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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
双子のこれからと、アギトの新たな旅

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剥奪された勇者の称号

【ガンッ】


天使の宴の応接室に響き渡る大きな音。


「ラルフ!何で、あんたが居たにも関わらず止めなかったのよ!」


「はぁ!?ふざけんじゃねーぞ!俺だって止めたさ!あいつのやり口ぐらい知ってんだからよ!」


「だったら、なぜ私達が帰ってくるまで待てなかったのよ!?」


「テメー等が、ここに居なかったことが悪ぃんじゃねーか!それを人のせいにすんじゃねーよ!アホか!」


お互いを睨み合うエリスとラルフ。そして、ユイがここで口を開く


「ラルフ様、他に手段は無かったのですか?」


「あぁん?あったよ!」


【ガンッ】


再びエリスが机を叩く


「なら、なぜそちらを選択しなかったのですか?」


「何なら聞くが、お前達はラストエリクサーって物を知ってるのか?」


「ラストエリクサー…………?」


「知らないんだろ?なら、それが答えだ!あの2人を完治させるには、シエナのエクストラヒールかラストエリクサーの2択だったんだ。ラストエリクサーの存在は、あいつでさえ知らなかったよ!」


「アギトも知らない薬…………」


「あぁ、素材も何処にある代物かもわからなかったってさ!」


「でも、これじゃあの2人が助かっても可哀想じゃない」


ここで、先程意識を取り戻したステラが、応接室の入り口に立っていて話を聞いてしまう


「…………私達が可哀想ってどういう事?」


「「「なっ!」」」


「………ねぇ、どういうこと?教えてよ」


「そ、それはね…………」


「…………それにアギトは何処?私を治してくれたのはアギトなんでしょ?お礼を言わないと」


「……………」


「…………何でみんな黙ってるの?そんなんじゃ分からない。ねぇ、答えてよ!エリス様!ユイさん!ティファさん!」


「……………」


「実はだな…………」


「ちょっと、ラルフ!」


「しょうがねーだろ!いずれこいつも、眠ってるもう1人のチビも知ることになるんだからよ!」


「…………教えて。お願い」


「結論から言ってやる!お前達は、この先一生勇者アギトには会えない」


「…………え!?何で?」


「お前達を治す代償だ」


突然のラルフの告白で、ステラの目に大粒の涙が溢れ出る。


「………ちょっと、言ってる意味が分からないんだけど?会えない?何で?私達が何かした?私のお母さんは………?」


「私から説明するわ。いい、ステラちゃんしっかり聞くのよ?」


「…………全然わかんない!聞きたくない!そんな話し聞きたくない!」


「ステラちゃん!!!」


「嫌――――!」


【パチンッ】


ここで、ずっと黙って聞いてきたティファがステラの頬を叩く。


「聞きなさい!あなたは聞かなくちゃいけないの!アギトの覚悟の為にもね」


「…………アギトの覚悟」


「そうよ。誰もがこんなのは望んでいない。でも、アギトはこれしかあなた達双子が助かる道は無いと考えたのよ。私から言わせてもらえば、あなた達双子の事なんてどうでもいいの!アギトにさえ会えれば。でも、私達ですらアギトにはもう会えないのよ」


「…………みんなが会えない?」


ティファの言葉にステラはエリス達を見る。しかし、ステラと目が合うと皆目をそらしてしまう。


「…………」


「………わかった。教えて!アギトの覚悟を」


「覚悟して聞きなさい」


「…………うん」


【時は遡り3時間前の事】


「わかりました。で、その条件とは?」


「その条件は2つです。どちらか1つでも呑むなら2人を必ず元通りにして差し上げます」


「わかった。聞こう」


「物分かりが早くて助かります。ではまず、1つ目は1人にエクストラヒールを使うのに1000億ゴールドをキャッシュで支払う事」


ここで、いきなり無理難題を突き付けてきたシエラに対してブチキレるラルフ。


「テメー、シエラ!なめてんのか!そんな金、この国の王だって持ってねーぞ!」


「まったく、うるさいですね………。これだから野蛮な人間は嫌いなんですよ!まだ、2つ目があるじゃないですか………」


「2つ目は何だ…………?」


「2つ目は勇者アギト、あなたが一生私の下に就く事です。もちろん、この先外部との接触は完全に控えさせてもらいます。この2人、それに天使の宴のメンバー、それと今まであなたが関わってきた人たちすべてが対象です。もし破るような事があれば、先程申し上げた人物の中から1回破るにつき、1人殺します」


