ないものねだり
演劇の台本の書き方というのはよく知らないですが、演劇を観るのが大好きなので自分で台本を書いてみました。多分こんなところに載せてるのを使う人はいないと思いますが一応、使用時には霜夜凍月の名前を載せておいてくださいと言っておきます。
登場人物
朱音
勉強がとても苦手。人付き合いは得意なので友達が多い。愛されて育った明るく前向きな性格をしている。
碧
勉強が得意。人付き合いは苦手でいつも一人。朱音は友達ではあるけど思うところが少しある。暑い日でもいつも長袖を着ている。
親から虐待を受けている。
舞台設定
物語は基本的に教室内で進む。季節は夏。登場人物は碧以外は半袖を着ている。二人は高校一年生。
緞帳が上がる。
時間は夕方。他の生徒が部活動をしている音が聞こえる。
朱音は机にくたびれたように座っていて、碧が教室に入ってくる。
朱音「あー、疲れた……あたしがちょーっと勉強出来なくて?課題もいつまで経っても出さないからって?あんなに詰めなくてもいいじゃん?」
碧「ちゃんと自分で理由分かってんじゃん」
朱音「だったとしてもだよぉ!なんであたしだけあんなに長い時間……他に居残りさせられてた奴らはすぐに帰ってたのに!」
朱音が机に突っ伏して足をバタバタさせる。
碧「他の人は課題出してないって言ってもあんたほどじゃなかったんでしょ。あんたは出さなすぎ。わかんないとこあるんだったら教えてあげるから、これからは出しなよ?」
朱音「いいなぁ、碧は勉強出来て……。あたしなんて勉強やろうとしてもいつの間にか身体がベッドの方に」
碧「絶対それのせいでしょ!……いいな、家でゆっくりできて(小声)」
朱音「え?」
朱音は聞き取れなかったようで聞き返す。
碧「いや、なんでもないよ。というか、ダラダラしたくなるんだったら学校で勉強したらいいと思うけど」
朱音「いやぁ、さ?学校だとなんか集中できないって言うかぁ……家でちゃんと集中して勉強できる人ってすごいよねぇ」
碧「そう、だね」
少し息が詰まったように。朱音はそれに気づかずに話を続ける。
朱音「それで言ったら、碧もそうだよね。家ではどうやって勉強してるの?」
碧「家では……あんまり勉強してないよ。勉強するのは放課後に学校でとか、公民館でとか」
朱音「すごっ……放課後かぁ、あたしも残ってみようかなぁ。碧、その時は私に勉強教えてね?」
碧「別に、いいけど」
朱音「ま、今日はもう疲れたから帰ろっかな。碧は?」
碧「まだ学校に残るよ。勉強するから」
朱音「そっか、じゃあまた明日!」
碧「うん、また明日」
お互い手を振り、碧はそのまま着席して暗転。朱音は教室から出てそのまま帰る。
明転。チャイムが鳴り、朱音と碧は着席している。
教師「それじゃあ終わりましょう。起立、礼」
生徒(全)「ありがとうございました」
生徒A「早く部活行くぞ〜」
生徒B「あっ、ちょっと待てって!」
生徒A、B、退場。
朱音が席から身を乗り出して隣に座っている碧に話しかける。
朱音「ね、碧。今日、あたしも放課後残るから、一緒に勉強しない?というか、勉強教えて!」
碧「珍しく早速やる気になったんだね。いいよ」
二人が机を向かい合って合わせて、勉強を始める。しばらく勉強をして、朱音が碧に話しかける。
朱音「碧っていつも学校で勉強してるよね。家じゃダメなの?」
碧「うん……ちょっと、家は静かじゃないから」
勉強する手を止めて、朱音の方を向く。少しの間のあとに喋る。
朱音「そっか、兄弟とか?うちは妹とお兄ちゃんがいるからワイワイしてるんだよね。碧の方もそんな感じ?」
碧、視線を落とす。触れられたくなさそうな素振りをする。
碧「ううん。私、一人っ子だから」
朱音「そうなの?じゃあ……」
はっとして口を噤む。朱音、俯く。
碧「黙らないでよ。私、別に、その……」
朱音「ううん、あたしが、無神経だったよ。ごめんね」
碧「謝んないでよ!」
碧、食い気味に叫んで勢いよく立ち上がる。朱音は驚く。碧はその様子を見て焦る。
碧「……あ、その、えと、驚かせて、ごめん。でも、朱音は悪いことした訳じゃないんだから、謝らないで」
朱音「碧……あたし、碧が勉強できるのが羨ましくて、どうすれば碧みたいになれるのかな、って。聞いてみるのが一番早いと思ったの」
碧「私……私も、朱音が羨ましい」
碧、静かに座る。二人は改めて向き合って視線を合わせる。
朱音「そっか。なら、一緒だね」
朱音、碧の手を取る。
碧「うん、そう、なのかも」
碧、少しだけ視線を逸らす。
緞帳が降りる。
読んでくれてありがとうございます!




