↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/41

教会に避難します。

 村の人たちに囃し立てられるようにして、広場を追い出された私と殿下は、火を灯したカボチャのランタンを持ち、森の中を進んでいた。


「なんで、森なんかに行かなきゃならねーんだよ?」

「もしかして、村の人たちが安全にお祭りを楽しめるように、見まわりをしてこいって意味だったのかもしれませんよ?」


 村にはお年寄りも多い。お祭りで浮かれ騒いでいる間に、魔獣とか、山賊が襲ってくるかもしれない。

 だから、若い人たちが警備する事になっているとか?


「適当に回って戻んぞ。付き合ってられるかよ……」

 殿下は面倒臭そうに言って、さっさと歩く。

 森の中は静かで獣の声はしなかった。


「ま、魔獣は……いなさそうですね……」

「そうだな……」

「お、お祭り……楽しかったですね」

「そうだな……」

「お腹いっぱいになって、歩くのが苦しいです」

「そーだな」

 だんだん、殿下の相槌がおざなりになってくる。

 私たちが枯れ草を踏む音以外、聞こえてこない。


「そ、そういえば……色々と調べていましたけど、何か分かったんです?」

 黙って歩いているのが落ち着かなくて、私の口はいつもよりもおしゃべりだ。

「まあな……」

 ランタンの灯りに照らされる殿下の目は、森の先に向けられている。

 殿下がそれ以上話さないので、私も口を閉じた。


 私の目には前を歩く殿下の背中しか見えない。

 その上着に恐る恐る手を伸ばす。

 ちょっとつまもうとしたけど、すぐに手を引っ込めた。

 かわりに、自分のスカートをつかんでクシャクシャにする。

 

 森の空気は湿っていて草の匂いがした。

「で……」

 小さな声で呼ぼうとした時、急にジュード殿下が私の手をつかんだ。

 ビクッとして顔を上げると、木の陰に引っ張り込まれる。

 抱き寄せられるように、一緒にその場にしゃがんだ。


「あ、あの……っ!」

 いきなりの事に動揺して声を漏らすると、殿下の手が私の口を覆う。

 私は目を見開いて、近い殿下の顔を見た。

 息がしづらくて、顔が真っ赤になっているだろう。


 ランタンの灯りをすぐに消した殿下は、険しい表情で暗がりを凝視している。

 風に流されるように森に広がるのは、瘴気の黒い靄だ。

 それに気付いて、私も息を潜める。


 無意識にジュード殿下の上着をつかんでいた。

 木の陰から覗こうとすると、密着するような体勢になってしまう。

 そんな事を意識してしまう私と違って、ジュード殿下はいつでも攻撃できるよう片膝を立て、杖を上着のポケットから取り出していた。

 

 不気味な呻き声が森の奥から聞こえてくる。

 暗闇の向こうに現れたのは、赤い小さな灯りだ。

 その灯りは揺れながら少しずつ、こっちに近付いてくる。

 

 アンデットだわ!

