第12話 あたしと一等級の連中に任せな
海竜の祠──中央玄室。
そこは、武三郎たちが20匹を超える地鬼と、2匹の地鬼群長を相手に激戦を繰り広げた、広大な玄室の一つだった。
かつては無数の地鬼が蠢いていた広間も、今は不気味なほど静まり返っている。
床に散乱していた地鬼の骸は、淳三とレナの術式によって処理され、残っているのは黒い微塵と、戦いによって刻まれた傷跡だけ。
壁面や床には、激しい戦闘の爪痕が生々しく残っているのみである。
真愛凛は玄室を一通り見渡すと、何かに感付いたかのように、静かに口を開いた。
「さて……まずは祠の外周辺の安全を確認しようかねえ」
その声に、淳三と向日葵が顔を上げる。
「淳三、向日葵。式神を外に出してくれるかい」
「任せて頂戴」
「分かったわ」
淳三は懐から1枚の形代を取り出し、指先で印を結んだ。
「天翔神翼、金光照臨、急急如律令──金鵄」
対して向日葵は、3枚の形代を懐から出し印を結ぶ。
「清風招来、天穹翔破、千里遠望、急急如律令── 雀陰」
淳三の形代からは、淳三の形代からは、眩い金色の光が迸ると、瞬く間に1羽の巨大な霊鳥へと姿を変える。
鋭い嘴に、陽光を浴びたような黄金の羽。広げた翼は堂々たる威容を誇り、その瞳には人ならざる知性の光が宿っていた。
式神── 金鵄。
高位の陰陽師のみが使役を許される、格式高き霊鳥の式神である。
一方、向日葵の3枚の形代からは、3つの白い光となると『ぽんっ』と軽い音が弾け、それぞれから小さな雀が姿を現した。
姿や大きさは普通の雀と変わらない。
しかし、その身体は淡い霊光を纏い、黒い瞳には式神としての鋭い光が宿っている。
式神── 雀陰。
向日葵が使役する、偵察に特化した式神だ。
淳三が召喚した金鵄きんしの、その荘厳な姿に、レナがうっとりと見惚れている。
「わあ……超キレイな式神!淳ちゃん、今度背中に乗せてよ」
武三郎は金鵄を見上げながら、淳三にぼそりとぼやく。
「バカでけぇ鳥出してきたけど、ちゃんと外出れんのかよ?」
「タケちゃん、バカにしちゃいけないよ」
淳三は得意げに胸を張った。
「こいつはねえ、身体を粒子に変えて、狭いところもササァっと抜けちゃうんだから。それに金鵄とは互いに理解を深めた夫婦みたいなもんだからね。ここは任せてよ。なあ、金鵄」
そう言って、淳三が金鵄の身体をポンポンと叩いた、次の瞬間。
『ドスッ!ズガッ!』
「ぐおっ!?」
金鵄の嘴が、淳三の頭へ高速で突き刺さった。
「痛たたたたっ!ちょい、待って!待って!」
『ドスッ!ズガッ!ゴツッ!』
「あたた!いたた!ほら、こいつも喜んでいるだろう?いたたっ!」
「理解深めた夫婦してねえじゃねえか!バカやろう!」
武三郎が呆れ果てた顔で叫ぶ。
「いやいや、照れ屋なんだよ、こいつは!痛たっ!ちょっと金鵄落ち着きなさいよ。僕死んじゃうからね」
「頭ぁ血ぃ流してるじゃねえか!」
なおも嘴を突き立てる金鵄を前に、武三郎の突っ込みは絶好調。
「向日葵ちゃんの式神の雀、凄い可愛い♡」
「本当だね。お姉さんも癒やされるよ〜」
「んだべな〜。淳兄さんの、ど突いてくる鳥っこより、雀っこの方が、よっぽど癒やされるべぇ」
向日葵の右肩と腕には、3羽の雀陰じゃくおんがちょこんととまっている。
その姿に、あんず、綾香、清志郎の3人も、すっかり目を細めていた。
向日葵は嬉しそうに3羽を撫でながら、頬を寄せる。
「この子たちはね、ちゃん太と、ちゅん助と、ちゃん子っていうんだよ」
そう言って、向日葵は3羽にそれぞれ頬擦りする。
「ちゃん太、ちゅん助、ちゃん子。空から偵察よろしくね」
3羽の 雀陰が、それぞれ小さく鳴いた。
「ちゅん!」
「ちゅんちゅん!」
「ちゅんっ」
「わぁ、返事までしてる。可愛すぎて、お姉さん仕事を忘れそうだよぉ」
綾香は目をキラキラさせながら、3羽の 雀陰に見入っている。
「向日葵ちゃん、普段との落差が凄いね。タケには虫でも見るような目をするのに」
レナがくすくすとわざとからかうと、向日葵は慌てて言い返す。
「ち、違うから!式神を可愛がるのは陰陽師として普通なの!あっ、タケは……まあ"虫のように見てる"っていうのは、合ってるかな」
「聞こえてんぞ、コノやろう!」
武三郎の怒鳴り声が玄室に響き、3羽の 雀陰が一斉に「ちゅんっ!」と肯定するかのように羽を震わせた。
向日葵と淳三は、それぞれの式神へ意識を集中させる。
淳三の金鵄が、淡い光を帯びると、その姿は無数の光の粒子へと変わった。
