あなたのために花束を、
愛しています。だから、死んで欲しいのです。
「誰の手にも触れないうちに、私だけのものにしたいのです」
だって、あなたが生きているうちはその綺麗な瞳は誰にだって向けられる。
決して私だけのものではない。
そんは美しいあなたが堪らなく好きなのだ。
何処にだってあるはずのないあなたの笑顔が、指先が、鼻筋が、流れるような髪の艶が、大好きなのだ。
「愛情は、熱情は……時には脆く、強い刃となるのですから。甘く見ないでくださいね」
あなただけのために、とは言わない。全ては私の願いのため、あなたを愛する私のため。
「私は嘘を吐くのが嫌いなのです。だから、正直な私の心を受け取って欲しい。いえ、受け取られなくたっていいのです。私はただ、愛するあなたに思いを知らせたいだけですから」
受け取る、受け取らないの問題ではない。私が伝えることは必ずあなたの耳に入る。
私の思いにその形の良い唇は震えるだろうか。私の言葉が流れ込むその陶器のようになめらかな耳殻が愛おしい。
「綺麗な身体も、声も、心も、全て私のものにしてしまいたかった」
けれど、世界はそれを許さない。私の愛情の形を看過してはくれない。
でも、だから、なんだと言うのだろうか。
世界が許さなくとも私の思いは、この形は、消えることなどない。誰にも醜く歪めることなどできない。
だれにもゆずれない、わたしだけの、――
あなたのために、あなたの好きな花の花束を持って、そして片手にはアイノカタチ。
「あぁ、愛していますよ。その瞳も、肌も、脚も、腕も、てのひらも、声も、匂いも、纏う空気すらも愛おしいほどに。全て私のものにしたいほどに。どうか、私だけのものになってほしいのです」
醜い私にどうかあなたからのご慈悲を。
花束を、アイノカタチを、受け取って欲しいのです。
あなたのために花束を。
そして、美しいあなたへ銃口を。
散らされた花束と薬莢だけがそこには落ちていた。