 それもスケルトンの軍団だ。

 姿が見える頃には森の瘴気が濃くなっていた。


 私は狼狽えて殿下の顔を見る。

 口を開こうとして、ギュッと閉じた。

 声を出せば、スケルトンが気付くかもしれない。


 殿下は音を立てないようにゆっくりと立ち上がった。

 私の腕をつかんだまま、身を翻して村の方へと駆け出す。

 木々の間を迂回するように逃げるのは、できるだけアンデットを遠ざけるためだろう。


 アンデットはまだ気付いていない。

 息を切らして走りながら、私は「で、殿下!」と小さな声で呼んだ。


「ど、ど、どうするんです!?」」

「村に知らせるのが先だ」

 アンデットは村を襲撃するつもりなのだろう。

 村の人たちはお酒も入っているし、騒いでいるから、すぐには気付かない。


 村の灯りが見えてくる。

 森を抜けて広場に戻ると、「おや、もう戻ったのかい?」、「随分と早えーじゃねーか!」とおばさんやおじさんが冷やかしてくる。


「アンデットが森に出た。この村に向かっている!!」

 殿下が声を張り上げると、賑やかかった広場が静まり返った。

 演奏の音も止み、踊っていた人も中断して、急に酔いが醒めたような顔になる。


「ど、どういう事だ? アンデットが森に出ただと?」

 おじさんがお酒のカップを落として、信じられないように訊く。

 おばさんたちが小さく悲鳴を上げた。


「かなりの数がいる。避難できそうな場所は?」

 殿下は集まってきた村の人たちを見回す。

 みんな、顔を見合わせてざわつくばかりだ。


「教会は……どうかのぉ?」

 ヨボヨボの村長様が杖をつきながらやってくる。

「ああ、そうだな。村の教会に集まるしかない」

 村のおじさんが、頷いて声を上げた。

 賛同する声を上げる人もいれば、不安げな顔をする人もいる。


「教会に避難して、アンデットを防げるのか? ロアの村の事を思い出してみろ!!」

 誰かの上げた声で、全員が沈黙する。

 

「い、今から……領主様に救援を頼めばいいんじゃないのか?」

「それじゃあ、遅すぎるだろう! 村は全滅だ」

「司祭様、教会に聖水はどれくらいあるんだ?」

 おじさんが尋ねると、ヨボヨボの司祭様はオロオロする。


「い、一本くらいかのぉ……それも随分昔のものだから、効果が残っているかどうか……」

「こんな時に、教会は役に立たねぇ!!」


 こんな議論をしている間にも、アンデットは迫っている。

 私はジュード殿下の顔を見た。 

 口を出せる雰囲気でもないし、いい考えがあるわけでもない。

 黙ってるほうがよさそうだわ……。


「村から離れた場所に、全員避難できそうな場所は?」

 殿下が訊くと、村の人たちは首を振る。

 別の村に避難するにしても離れている。

 アンデットに追われて逃げてきた村人を、他の村の人たちが受け入れてくれるとは思えなかった。

 むしろ、アンデットを呼び寄せると、追い払われるかもしれない。


 何か考え込んでいた殿下は、顔を上げて近くにいたおばさんを見た。

「祭りのために豚を解体したよな。その時に抜いた血は?」

「そ、それなら、桶に残ってるよ。けど、血なんてどうするんだい?」

「必要なんだ。すぐに用意してくれ。それと、刷毛が必要だ。教会の礼拝堂を避難場所にする」

 おばさんたちは困惑しながらも、殿下の指示に従って動き出す。


「だが……教会で防げるのか?」

「いいから、早くしろ。もうそこまで来てんだよ。死にたくねーだろ!」

 殿下の声で、村のおじさんたちも武器になりそうなものを集めて、礼拝堂に移動する。


 教会の裏手から、おばさんが急ぎ足で戻ってきた。

 地面に下ろされた手桶の中には、並々と豚の血が入っている。

 おばさんは、不安そうな顔をして殿下に古い刷毛を何本か渡した。


「こ、これでいいのかい?」

「ああ……十分だ」

 村の人たちが礼拝堂の中に移動するのを見届けてから、ジュード殿下は私を見る。


「お前は手伝え」

「ど、どうするんです?」

「ロアの村の扉に描かれていた魔法陣、覚えてるだろ?」

「アンデット避けの……ですか?」

「ああ……効くのかどうか分からねーけどな。時間くらい稼げるだろ」

「わ、分かりました!」

 

 私と殿下は手分けして、礼拝堂の扉や窓に魔法陣を描いていく。

 学園で教わる正統魔法の魔法陣よりずっと簡単な図案だ。

 間違えないように、殿下が描く魔法陣を横目で見ながら真似をする。

 