「なっ!」


「まずは、一番殺しやすいこの子達が標的になります。次はそうですね………第3王女のアリス様辺りがよろしいでしょうか?」


「テメー、いい加減にしろよ!これじゃまるで、勇者を自分の奴隷にすると言ってるような物じゃねーか!」


「あら、単細胞の割には話が分かるのですね。その通りですよ!私は勇者を、一生奴隷にいたします」


ここで、門番の男がシエラに疑問を投げつける。


「でもシエラ様、それだと魔王を倒す存在が居なくなるのではないですか?そしたら、この世界は魔王に滅ぼされてシエラ様達も死にますよ?」


すると、シエラは門番に対してにっこり微笑みこう応えた。


「そこは心配しなくても大丈夫です。私達は死にませんよ?皆さんは知っていますか、魔王が目覚め再び眠りにつく理由を?どうですか、ラルフ?あなたはわかりますか?」


「そんなの誰だって知ってるだろ!魔王が眠りにつく理由は、勇者によって倒されるか、勇者がその命を…………。テメーまさか…………」


「そうです!賢いですねラルフは!」


「ふざけんじゃねーぞシエラ!この場で殺されてーのか!」


「そうなんです!魔王が眠りにつくもう1つの理由は、勇者自身が死ぬことなんです」


「なっ!」


「だから、もし魔王が襲ってきたら私達ジャッジメントが全力で勇者を殺します。そうすれば、勇者ただ1人の犠牲でこの世界には再び平穏がもたらされるのです!そのための審判(ジャッジメント)なのです」


「趣味が悪すぎる名前だな…………吐き気がするぜ」


「お褒めに与かり光栄です。で、どうしますか?勇者アギト?」


「んなの、どう考えても呑めるわけねーだろ!」


「私はラルフには聞いてません。勇者アギトに聞いています」


「さぁ、どうしますか?こうしてる間にも、助かる命が助からなくなりますよ?」


「…………」


「さぁ!」


「……………わかった。俺がお前の下に就こう」


「なっ!テメー!それでいいのかよ!」


「その代わり、必ず2人を完全に治すと約束しろ!全ての傷を治し、後遺症も残らないように!元の姿に戻すように」


「お任せください!では、これより勇者アギトは我がクランジャッジメントの一員になります。クランブレイブハートは解散してください」


「…………わかった」


「では、まずはこの状態が酷い子から。そして、明日はこっちの子で」


【スキル エクストラヒール】


シエナが魔法を唱えると、ステラの全身が緑色の光に包まれる。そして、傷が見る見るうちに消えていく。


「はい、終わりました。では、また明日お邪魔します。行きましょう。勇者アギト…………いや、もはや魔王と戦わなくてもいいのでアギトでよろしいですね。うふふふふっ」


「…………好きにしろ」


「では、皆さまごきげんよう」


シエナとアギトは部屋を後にして、ライザへと戻っていった。


【ガンッ!】


「クソがぁぁぁぁぁ」


「最悪だ…………」


「どうすんのよこれ…………」


「エリス様に何て説明すれば…………」


「……………天使の宴とジャッジメントとの全面戦争が起きるぞ」


「勝てるのか…………。俺達…………」


「む、無理に決まってるじゃない。相手のクランは私達の倍以上の人数がいるのよ」


「だよな…………」


「たとえ、エリス様やユイ様、それにティファ様や他のSランクの冒険者を集めても…………」


こうして、エリス達が何も知らずに帰ってくるのを、ただ黙って待つしかなかったラルフ達…………

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