粒子は、まるで風に乗るように宙を舞い、祠の出口へ向かって一直線に飛んでいく。
向日葵の3羽の 雀陰は、そのまま小さな翼を羽ばたかせながら出口へ向け中央玄室を抜け、祠の外へと飛び出していく。
外へ出ると、光の粒子は一気に集まり、瞬く間に本来の大きさを取り戻す。
金鵄は、大きく翼を広げると、空へ向かって力強く飛翔していった。
3羽の 雀陰も、それぞれ別々の方向へと飛び去っていく。
上空へ向かうもの。
祠の裏手へ回るもの。
そして、海岸沿いへと向かうもの。
広い範囲を分担して、祠の周囲を探り始めた。
「よし。これで大丈夫だね」
真愛凛が2人へ声を掛ける。
「2人とも、ご苦労さん」
「いいの、いいの、礼なんて。あとで真愛凛ちゃんにお酌してもらうから」
「私も別に礼を言われる事じゃないし……」
「ふふ……ありがとうね」
真愛凛は2人に礼を述べると、年頃の娘らしく、照れながら不貞腐る娘の顔を見て、笑みを浮かべた。
祭壇手前の玄室に1足を踏み入れる一同。真愛凛は視線の先にある存在に向けると、その笑みはふと消える。
そこには、1枚の外套が掛けられ横たわる数馬の遺体があった。
そして、向日葵とあんずへ視線を戻す。
「……向日葵、あんず。あんた達、結界を張ってくれたんだね」
「あっ、はい。あたしは魔除けの結界。向日葵ちゃんは防腐の結界を、それぞれ張りました」
「この祠は海辺だ。潮風も入るし、ここに放置されていたら遺体の腐敗も進んじまう。それだけじゃない。外から瘴気や魔物が入り込めば、仏さんが荒らされていた可能性もあるからね」
そして、2人を見つめて柔らかく微笑んだ。
「それを防いで、この子の遺体を守ってくれたんだね。よくやったよ向日葵、あんず。偉かったね」
「……おっかさん」
向日葵もあんずも、少し戸惑いながら真愛凛を見つめる。
そんに2人に真愛凛は、優しく頷いた。
「亡くなった人を守るのも、冒険者の大切な務めだからね」
「いつも出来る訳じゃないけど、可能な限り供養はしているつもりだよ。おっかさん」
あんずの犬耳が、嬉しそうにぴくりと動かしながら「うん、うん」と頷いた。
真愛凛は再び表情を引き締めると、その視線の先にある一枚の外套へ目を向ける。
しばし無言で見つめると、ゆっくりと歩み寄った。
数馬の傍らまで来ると、静かに膝を折り、外套の端へ手を伸ばし、そっとめくった。
遺体の状態を確かめると、真愛凛はしばらく何も言わずに見つめていた。
やがて、外套を元通りに掛け直すと、先ほどまでの豪快な笑みは消え、その表情には深い悲しみが浮かんでいた。
「……最後まで仲間を想って散っていったんだねぇ」
静かで心から労う声だった。
「あんたの、生き様をしかと見せてもらったよ」
真愛凛は、数馬の遺体を見つめ続ける。
「でもね……生きて元気な姿の、あんたも見たかったねえ」
ほんの僅かに、寂しそうに目を伏せる。
「後はあたしらに任せて、ゆっくり休むんだよ」
それだけ告げると、真愛凛は懐から線香束を取り出し、指先で小さく印を結ぶと、線香の先に小さな火が灯った。
真愛凛はそれを数馬の傍らに静かに添えるると、両手を合わせ、目を閉じた。
その姿を見た一同も、誰一人として言葉を発することなく、静かに手を合わせる。
武三郎も、清志郎も。
向日葵も、あんずも。
レオも樹玄も。
そして、真愛凛率いる一等級冒険者たちも。
誰もが、数馬の冥福を祈った。
広大な玄室には、しばし静寂だけが満ちていた。
その静けさの中、線香の煙だけが細く立ち昇り、海竜の祠の天井へと消えていった。
真愛凛は静かに立ち上がると、武三郎に声を掛けた。
レオと樹玄、武三郎と清志郎も加わり、4人で数馬の亡骸を丁重かつ慎重に回収袋に包んだ後、真愛凛は静かに立ち上がり、武三郎に声を掛けた。
「仏様に外套を掛けたのはタケかい?」
「……はい。おいらのです。勇敢な侍への手向けになるかは分かんないですけどね」
回収作業で血に染まった手袋を脱ぎながら、答える武三郎に真愛凛は柔らかな笑みを浮かべ、静かに首を横に振った。
「それでいいんだよタケ。万三郎もきっとそうするさ。弟子である、あんたやキヨは、この人の分まで強くなるんだよ。いいね?」
その言葉が深く心に染み、武三郎も清志郎もぐっと涙を堪えながら、笑顔を作る。
「姐さん。見てて下さいよ。おいら……このあんちゃんの分まで、強くなってご覧に入れますよ」
「んだべ。姐さんが腰抜かすくらい、強くなってやるべ」
「うんうん!」
真愛凛は満足そうに頷くと、武三郎と清志郎の髪をくしゃくしゃになるまで撫で回した。