 殿下は最後に、教会全体を囲むように地面に血を撒いていく。

 杖を向けて呪文を唱えると、その血が魔法陣の形に変わった。

 空になった手桶に刷毛を放り込む。


「教会に、鏡があったよな?」

「は、はい。着替えた部屋に……」

 村の人たちは礼拝堂に集まっているから、その部屋には誰もいない。


「その鏡を使って、ルシアンを連れて来い。お前の能力ならいけるだろ」    

「お、王都まで!? わ、分かりませんよ……そんなに遠くまで移動した事がないので……」

 でも、今まで移動距離の制限はなかった。

 鏡の中の距離は、実際の距離とは違う。

 空間がねじ曲がっているのか、別次元なのか分からないけど、移動時間は大幅に短縮できる。

 でも、やったことがないから不安だわ……。

 鏡の中で迷子になるかもしれない。


「いいから、やれ。できるはずだ。それと、ルシアンに、ありったけ聖水を持ってこさせろ」

 私の目を真っ直ぐ見て、殿下は有無を言わさない口調で言う。

「わ、分かりましたよ……で、でも、殿下もその間、無茶をしないでくださいよ。一人で戦おうとか考えないでくださいね」

「そこまで無謀に見えんのかよ。それに、こんな事に命掛ける気なんてねーよ」

 殿下は私の頭をポンと叩いて、礼拝堂の方へと歩いていく。

 

 ほ、本当かしら……。

 殿下はそう言いながら、誰かのために体を張るのだ。

 そう言う人だ。

 そういう人だと、私はもう……知っている。


◇◇◇


 礼拝堂と渡り廊下で繋がれた建物の中に入り、着替えをした部屋に入る。

 レースの頭飾りが邪魔で解いた。

 おばさんたちに結ってもらった髪だけど、今は元の髪型の方がいい。

 三つ編みを解くと、ウェーブ巻きになってしまっている。

 私はちょっとアワアワして髪を引っ張って伸ばした。

 も、戻らないわ!

 仕方なく、ウェーブ巻きの髪型のまま鏡に飛び込んだ。

 

◇◇◇

 

 鏡の中からヌルッと出てると、そのまま落下して床に転がる。

 私はゼーゼーと息を吐きながら、床についた両手に力を込めて体を起こした。


 お、王都に辿り着けたけど……き、きついわ!!

 クロールとバタフライを駆使して、鏡の中を泳いできたのだ。

 ウェーブ巻の髪がワカメみたいに顔に張り付いている。


 真っ暗な部屋だけど、公爵邸はここで間違いないはず……。

 私がキョロキョロしていると、部屋の扉が開いて灯りが差し込む。

 ナイトガウン姿で入ってきたのは、間違いなくルシアンさんだ!

 私は立ち上がり、ヨロヨロしながら近付いた。

 灯りを持ったルシアンさんは、暗がりから現れた私を見て、仰天したようだ。

 

