命じられた。
思い出せばそれが私が引きこもる根本的な原因の一つだった。
そう、それは決して開けることを許されない玉手箱を開けたかのように、私は実のお母さんがどれだけ彼らをかわいがっていたか、同時にお母さんが私に向ける視線がどれだけ冷たかったか心の奥底から痛感できた。
正直あの姉弟に関してはあまり思い出せない、
ただ同じくこき使われるのにあの二人は重い肉体的労働を強要しなかった、それが当時の私にはちょっとびっくりだった、それだけだ。
でも、私が引きこもり数年、もう一度出てあの姉弟に私があの時の子供だとバレないか少しだけビクビクしていた、
それなのに、
「お前、まさか、俺か姉貴のストーカーか?」
は?何いってんのこいつ。
ビクビクする必要はどこにもなかった。
ほんと、ボソッっと言ったつもりみたいだったけど丸聞こえだからな。
イヤ~~かえって冷静になったわ~
「あの、」
ってきうかなんでここに来たの?
あんたの寝室って二階にあるでしょう?
「お嬢さん、これは立派な犯罪ですよ、ですが僕も一応芸能人ですからこのことは公にはしません、ですからお引取りを。」
うわ、キラキラエフェクトが倍増したわ、
でも同じ仮面を被って生きてきた人にはちょっとだけど分かるんだよ、
このキラキラエフェクトは一種の自己防衛みたいなもので本当はちょっとご機嫌斜めなんだって。
はあ、このエセ紳士リア充め、早く爆発してくれないかな?
「ああ、あ、あの、私は違います、」
どうしよう、『みき』としては反論できるのに一旦『ミナ』になったらどう話していいのか分からなくなった。
ってか私って今までどうやって喋ってなんだっけ?
「ほう?ここは何処かおわかりで?」
ええ、私が数年間引きこもった空間です。
「........龍穏寺家。」
「そう、そしてここは龍穏寺の人が住む主な館、一億歩譲ってあなたがメイドだとしてもこんな時間に副館の部屋で寝ずここにいる理由を教えてもらいませんでしょうか?」
ああ、星が見えた~~
まあ、そうと言えばそうだよね、ここは館の三階の奥、三階は下の階より部屋が小さいからほとんどが倉庫になっている、だから龍穏寺の人は2階の大きい部屋に住んでいるはずなのに、く、油断した自分に腹が立つ。
「。。。。。。。。。。。」
「はあ、あなたを責めようとしてる訳ではないのです、ですが今はプライベートですから少しお引取りしてもらいますか?」
ウソつけ!キラキラエフェクト全開じゃん、一歩間違えたら警察総監を呼ぶようなものじゃん!!
うあ、これはもう説明すると面倒くさいししなくても面倒くさそうになるな、
うん、じゃあ、戦力的撤退だ。
「ごきげんよう。」
どうしよう、漫画喫茶でも行くか?
「では、送りします。」
『本当にこれでいいの?』
「あ、」
一瞬、闇の奥からそう聞こえた。
気づいたら私は足を止め、義理の兄はまた犯罪者を疑うような目をする。
「どうしました?」
違う、そんなの、絶対に認めない。
「いいえ、なんでも、」
だって、私は今の暮らしで満足している。だから、なんのふまんもない。
『そうなの?本当に?』
何が言いたい?!
そうに決まっているじゃない!
『ミナ、あなたはこのまま、この一族から、義姉弟から、血がつながった家族からいつまで逃げるの?』
私だって本当は逃げたくない、この家からも、できれば、お母さんからも、
だけど、
怖い。
私が義妹なんて世間に知られたら間違えなく週刊誌やマスコミの餌食になる、いや、その前にあの人達に絶対に認めてもらえない。
だって、今更じゃん。
まあ、以前はお母さんを憎もうとしていた時期もあったけど、
でももし龍穏寺家の門をくぐる時お母さんが私を娘として連れていたら涼香さんとお母さんは絶対に今みたいに仲良くできない。
だからやっぱり私はお母さんが好き、好きだから私は忘れられたっていい、本家から禁忌とされてもいい、ただただお母さんのそばにいたい。
「う、」
『でも、』
“く、僕たちは歌いたい!この三人で、世界でのドームツアーをするって言う夢があるんだ!!!”
『彼らは夢がある、そして、私と同じく逆境にいたのに最終的に彼らは逃げなかった。
そう、彼らは逃げようと考えた程辛かったのに、苦しかったのに、それなのに彼らは私と違う道を選んだ。
それなのにミナ、あなたはいつまでこの人達から逃げ続けるの?
この人達に、私のお母さんを奪った義理の姉弟に一生存在すら認識されないでずっと、ずっと殻の中で閉じこもっているつもり?』
「。。。。。。。。。。。。。。。。」
「どうしたのですか?病院なら連絡しますけど。」
『私お願い!喋って!!』
「.............いいえ、ただ一つだけ、たしかに私はこの家族の一員ではありません、」
く、まあ確かに、私は龍穏寺家と養子縁組をしてるが龍穏寺家の人じゃない。
けど言いたいことってこれじゃない!!