それから、レオと樹玄へ視線を向ける。
「そして、お2人には……大切な仲間であり、家族のような存在を失ったこと、改めてお悔やみ申し上げるよ。あたしらが力になれることがあれば、遠慮なくいっとくれ」
レオは静かに首を横に振った。
「とんでもない。あなた方に、こうして心を尽くしていただいた。それだけで、数馬は幸せ者ですよ」
樹玄も深く頭を下げる。
「我々とは出会って間もないどころか、顔を合わせたことすらない数馬に、ここまでしていただいたこと……この樹玄、終生忘れませんぞ」
そして、真愛凛をまっすぐに見つめる。
「この御恩、必ずや報いましょう」
真愛凛は2人の言葉を聞くと、少しだけ目を細めやんわり微笑んだ。
「……そうかい」
それ以上は何も言わず、ただ静かに頷いた。
祭壇の部屋に続く中央の扉と、左右に2つの扉が設けられているが、左の扉は、レオと樹玄が次なる贄として、朱音に拉致された部屋であり、六等級の4人が初めて出会った場所。
そして、その反対側の右の扉。
ここは、固く閉ざされ、入ることすら出来なかった扉である。
向日葵が、その扉を見ながら口を開いた。
「右の部屋は、朱音が強力な封印を掛けていて開かなかったの。淳兄やレナ姉なら開けられるかもしれない」
淳三が扉を眺めながら、難しそうに唸る。
「こりゃあ……術式を解析しなくちゃいけないから、解除するだけでも、数日はかかっちゃいそうだねぇ」
「私も試してみるね」
レナも扉へ歩み寄り、魔法術式を展開する。
淡い光を帯びた魔法陣が浮かび上がり、封印へ干渉していく。
しかし、しばらくしてレナは首を横に振った。
「術式の系統が違うから簡単にはいかないね。私が解除するとしても……やっぱり数日は必要かな」
「数日か……」
我衆が腕を組み、扉を見つめる。
「なら、斬っちまうか?」
「うむ。それが手っ取り早そうだな」
我衆と源蔵が、それぞれ刀へ手を伸ばす。
「待て」
無形は短く呟き、2人を止めた。
「お主ら、斬撃による罠の誘発は愚の骨頂だ」
「確かに……良くねえ。何でもかんでも壊しちゃいけねえよな」
「うむ。一理ある。忌々しい扉なれど、目先の感情で皆を巻き込むのは、火事場に油を撒くようなものだな。どうか許せい」
あんずが綾香の背中に隠れながら、ブルブル震えている。
「ま〜ったくもう、我衆も源蔵も、すぐ刀で斬ること考えるんだから……慎重にならないと駄目でしょ?」
「いやぁ、綾香。俺にしては慎重に考えて扉を壊そうとしてたんだぞ?」
「どこがよ〜。お姉さんヒヤヒヤしたよ」
そんなやり取りをよそに、真愛凛は静かに扉の前へ歩み出た。
「どれ……ちょいと見せてもらおうかねぇ」
扇を手にしたまま、真愛凛が印を結ぶ。
次の瞬間、彼女の周囲に、淀みのない霊力が静かに満ちていった。
「……解く」
短い言葉とともに、術式が展開されるると、扉を覆っていた封印の五芒星が光りだすと、真愛凛の術式が発する五芒星の光が覆い被さり、幾重にも絡みついていた術式が、1つ、また1つと解けていく。
やがて、パリンと割れるような音が響くと同時に、扉の封印が完全に消え去っていた。
「……え?凄いじゃない、真愛凛ちゃん!」
淳三が目を丸くする。
「うそぉ……姐さん、涼しい顔で解いちゃった」
レナも呆然と扉を見つめると真愛凛が何事もなかったかのように振り返る。
「まあ、あたしにかかれば、こんなもんさ」
「……さすが姐さん」
武三郎が感心したように呟くと、真愛凛は軽く手を振る。
「感心してないで、部屋の安全確認をするよ」
「承知した」
無形がすっと前へ出て扉の前に立ち、周囲へ鋭い視線を走らせる。
扉の隙間、床、壁、天井。
僅かな違和感も見逃さぬよう、慎重に確認していく。
やがて、無形が小さく頷いた。
「……罠はない」
「なら、開けてみな」
「承知」
無形が扉へ手を掛けると、重い音を響かせながら、封印されていた扉がゆっくりと押した。
扉が開くと、1人で部屋の中へと足を踏み入れると、忍者刀に添えたまま、周囲へ鋭い視線を走らせる。
床、壁、天井。
隠し扉や仕掛け、潜んでいる者がいないかを慎重に確認していく。
「……異常はない」
無形がそう呟いた直後だった。
「……これは!」
その声に、真愛凛の表情が変わる。
「どうしたんだい?」
真愛凛が無形のもとへ歩み寄る。
そして、足を止めた。
「……」
「おっかさん、どうしたの?」
向日葵も心配そうに駆け寄る。
だが、真愛凛の隣から部屋の中を見た瞬間、その足が止まった。
「……え」
そこにあったのは、白骨化した遺体だった。