 扉に背中をピッタリと押しつけて、つま先立ちになっている。

 小さな悲鳴が喉から漏れていた。

「ノース……せ……先輩……」

 息切れしながら呼びかけると、ルシアンさんは立ったまま気絶してしまう。

 傾いて倒れそうになるその体を、私は慌てて引っ張った。


「ノース先輩、わ、私ですよ。ジュード殿下の下僕のメアリーです!!」

 小声で言いながら、ルシアンの体を扉に立てかけて揺さぶった。

 そのたびに、ゴンゴンと頭が扉に当たっている。


 ハッとしたように意識を取り戻したルシアンさんは、私を見るなり白目を剥いた。また、気を失いかけているみたいだ。


「わ、わぁ、ダメです。幽霊じゃありませんから!! ジュード殿下の命令で来たんですよ。早くしないと、た、大変なんです!!」

「は……あなたでしたか……こんな夜更けに男の寝室に忍び込むとは、いけませんね」 

 ルシアンさんは震える手でメガネをかけ直す。

 動揺しているのか、上下逆さまになっていた。

 すぐに気付いて直すと、私の格好をマジマジと見る。


「おや……メアリーさん。しばらく見ない間に髪型が変わりましたね?」

「私の髪の事はいいんです! それより、ジュード殿下に、ノース先輩をすぐに連れてくるように言われているんです。アンデットが現れて、聖水がたくさん必要なんですよ!」

 私が早口で言うと、状況を察したのかルシアンさんは表情を変える。


「……分かりました。あなたはここで待っていてください。用意してきます」

 ルシアンさんはそう言うと、ランプを持って寝室を出て行く。


 戻ってきた時には、背中に大きな荷物を背負っていた。

 でも、着替える時間はなかったらしく、ナイトガウンとフワフワのルームスリッパという格好のままだ。


「では、行きましょう」

「は、はいぃ!」

 私はルシアンさんを連れて、もう一度鏡に飛び込んだ。

 

◇◇◇


 教会に戻った時には、教会はもうすでにアンデットに取り囲まれていた。

 でも、魔法陣の効果でか敷地内には入ってきていない。

 私とルシアンさんは部屋を出て、廊下の窓から外を覗いた。


「あの魔法陣、効果があったみたいです……」 

「魔法陣? アンデット避けですか?」

「この近くの村の扉に描いてあったんです。王都の魔法陣とは違うものみたいですよ?」

 殿下と違って魔法陣に詳しくないから、それ以上の説明はできなかった。


「ほぉ、それは興味深い。ですが、研究している時間はなさそうですね。行きましょう。あの方はどこです?」

「礼拝堂に村の人たちと一緒に避難中です!」


◇◇◇

 

「ルシアン……お前……なんで、その格好で来たんだよ?」

 それが、ルシアンさんと再会したジュード殿下の第一声だった。

 ドン引きした時の顔になっている。


 おばさんたちが、「あら、いい男だね!」と頬を赤らめていた。

 おじさんたちは、「あんた……その格好で村までやってきたのかい?」と呆気に取られていた。


 礼拝堂に避難した村の人たちは無事だったようで、ホッとする。

 ただ、アンデットは村の周りを囲んでいるから逃げ場がない。

 あの、魔法陣の効力もどれほど続くのか不安があった。


「夜中に呼び出したのはあなたでしょう。このまま帰りますよ?」

「いや、悪い……来てくれて助かった。聖水は?」

「十本ほど用意してきました。手持ちがこれ以上なかったのです」

 ルシアンさんは背負っていた荷物を下ろして、瓶を取り出す。

 村の人たちも集まってきて、物珍しそうに見ていた。


「この人は、教会の司祭かなんかかい?」

「違いますよ。金にものを言わせて教会を脅し、聖水を納入させているのです」

 ルシアンさんがそう答えると、村の人たちは「なるほどぉ」と頷き合っていた。


「で、どういう状況なんです?」

 長椅子を向かい合わせにして、ルシアンさんとジュード殿下が座る。

 私はおばさんたちを手伝って、お茶の用意をする事にした。

 村の男たちは、殿下とルシアンさんの周りに集まっている。

 

「祭りの最中に森にアンデットが現れた。それで、急遽この教会に立てこもったんだよ。魔法陣の効果で、今のところ入っては来ない」

 ジュード殿下はルシアンさんに、魔法陣を描いた紙を見せる。


「…………この辺りでは、この魔法陣が使われているのですか?」

 ルシアンさんが村の人たちに尋ねた。

「この村じゃ見た事がねぇな……けど……」

 おじさんは言い淀んで、周りの村人の顔を見る。

 

「隣のロアの村じゃ……使われていたのを見た事がある……」

 おじさんの一人が口を開くと、「おい!」と咎めるような声が上がった。


「隠していたって仕方ねーだろ! この村もあの村と同じようになっちまうかもしれないんだぞ」

「バカを言うな……ロアの村は……疫病で滅んだのじゃ」

「爺さんは村の連中の死体を見たのか!? 疫病なら死体は残る……けど、あの村じゃ、全員消えちまったんだ。アンデットにされちまったんだよ!!」

 おじさんが声を荒らげると、周りの人たちは沈黙する。

 礼拝堂の中に、重苦しい空気が広がった。

 

