表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/5

あなたのために花束を、

 愛しています。だから、死んで欲しいのです。

「誰の手にも触れないうちに、私だけのものにしたいのです」

 だって、あなたが生きているうちはその綺麗な瞳は誰にだって向けられる。

 決して私だけのものではない。

 そんは美しいあなたが堪らなく好きなのだ。


 何処にだってあるはずのないあなたの笑顔が、指先が、鼻筋が、流れるような髪の艶が、大好きなのだ。

「愛情は、熱情は……時には脆く、強い刃となるのですから。甘く見ないでくださいね」

 あなただけのために、とは言わない。全ては私の願いのため、あなたを愛する私のため。

「私は嘘を吐くのが嫌いなのです。だから、正直な私の心を受け取って欲しい。いえ、受け取られなくたっていいのです。私はただ、愛するあなたに思いを知らせたいだけですから」

 受け取る、受け取らないの問題ではない。私が伝えることは必ずあなたの耳に入る。

 私の思いにその形の良い唇は震えるだろうか。私の言葉が流れ込むその陶器のようになめらかな耳殻が愛おしい。

「綺麗な身体も、声も、心も、全て私のものにしてしまいたかった」

 けれど、世界はそれを許さない。私の愛情の形を看過してはくれない。


 でも、だから、なんだと言うのだろうか。


 世界が許さなくとも私の思いは、この形は、消えることなどない。誰にも醜く(正しく)歪めることなどできない。


 だれにもゆずれない、わたしだけの、――


 あなたのために、あなたの好きな花の花束を持って、そして片手にはアイノカタチ。

「あぁ、愛していますよ。その瞳も、肌も、脚も、腕も、てのひらも、声も、匂いも、纏う空気すらも愛おしいほどに。全て私のものにしたいほどに。どうか、私だけのものになってほしいのです」

 

 醜い私にどうかあなたからのご慈悲を。


 花束を、アイノカタチを、受け取って欲しいのです。


 あなたのために花束を。

 そして、美しいあなたへ銃口を。


 散らされた花束と薬莢だけがそこには落ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