部屋の隅には、攫われた初級冒険者と思われる者たちの骨が、無数に散乱している。
床には乾ききった血痕が大量にこびりつき、壁際にまで赤黒い跡が広がっていた。
その光景を目にした一同は、この部屋で何が行われていたのかを理解するには十分だった。
真愛凛も、しばし言葉を失う。
ここは、朱音が手に掛けた初級冒険者たちを『贄』として処理するための場所。
身体を切り刻み、血肉を術式に用いたあと、残された骨や痕跡を外部から隠蔽するための部屋だったのだ。
散乱した骨の中には、折れているもの、砕かれているものもある。
初級冒険者たち全員の息の根を止めたあと、血肉は一片も残さず削ぎ落とされたのだろう。
どの骨にも乾いた濃い血が生々しく残り、もはや白骨というより、赤黒く染まった骨と表現したほうが近い。
誰の、どの骨なのか、もはや判別することすら困難な有様だった。
向日葵は息を呑み、声を震わせる。
「……こんな」
そこへ、武三郎たちも続いて部屋へ入ってくる。
「向日葵、どうした?」
武三郎の言葉が止まった。
清志郎も、あんずも、その場で足を止める。
「……っ!!」
あまりにも凄惨な光景に、向日葵の身体から力が抜けた。
「向日葵!」
倒れ込みそうになった身体を、後ろから武三郎が咄嗟に支える。
「おい、大丈夫か!」
「……ごめん。ちょっと……」
武三郎は向日葵の肩を抱いたまま、ゆっくりと自分の後ろへ押しやった。
「無理して見るんじゃねえ」
大きな背中が、向日葵の視界を遮る。
「……タケ」
「お前が見る必要ねぇ」
一方、あんずはその場に立ち尽くしていた。
身体が小刻みに震え、犬耳は伏せられて、丸い尻尾は内側に巻かれている。
「……何これ?」
その呟きを聞いた綾香が、すぐにあんずのもとへ駆け寄った。
「あんず!」
綾香は何も言わず、震える身体をぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫……お姉さんがここにいるからね」
「……綾香姉様」
あんずは綾香の胸元へ顔を埋め、震える身体を必死に落ち着かせようとする。
レオは、目の前の光景に戦慄していた。
「……これが……朱音のやったことなのか」
その隣では、樹玄が静かに数珠を手に取る。
「供養せねばなるまい」
低い読経が始まった。
樹玄は一体、また一体と白骨へ視線を向けながら、片手で拝みながら、亡き者たちのために供養の経を唱え始める。
我衆は眉間に深い皺を刻み、嫌悪を露わにした。
「……胸糞悪ぃな」
源蔵も険しい顔で、血の跡を睨みつける。
「命を軽く見る愚か者は、後を絶たぬものよ……」
レナは声を上げることもなく、じっと室内を見つめていた。
だが、その手だけは、淳三の陰陽装束の袖を、ぎゅっと掴み離さなかった。
「……」
淳三も目の前の恐ろしい光景に言葉を失っていた。
ただ、袖を掴むレナをさり気なく見守ることが精一杯だった。
真愛凛は静かに部屋を見渡した。
「男衆……まずは、この子たちを残さず回収するよ。骨1片足りとも残さず、連れて帰ってあげようね」
その言葉に、武三郎と清志郎、我衆、源蔵、無形、淳三、そしてレオと樹玄も頷いた。
男たちは、真愛凛が用意した手袋を嵌めると、散乱していた骨を一つずつ拾い上げ、丁寧に回収袋へ収めていく。誰のものなのか判別は出来ないが、それでも決して乱雑には扱わなかった。
「……せめて、ちゃんと帰してやらねえとな」
武三郎が小さく呟く隣で、清志郎も無言のまま、足元に残っていた骨を拾い上げる。
「若ぇ奴だって、こんな姿になりたくて冒険者になったわけじゃねえのによ。切なくなるといったらありゃあしねえな」
「お前の言う通りだな。まずは、彼らを拾い上げて、供養するとしよう」
丁寧に犠牲者の骨を拾い集める我衆も源蔵もやりきれない表情を浮かべた。
やがて、散乱していた骨は一つ残らず回収袋へ収められ、玄室広間中央に一時的に安置された。
残るは、祭壇の部屋の調査と朱音の遺体の回収のみである。
「男衆、ご苦労さま。さて、最後のお部屋に行こうかね」
真愛凛は中央の扉を開くと、先頭を切って祭壇の部屋へと繋がる通路を歩き始めた。
いよいよ祭壇の部屋へと足を踏み入れる13人の冒険者たち。
先ほどまでとは、空気が明らかに違っていた。
血で描かれた、巨大な赤い五芒星の床。
その中心には、黒く焼け焦げた痕跡が幾つも残されている。
淳三は周囲を見渡しながら、ゆっくりと息を吐いた。
「……穢れがあった気配は感じるんだけど、ここの残っているのは……」