「お茶をいれたよ! 休憩しようじゃないかね。イライラしたって、始まらないんだから」

 恰幅のいいおばさんが手を打って注目を促す。

 私もおばさんたちを手伝って、みんなにハーブの茶を配った。

 カモミールのお茶のようだ。いい香りがして、気持ちが落ち着く。


「その……ロアの村というのは?」

 ルシアンさんがジュード殿下の顔を見て尋ねた。

「この村より西にある村だ。今は誰も住んじゃいない。村人が逃亡したとか、疫病とか、アンデットに襲われたとか噂はあるけど、理由は分かってねーよ……」

 殿下はお茶を飲みながら答えた。


 たぶん、殿下はずっと調べてたから、何かつかんでいるのだろう。

 でも、村人がいるこの場では話せない。

 私たちがロアの村に行った事は、村の人にも秘密だ。

 

「村の近くにアンデットが出た事なんてなかったんだ」

「この辺りは魔獣も出ない」

「魔獣が出ない? それはむしろ、おかしいだろ……」

 殿下は村の人の話を聞いて眉を潜める。


「ええ、そうですね。チェルダール地方は魔獣が多い事で知られています。定期的に領主が魔獣狩りを行っているはずですが、それでもまったく出なくなるという事はないはずです」

 ルシアンさんは村の人たちに視線を向ける。


「確かに、昔は多かったな……この村でも柵を作って防衛していたし、村の男で駆除を行っていた」

「出なくなったのは、二十年ほど前からだ」


「アンデットの気配を避けて、魔獣が移動した可能性があるな……」

 殿下が考え込みながら呟く。

「魔獣はアンデットが苦手なんです?」

 私が尋ねると、「性質が違いますからね」とルシアンさんが教えてくれた。


「棲み分けがはっきりしているんですよ」

「な、なるほどぉ」

 私は分かったような顔をして頷いておいた。


「とにかく……今は、アンデットを追い払う事が先だろうな」

 殿下が手を額にやって、面倒そうに溜息を吐く。

「朝になったら消えてくれたりしないです?」

「消えるかもしれねーが、消滅したわけじゃないんだ。毎晩襲ってくるだろうな」

 殿下の言葉に、村人たちがざわめく。


 ロアの村の家の扉には、アンデット避けの魔法陣が描かれていた。

 きっと、こんな風に、毎晩のように現れるアンデットから、息を潜めて隠れているしかなかったのだろう。

 けれど、それでも村の人たちは忽然と消えてしまった。

 この村も、いつそうなるか知れない……。

 

「あのアンデットを片付けたところで、元凶を叩かなければ意味がない」

 そうだわ……。

 お墓やダンジョンでも、死者の石に操られた親玉がスケルトンを生み出していた。

 親玉に魔力を供給している石を破壊しない限り、スケルトンは次から次に現れるし、倒せない。

 その親玉がどこにいるのか、私たちは知らない。

 すぐに見つけられたらいいけれど、姿を見せずに隠れている事もある。

 

「……しょうがねぇな……ルシアン、聖水の瓶を半分よこせ。お前はここに残ってろ。メアリー、お前は俺と来い」

「は、はいぃ!?」

「どうするんですか?」


「片付けんだよ。じゃねーと、家に帰って寝られねーだろ」 

 殿下は長椅子から立ち上がる。

 ルシアンさんは止めるかと思ったけれど、荷物の中から聖水の瓶を五本取りだしてジュード殿下に渡していた。


 こういう時、殿下なら大丈夫だだと信頼しているんだわ。

 私もグッと顔を上げる。

 あ、足手まといにならないようにしないと……!


 村の人達は親切で、優しくしてくれた。

 怪しいのに、いきなりやってきたよそ者の私たちを村で受け入れてくれた。

 この小さな村と、村の人たちを守りたい。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。