「ええ、それは「ですが!」」
「私は、ここは、『開かずの間』は私にとって大切な場所なのです、
それに、その中には私のよめ......ではなく、私の大切な人がいるのです!!」
私の大切な嫁たちのポスターとかフギュアとか限定グッズとかあるの!!
あ、ヤバ、あの例の15禁ゲームどこにしまったっけ?
「は?」
あれ怒ってる?
しまった、龍穏寺家の人じゃないのに勝手にポスターとかはられたらいろいろとやばいよね、
うん、
プランB、カモン!!
「ですから!私はこの部屋の主に数年間使わせてもらいました、ええっと、清原さんと申します。」
やっぱ『みき』に頼るしかなかったか、
でも見ろ、あの義理兄がぽかんとなっているぞ!
そう、プランB,『実は身内だけどなんやかんやあって身を隠す影の実力者的な存在なんです作戦』だ!!
いや、うん、その、わかっていますよ、バカバカしいって、
でも今なんて言えばいいのです?実は義理の妹の龍穏寺ミナですって?今更信いてもらえる?!
じゃあ実はここに遊びに来た青花ライカ先生です?は、こりゃ~刑務所入りだわ。
でもな、自分にさん付けなんて、
ってかどうしてまた清原なの、新しい偽名とか考えろよ!
「そんな、バカバカしい、あなたも行った通りここは『開かずの間』、そんなところに誰が住んでいるというのだ?」
「さあ?私のご主人様はとても秘密主義のお方ですわ、ですから本当に知りたいのなら親御さんに聞いてみては?」
そう、これは如何にも影の実力者なんです感が大事、でももし目の前に立っている私が影の実力者ですよって言ったらマジで中2臭く、最悪刑務所入りだから今はその影の実力者に仕える一人というポジションに付きましょう。
「な!」
まあ、義理父でもお母さんでも最終的にうやむやにするでしょう、だって義理の妹がいるって今更じゃん、
それに、私だって分かるよ、
この龍穏寺当主の家は4人家族で住んでいるてことぐらい。
「見送りはご遠慮します、では、ごきげんよう。」
きゃーー!一度は言いたかった、お前なんかの施し入らない、遠回しに敵陣が滅ぶフラグを立つ!!きゃーー!!
この際だから謎の組織とか作っちゃう?どっかのラノベで見た一見モブだけど実は世界で一番強い実力者系な!?知らないところで世界救っちゃう系な!?
.............うん、一旦落ち着こう。
ってかこれが深夜テンションってやつか、
怖。
夜風が皮膚を刺激し、薄着である私は体を丸めながら2つ駅向こうの漫画喫茶へ足を運ぶ。
はあ、もし私の物語を誰かに話したら絶対に『じゃあどうして龍穏寺家から出ないの?もう自分の生活費ぐらい出せるでしょう』とかなんとか聞かれるだろう、
言っておくけど私はお母さんが好きでも『ラノベ』に出会うまでガチでそうしたかったよ、でもさ、勿体無いじゃん!
この家は如何にもザ・ハーレムアンド逆ハーレム系攻略者の家って感じじゃん、それにこの家って意外と萌え要素が充実してんだよ!
ほら、私のお母さんはクールビューティーキャラだし、義理父はちょっとコワモテに見えるが実はカリスマ溺愛系でお母さんと毎日イチャイチャして、涼香さんは一見近寄りがたい高嶺の花だと見えるが実は幼い頃から実の母親をなくした寂しがり屋のツンデレキャラ!
もう一度言わせて!私の義理姉はツンデレキャラなの!かわいいの!
好きな人がいる時素直になれず夜一人になったらベッドで足をバタバタしながら「どうしてそんなことしちゃったのでしょう~~私のバカバカ!!」とか自分で悔やんで、電話するときたまに「ふ、ふん、勘違いしないでよね!」とか言うんだよ!チョ~可愛くね!
え?なんで分かるかって?
だって私がいる三階の奥、即ち『開かずの間』は涼香さんの部屋の真上にあるからです!(ドヤ~~)
いや、マジで、ストーカーではありませんよ、ただこの龍穏寺家の山海はいかにも適当に作られたって感じで何も音を立てなかったら二階から話し声が聞こえるほどですもの!
まあ、お母さんが幸せそうだから良かったけど、
でもな~
何年も同じ龍穏寺家に住んでも龍穏寺霧人のことは何も知らないんだよな~
ってかたまにカーテンの隙間で家を出て黄色い歓声を浴びる背中しか見たことないんだものな~
はあ、どれだけ逆ハー系のメインヒーローを務められるハイスペックと言われましても私にとっては私みたいな引きこもりと真逆の人種、リア充野郎なんだよな~
ああああ~寒い、もうすぐ夏なのに夜はやっぱ寒いな、
まったくもう、今日一日疲れたし、足だってパンパンだし、終電もう終わっているし、
はあああああああああ、早く漫画読みて~~
誤字、脱字とか色んな事で感想があったら教えてもらうと嬉しいです!