隣に立つ綾香も、目を細めて玄室の奥を見つめながら、胸元へ手を当てる。
「うん。確かに感じる。でも……なんだろうね。穢れが、まるで何かに洗い流されたみたいになってる」
「そう! それだよ。綺麗に洗い流されていると言う感じかなあ?本来なら、もっと濃く残っていてもおかしくないんだけどねぇ。術式そのものが清らかな神気で洗われたような感じかなあ!」
淳三も珍しいものを見たかのように驚いていると、清志郎が、ふとあんずへ視線を向けた。
「それって、モフ子が『神降し』した時に放った、神威の影響かもしれねぇべ」
「神威?」
あんずが小さく呟く。
「アタシ『神降し』されている時、記憶は海竜さんとお話している記憶しかないんだよね」
「お前、すげぇかったべな。急に起き上がったと思ったら、別人みてぇに語り出してよぉ。そしたら今度は、水の波紋みてぇな神威をぶっ放したべ」
清志郎が興奮気味に語るも、当のあんずはというと、きょとんと目を瞬かせていた。
「何のこと?」
まるで身に覚えがないあんずに、真愛凛は優しく問いただしてみる。
「ねえ、あんず。あんた覚えてないのかい?」
「はい……私が海竜さんを抱きしめた時、穢れが浄化すると海竜さんは一度、天に登るように、しばらく目の前から消えたこたがあったけと……海竜さんが戻るまでは、しばらくポツンと
残った感じでした」
「……そうかい」
困ったように首を傾げるあんずに、真愛凛は静かに目を細めた。
本人には、神威を放ったという自覚がまるでない。
それどころか、あんずの中に宿った神の力が、どこまでのものだったのかすら理解していないのだろう。
それが、真愛凛には少し恐ろしくもあった。
放たれた強大な力は相当なものだろう。
本人はただ海竜を救いたいという一心のみで、放ったのは、あんずを依代とした海竜。
力を求めたわけでもない。
誰かを傷つけようとしたわけでもない。
あんず自身がまだ知らない力を、神の意思によって行使しているのだとしたら、今後も同じようなことが起こる可能性はある。
『神降し』は2000年前に、邪神大蛇を封印した巫女が最初とされている。
以来、数人の巫女が『神降し』をすることで厄災を退けたという記録は残っているが……300年前を最後に、目にする者はいない。
そもそも、本来術者の力量だけで扱えるものではないとされ、過去に代償として命を落とした巫女もいるとされる。
真愛凛は過去の少ない文献から調べて、分かるのはそのくらいであるが、あまり良い話とも言えない。
只でさえ普段から、怖がり巫女のあんずを、これ以上、怖がらせるべきではない。
真愛凛は胸の内に浮かんだ不安をそっと押し込み、あんずへ柔らかな笑みを向けた。
「まあ、分からないものは仕方ないさ。無理に思い出そうとしなくていいよ」
そう言って、優しくあんずの頭を撫でると真愛凛は再び祭壇へ目を向けた。
祭壇の中央には、異様な存在感を放つ巨大な甕が据えられており、大人が一人、すっぽりと入ってしまいそうなほど大きく、口も広い。
表面には古い術式と思われる文様が刻まれ、その周囲には黒く変色した痕跡が残っている。
そして何よりも目を引くのは、甕の縁から滴り流れる血。
「……あれは」
目を細める真愛凛。その甕の手前には、黒幕の朱音の亡骸が横たわっていた。
顔には化粧が施され、乱れていた髪も綺麗にとかされている。
真愛凛は、しばし何も言わずに朱音の顔を見つめると、ふっと向日葵とあんずへ視線を向ける。
「向日葵、あんず。あんたたちは、本当に優しいねえ」
「……ごめん、おっかさん」
向日葵は少し俯いた。
「酷い女だって分かってるんだけど……何か、切なくて。つい……」
あんずも胸の前で手を握り、ぽつりと口を開く。
「姐様……アタシも上手く言えないんです。寂しいというか……せめてもの手向けというか……。ただ、そうしたかったんです」
真愛凛は2人を見つめ微笑んだ。
「そうかい。それで良いんだよ」
そして、もう一度朱音へ視線を戻す。
「あんたたちが、そういう子だってことを改めて分かって……あたしも安心したよ」
真愛凛は朱音の亡骸を見下ろした。
しばらく黙ったあと、静かに語りかける。
「何で、祟り神なんてものを降臨させようとしたんだい?」
返事が返ってくるはずもないのだが、それでも真愛凛は、まるで生前の朱音に問いかけるように続けた。
「バカな子だよ、あんたは」
声には、怒りだけではなく、どこか、やりきれない哀しみが滲んでいた。
