第20話
無理やり連れてこられたのは
めったに人が来ることがない東校舎の屋上へつながる階段の踊り場だった
結構な距離を走っていたら
だんだん冷静になってきて
さっき氷室の前で泣いたことが急に恥ずかしくなってきた
「氷室・・・ごめん・・・」
「何で謝るんだよ」
「だって、急に泣き出しちゃったし、気を使ってこんなとこまで連れてきてもらって」
「急にしおらしくなるなよ、そもそもつっかっかたオレが悪いんだし」
「それに、泣きたいときは泣けばいいんだし」
「・・・・・でも・・・」
泣いたってどうしようもない
現実は変わらないし
自分の気持ちも何も変わらない
それに、泣かれたって氷室だって迷惑だろうし
何も言わず黙ってうつむいてしまった
沈黙が続く
やばい、気まずいどうしよう
でもなんて言えばいいのかわからない
その沈黙を破ったのは氷室のほうだった
「悪かった・・・・」
「なんで氷室が謝るの?」
「・・・私情が入りすぎた」
小さい声で最後の言葉が聞き取れない
なんて言ったのか気になる
「今なんて・・「手、べたべたするな」
「あ、さっきジュース握りつぶしちゃったから」
「どうりで、洗いに行くか」
聞く隙を与えてくれない、聞くなってことだろうか
「氷室って何を考えているのか掴みづらい」
「オレなんか掴む必要ないだろ」
「そうかもしれないけど、でも」
「姫条はお人好しだよな、絶対いろんなこと損するタイプだ」
「・・・・そこは否定できない」
氷室に手を引かれて
今度はゆっくりと長い廊下を歩き出した




