また逢う日まで~双子の新たな出発~
「昼間は散々でしたね」
アギトの話しの後、リビングにはガイとステラが残っていた。
「くそっ!チビ助のおかげで酷い目にあったぜ…………」
「………ごめんなさい。ルナには私からよく言っておくわ」
「まぁ、別に構わねーけどさ。お前達だってこっちの世界に来たばかりだしよ、友達いないだろ?」
「………うん。みんなだいぶ年齢が離れていますからね」
「なら、俺とメイが相手してやらねーとな」
「………ありがとうございます」
「別にいいさ!んで、ここに残ってるって事はこの前のお願いの話しか?」
「………はい。私に稽古をつけてください」
「でもよ、お前格闘系だろ?俺、剣士だぜ?教えられることなんて何ひとつない気がするが?」
「………修行の相手になってもらえればそれだけで十分です」
「まぁ、お前がいいって言うんならいいけどよ。時間はどうするよ?やっぱり、朝方のが都合がいいか?」
「………そうですね。皆さんが起きる前のがいいかと」
「了解!んじゃ、毎朝5時に裏の山に集合な!」
「………わかりました」
こうして、ステラは毎朝ガイと修行をして、ルナは相変わらずアリスへの悪戯をして、あっという間に出発の時を迎えた。
「じゃ、行ってくる」
アギト達は拠点の入り口で、アリス達に挨拶を交わしステラ達と共にヴィータへ向かおうとしていた。
「今度はこんな、可愛げのないガキなんて連れてこないでよね!」
アリスはチラッとルナの方を見て発した。
「あー!おまえ、いまルナのわるぐちいったな!」
「別に悪口じゃないわよ?本当のこと言ったまでよ?」
「なんだと!そんなんだから、おっぱいがおおきくならないんだぞ!」
「うるさいわねっ、大きなお世話よ!それより何?私にまたしばかれたいの?」
「やるかー!」
「やってやろうじゃない!」
臨戦態勢のアリスをよそに、アギトはルナを抱っこして待たせているヴィータ行きの馬車へと向かった。
「はいはい、行くぞルナ!」
「あー、こら!なにをするアギト!ルナをおろせ!」
「おまえとアリスがこの様子じゃいつまで経っても出発できないから行くぞ!」
「うるさい!はやくおろせ!」
「言う事聞かないと、この熊の帽子は返してもらうぞ?」
「うっ……。それはダメ」
「なら、おとなしく言う事を聞け!」
「わ、わかった!でも、おぼえていろざんねんおっぱい!きのうあったらただじゃおかないぞ!」
「………それを言うなら今度会ったらね」
「そ、そうだ!それだ!」
しかめっ面したルナを抱えアギトは馬車へと向かう。
「はぁ。どうして姉と妹でこうも違うの……。あなたと同じ歳には見えないわ、あの子…………」
「……すみません。ルナのせいで、お騒がせばかりして………」
「いや、いいわよ!あれはあれで結構楽しかったしね!」
「えっ?そうなの?俺、完全に迷惑がってると思っていたけど!」
「そんなことないわよ!一応、息抜きにはなっていたもの!まぁでも本人には言わないでね。流石に戻ってきた時、毎日あれじゃ流石に私も疲れる」
「……わかりました」
「じゃ、あなたも行きなさい!そして、私達が迎えに行くまで頑張るのよ!」
「……ありがとうございます。行ってきます」
ステラはアリス達に一礼してアギト達が待つ方へと走っていった。
「俺達がもっと強ければ、あの2人はここに残れたのにな…………」
「そうだね、ちょっと寂しいかも。いや、悔しさの方があるかな…………。もっと強ければって………。頑張って強くなろうね、お兄ちゃん!」
「あぁ、まずは一刻も早くCランクになるか!」
「うん」
こうして、アギト達はヴィータへステラ達を送り届けるため拠点を後にした。
【2日後】
「ふぅ。やっと着いたか…………」
「…………ここが新たな街ヴィータ」
「おぉ!あいかわらずひとがいっぱいだ!」
ヴィータもまたライザまでとは言わないが、街中は賑わっていた。
「さて、まずは2人がお世話になる天使の宴の拠点に行くか」
アギトはステラとルナを引き連れ、天使の宴の拠点へと歩き出した。その道中アギトは色んな冒険者に話かけられた。
「おぉ!勇者、久しぶりだな!元気してたか?」
「まぁ、ボチボチです…………」
「そうか、頑張れよ!って、それはそうと、そのちっこい2人はお前の子供か?」
すると、直ぐにルナが反応して、
「おまえ!ルナのことをちっこいっていうな!ルナはルナだ!いいか、おぼえておけ!わかったか!」
「お、おう。何だか随分元気な嬢ちゃんだな…………」
「すみません。この子達は、俺が一時的に保護してるんです。ですが、事情が事情なのでエリスに預かってもらおうかと」
「そっか、大変だな勇者も。何てったって魔王を倒さないといけないもんな。子供達には構ってられないもんな」
「…………」
そんな冒険者の言葉にステラはうつむいてしまう。いかに自分達の存在が勇者であるアギトの負担になってるか思い知らされたからである。
「そんな事は無いですよ!俺がもっと強ければ、この子達はここに来なくて済んだんです。ですが、いずれ仲間を集めてこの子達を迎えに来るつもりです」
「くぅぅぅ!かっこいいね、勇者様は!まぁ、無理せず頑張れよ!俺も、この街の冒険者もお前の事を応援してるからよ!」
「はい!ありがとうございます」
冒険者の男は、軽く手を振りその場を後にした。その後も、次々に話かけられるアギト達。
「………ここではアギトが勇者って事みんな知ってるの?」
「いや、特定の人物にしか話してないつもりだが、どうやら俺の知らないところで、知れ渡ってしまったようだな」
「おぉ!アギトゆうめいじん!コインくれ!」
「コイン?何だカツアゲか?」
「………違う。たぶんルナはサインと言いたいみたい」
「どうしたアギト、はやくコインをよこせ!」
「いや………ルナ。それ言っちゃダメなやつ。犯罪って言葉を知ってるか?」
「ん?はんざい?うれしいときに、こうりょうてをあげるやつか?」
「………それ、万歳」
「そして、ルナとステラがやってるのが漫才な!」
「うーん、ちょっとわかんない」
「そ、そうか…………。ルナはまず世の中の事を知ろうな?」
「よのなか?それってしるとおかしとかもらえるのか?」
「ダメだこりゃ…………。話が通じない」
「………ルナに常識を求めても時間の無駄。それより早く行きましょう」
「そうだな………そうするか」
「あっ!こら、まだはなしはおわってないぞ!」
「………はいはい、行くわよルナ。置いて行かれたいの?」
「ま、まて!ルナをおいていくな!そして、おかしはもらえるのか?」
「………もらえるわけないでしょ」
「むぅ、ケチ!」
そして、いよいよこの後ステラ達は剣聖エリス達と出会うのであった。