「顔も綺麗なんだ。そんな歪んだお遊びなんかしないで、普通に冒険者をして、普通に恋をして、女としての幸せを謳歌する選択肢もあったろうに。そうしてりゃ、旦那を見つけて、子供にも恵まれて、笑って暮らす人生だって、あったかもしれないのにねえ」
真愛凛は、静かに目を伏せる。
「なのに……どうして、こんな暗闇の深淵にまで来ちまったんだい」
その言葉を最後に、真愛凛は口を閉ざしたり
目の前にいるのは、哀れな1人の女であると同時に、多くの命を奪い、祟り神を降臨させようとした呪禁道の術者である。
その現実を、真愛凛は静かに受け止めていた。
そして、目の前にある巨大な甕へ歩み寄る。
真愛凛はしばし甕を見つめたあと、静かに蓋へ手を掛けた。
ゆっくりと蓋を開く。
「…………」
中を覗き込んだ真愛凛の表情は変わらない。
ただ、僅かに唇が固く結ばれた。
そして何も言わず、そっと蓋を閉じる。
「おっかさん……中身は何が?」
向日葵が恐る恐る尋ねる。
「見なくていいよ」
真愛凛は、静かに首を横に振った。
「見るものじゃない」
それ以上、真愛凛の口から中身について語られることはなかった。
向日葵も、他の者たちも、それ以上尋ねようとはしなかった。
蓋が閉じられてなお、巨大な甕の周囲には、鼻を刺すような濃い血の匂いが漂っている。
その匂いだけで中に何があったのかを、理解するには十分だった。
「真愛凛ちゃん……金鵄が捉えたよ」
淳三が、式神を通じて得た視界から何者かの姿を確認する。
真愛凛は静かに顔を上げた。
「やはり、お目当てのコイツを取りに来たかい」
その表情に、動揺の色は微塵もない。
まるで、すでに起こることを予見していたかのようだった。
「……朱音はやはり、奴らと関係があったようだね」
淳三は小さく頷く。
「金鵄が捉えた数は8人。黒い深編笠と外套を纏った連中が一斉に海竜の祠に向かってるよ」
真愛凛は扇を閉じると、2人の一等級冒険者へ視線を向ける。
「無形、源蔵。やってくれるかい?」
「承知」
「任された」
二人が同時に応じると無形は音もなく一歩前へ出る。
源蔵も腰の刀へ手を添え、玄室の入口へと視線を向けた。
「奴らは、理想のためなら人の命なんざ塵芥な連中、遠慮はいらないよ。全て斬り捨てな」
真愛凛から、正式な討伐の要請が下された。
「では、最初の玄室で迎え撃とう」
無形が短く告げると、真愛凛も頷き、両手を組んで印を結んだ。
すると淡い光が集まり、1羽の白い鴉の霊鳥が姿を現した。
霊鳥は真愛凛の前で翼を広げると、流暢に語りかけた。
「真愛凛、何用だ?」
「ちょいと、お使いを頼まれてくれるかい?」
「うむ。何なりと申せ」
「この村から近い場所にある砦へ赴いて、国侍にあたしの名で伝えておくれ」
真愛凛は、はっきりとした口調で告げる。
「『海竜の祠にて奴らと刃を交える。数は8人』そう伝えてくれればいい」
「承った」
白い鴉の霊鳥は一度大きく羽ばたくと、祭壇の最奥へ向かって飛び去った。
その先にある海原へ抜ける出口から、白い影が海風を受けながら遠ざかっていく。
真愛凛は霊鳥の姿を見送ると、武三郎と清志郎が側に駆け寄る。
「姐さん、何が来たんだ?おいらも行きますよ」
武三郎が刀の柄へ手を掛け、清志郎も表情を引き締めた。
「んだべ。穏やかじゃねぇべな」
「おっかさん、何が起きているの?」
向日葵も真愛凛へ詰め寄る。
武三郎、清志郎、向日葵、あんずたちの4人顔にも、緊張が走った。
だが、真愛凛はそんな4人を見回すと、向日葵の肩をぽんと軽く叩いた。
「あんたたちにも、いずれ話す。今回はここで待機しておくれ」
「でも……」
「向日葵」
真愛凛の声が、ほんの少しだけ低くなる。
「これは、副ギルドマスターとしての指示だよ」
その一言に、向日葵は言葉を呑み込んだ。
普段の気さくな母親ではない。
そこに立っていたのは、浅草雷ギルドを束ねる副ギルドマスターとしての真愛凛だった。
「あたしと一等級の連中に任せな」
そう言ってから、真愛凛は不安そうに自分を見つめているあんずへ視線を向ける。
「真愛凛姐様……」
あんずの犬耳が、しょんぼりと伏せられた。
「私たち、とんでもないことをしてしまったんでしょうか……?」
真愛凛は、そんなあんずの頭へそっと手を置いた。
「そうじゃないさ」
優しく撫でながら、穏やかに答える。
「連中が欲しがってるのは、あんたたちじゃない。この呪具さ」
「呪具?」
あんずが、祭壇に置かれた巨大な甕へ目を向ける。
「そうさ」
真愛凛も甕へ視線を向けた。
「本来、あんたたち六等級が関わるような案件じゃなかったんだけどねえ……」
そして、少しだけ苦笑する。
