シロの回。ドラゴン編・その8
『シロの回。ドラゴン編・その8』
「ぐああぁぁぁ、痛い痛い!!
早く治療出来る者を呼べ!! キサマ、こんな事をしてただで済むと思うなよ!!」
「済むと思いますけど」
「陛下に進言し、罪に問おてもらう!!」
「どうぞご自由に。
そうですね、王に会うなら私からの伝言もあります。
『ドラゴンの尾は要る? 要るなら1本あげるけど?』と伝えて下さい」
「な、何を言っている?!」
「だから伝言ですよ。
そうですね、来られるとまた主と宴会を始めてしまうので、こちらから行くと伝えて下さい」
痛がる事すら忘れたようにポカーンとし始めましたね。
周りを見れば、ギルドマスターやシャティさんでさえポカンとしてます。
はっ! これは失態! 挽回しなくては!
「主はお酒を飲んでも絡んだり怒ったりしませんよ。
笑い上戸になるだけです。後、気分が良くなるのか、よく撫ぜてくれます」
お酒臭いから近寄りたくは無いのですけどね。
ふう。これで主が変人と思われる事を回避出来たでしょう。
「あ、あの、シロ様」
「何でしょう?」
「カズマさんは、陛下と宴会を?」
「ええ。一晩飲み明かしてましたね」
シャティさんが質問してきました。
おっと、一晩飲み明かしていたというのはマイナス点なのですか?!
またまた失言です! フォローしなくては!
「大丈夫です。酔った王を諌めたりしてましたから。ちゃんとしてましたよ」
「へ、陛下を諌めた……?」
「はい。『こら! 人ん家の庭に勝手に出ようとするな! アホか!』と言ってましたね」
「あわわわわわわわわわ…………」
何を慌てているのか判りませんが、フォローは成功ですね。
「王に会われるのなら、歩けないと不自由でしょう。治してあげますよ。
ただし、また私、ましてや主をバカにする発言をした場合は、今度は手を折ります。
手なら歩くのに支障はないですからね。判りましたか?」
そう言いつつ治癒魔法を使います。
うん、元通りになりましたね。
おや? また全員がポカンとしてますね。どうしたのでしょう? 治療が失敗してますか?
「シロさん! 今のは?!」
「どうしたのですか、ギルドマスター。普通の治癒魔法ですけど」
「詠唱は?! 魔法陣は?!」
「詠唱? 魔法陣? 何ですか、それは」
「えぇ~…………」
あぁ、詠唱とは魔法の名前を言うアレですね。
マキシマイズほにゃらら、とか言うやつ。
「詠唱は面倒なので止めました」
「面倒だから止めた?! それで止められるの?!」
「そうですね。出来ましたし」
「魔法陣は?!」
魔法陣……。あっ、判りました。
主が王から貰った魔法の本に沢山書いてありましたね。
「本に書いてあったヤツの事ですね? それが?」
「…………。ちょっと待ってて!!」
そのままギルドマスターは奥に走って行き、何かの本を持ってきました。
あぁ、それです。同じ本です。
「その本です。それに書いてある丸いやつの事ですよね」
「そう! で、魔法を使うのに必要な物! 何で使わないの?!」
「言ってる意味が判りませんけど」
「何で?! この本を読んだんだよね?!」
「読みましたが……。どういう魔法があるか、くらいしか見てません」
「えっ?」
「例えばですね、炎系の魔法にはどういうのがあるのか。
炎を矢のようにするとか、壁にするとか、火をつけるとか、業火を生むとか。
そういう所だけを読みました。詠唱や、その魔法陣とやらは見ていません」
「……それで、今言ったような魔法は?」
「使えます」
「え~と……カズマさんとお話しに行っても良いかな?」
「良いですよ。どうぞ」
今日もギルドマスターが来るようです。
ところで、この錬金術ギルドのマスターは放っておいて良いのですか?