「朱音を討伐したからには、浅草へ帰ったら、ちゃんと事情を話さないといけないねえ」
「……はい」
あんずは小さく頷くと、真愛凛はもう一度、その頭を優しく撫でる。
「心配しなさんな。あんたたちが悪いことをしたって話じゃないんだからね」
海竜の祠──最初の玄室。
入口から侵入した8人の男たちが、音もなく姿を現した。
頭には、顔をすっぽりと覆い隠す黒い深編笠。
身体には、闇に溶け込むような黒い外套を纏っている。
誰一人として口を開かず、ただ無言のまま玄室の奥へと進んでいく。
目的は、朱音が残した巨大な甕の回収。
だが、入口前に停められた、数頭の馬と荷物を運ぶための山駆と荷車があることから、先行した何者かがいる事は間違いない。
考えることは只一つ……その場で始末する。
甕を回収する上で邪魔になるだけでなく、自分たちの存在や痕跡を残さないためにも、容赦は一切しない。
8人の男たちは、誰一人として言葉を交わずとも、共通の認識だった。
「ぐああっ!」
最後尾を歩いていた男の口から、突然、短い悲鳴が漏れた。
前を歩いていた7人が一斉に振り返ると、そこには、首を失い血飛沫を上げる仲間の姿と、深編笠を被った首が宙を舞っていた。
どさり、と首が転がり、胴体が床へ崩れ落ちる。
「1人残らず生かして帰さん」
いつの間に現れたのか、忍の無形が男たちの背後にいた。
手にする忍者刀には、一滴の血すら付着しておらず気配も、殺気も感じさせぬまま1人目を仕留めていた。
「!」
残された7人の男たちは、声を発することなく無形を見つめる。
そして玄室の最奥へ続く通路からは、カツ、カツ、と重い脚具の音が響いた。
漆黒の暗闇から鉱人の侍、羅生院 源蔵が姿を現し、ゆっくりと歩み寄ってくる。
腰の刀へ手を添え、いつでも抜刀できるよう構えながら、深編笠の男たちを睨みつけた。
「うぬら、理想の果ての狂人の輩か?」
「……」
返事はない。
「別に喋らなくともよい」
源蔵の口元が、にやりと吊り上がる。
「素性はわかっている……ここが墓標だ」
その瞬間、2人の深編笠の男たちが同時に刀を抜き、左右から源蔵へ躍りかかる。
──キィンッ!
鋭い金属音が玄室に響くと、源蔵が抜刀して一閃を放った姿と、手にした刀と深編笠ごと斬り伏せられた1人目の光景だった。
そして隼の如き二閃目を放つと、もう1人の男の頭上へ、凄まじい勢いで刀が振り下ろされ、深編笠が縦に裂けた。
その下から現れたのは、額から顎まで一直線に斬り裂かれた森人の歪んだ顔が覗く。
そして、声を上げることすら出来ず、地に叩き伏せられた。
源蔵は血振りをすると、刀を構え直す。
「次は、誰が閻魔様のところに行くのかな?」
玄室に、重い沈黙が落ちた。
わずかな数瞬で8人いた男たちは、すでに5人に減らされた時、ようやく目の前の侍と忍の実力を悟った。
無形と源蔵
どちら1人を相手するだけでも、5人にとって危険な存在そのもの。
しばらくして、無言のまま視線を交わすと、二手に分かれた。
源蔵の前には、刀を手にした1人の男と、陰陽師らしき1人の術者。
無形の前には、同じく刀を構えた2人の男と、後方で真言を唱え始めた陰陽師の術者1人。
源蔵は5人を見回し、口元を歪めた。
「ほう……二手に分かれて俺たちを相手取るか。後方の術者が要とな。面白い……試してみるが良い」
刀を握る手に、ゆっくりと力が込もる。
一方、無形は自分に殺意を向ける3人を、静かに見据えていた。
刀を構える2人の男たちは、後背の陰陽師に攻撃が届かぬよう徹底している。
苦無を放っても、刀で弾き返すだろう。
無形は僅かに身を沈めた。
陰陽師の真言も終わり、周囲の霊力が徐々に集まり始めると
無形の目が殺意に満ちた。
「……纏めて潰す」
そう呟いた瞬間だった。
無形は背中に装着している卍型手裏剣を取り出した。
その大きさは、無形の手のひらの3倍ほどもある。
両手で扱うほどではないものの、通常の手裏剣とは比べものにならない大きさと重量感。
忍が持つには、不向きな得物であるのだが、無形本人は意にも介さず、その巨大な刃を水平に構えると、上半身を右へ大きく捻った瞬間、その反動を乗せるように身体を左へ回転させる。
そして、回転の勢いをそのまま腕へ伝え、手裏剣を放った。
手から放たれた卍型手裏剣は、高速で回転しながら一直線に飛翔する。
鋭い刃は、空気を切り裂き、甲高い風切り音を響かせ、標的へと迫る。
正面から水平に迫り来る卍型手裏剣を前に、2人の剣士が同時に刀を縦に構え受け止めた瞬間……。
パキィンッ!
鋭い金属音が響き、2本の刀は手裏剣の一撃に、真っ二つに折れると、2人の剣士の間を駆け抜ける。
次の瞬間、2人の首筋が深く切り裂かれ、血飛沫を上げる。
飛翔した卍型手裏剣は、それでも勢いを落とすことなく高速回転を続け、後衛の陰陽師へと一気に迫ると、四枚の刃が凄まじい勢いで、陰陽師の顔面を正面から捉えた。
刃は顔面を深々と切り裂き、口元から上半分を断ち切る。
声にならない呻きとともに、血飛沫が舞うと、陰陽師は身体を大きくのけ反らせ、そのまま床へと倒れ込んだ。
「忍に常套的な戦法は通用せん」
無形は倒れる3人を冷たく見下ろしながら、低く呟いた。
その頃、源蔵も深編笠の男2人を斬り伏せ、決着していた。
刀を手にした剣士と、術式を放とうとしていた陰陽師は、すでに骸と化している。
源蔵の足元には、袈裟斬りによって両断された剣士の半身と、只人の陰陽師の首が転がるのみ。
玄室に、静寂が戻る、ほんのわずかな時間。
8人いた刺客は、1人残らず討ち取られていた。
無形は血を払うように忍者刀を振るうと、静かに納刀する。
源蔵も刀を収め、深く息を吐いた。
これが、精鋭揃いと謳われる、浅草雷ギルド所属の一等級冒険者の実力。
だが、その力は、ほんの片鱗に過ぎない。
8月も後半に入りました。
皆さんは、いかがお過ごしでしょうか?
花火に、夏祭りに、旅行に、帰省に、ゲームに、それぞれの夏を楽しまれたことと思います。
花のお江戸は、猛暑三昧、雨三昧と、季節ならではの天候に振り回されておりますが、私自身は花火、夏祭り、飲み会など、それなりに夏のイベントを満喫しておりました。
さて、今回の第12話は、海竜の祠での現場検証と遺体回収が中心のお話となり、見方によっては、少々地味なお話だったかもしれません。
正直なところ、私自身も「ここはスルーしてもいいかなあ」と一度は考えました。
ですが『怖がり巫女のモフ子』という物語の中で生きているのは、主人公たちだけではありません。
冒険者たちにも、それぞれの人生があり、仲間を失えば悲しみ、見知らぬ冒険者であっても、そこに残された命を無意味なものとして扱うことはありません。
今回は、そうした「この世界で生きる冒険者たちの心情」を、少し丁寧に描いてみたいと思い、この一話をあえて入れることにしました。
特に朱音によって命を奪われた数馬をはじめとする、初級冒険者たちの遺体を回収する場面は、"物"としてではなく"人"として敬意と尊厳をもって扱う。
ある意味、苦痛と悲しみからの解放として描いております。
また、朱音の亡骸に対する向日葵とあんずの行動も、2人の優しさが表れる場面として描きました。
悪事を働いた人物だからといって、その死まで単純に笑い飛ばすような物語にはしたくありません。
朱音のように、あれだけの人を殺めた罪は消えませんし、決して許されることではありません。
それでも、最後に1人の人間として弔う。
そんな部分も『モフ子』という物語では大切にしていきたいと思っています。
もちろん、物語上の展開や極悪で狡猾なキャラがいれば、例外として扱われることもあるかもしれませんが。(汗)
そして今回は、浅草雷ギルドの一等級冒険者、竜人の無形と鉱人の羅生院 源蔵の実力も、ほんの僅かではありますがお披露目することができました。
8人の刺客を相手に、時間を掛けず、瞬く間に制圧してしまう2人。
とはいえ、今回描いたのは「片鱗」に過ぎず、この2人がなぜ一等級冒険者として浅草雷ギルドに名を連ねているのか。
そのあたりも、今後少しずつ描いていければと思っています。
(茶太郎にそんな余裕はないかもしれませんが)
『怖がり巫女のモフ子』は、次回は序章編の完結話になります。(いっそ序章 海竜編に変更しようかなあ)
それでは、次回もよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




