ルナの気持ち
「ただいま、連れてきたぞ!」
ステラ達を連れて屋敷へと戻って来たガイ達。途中、ステラ達を探しに出たアギトとも合流していて、これで皆が再び揃う形となった。そして、いよいよアギトから今後の予定の話が出る。
「まず、新たにブレイブハートに新メンバーが加わった。まずは見習い騎士のグレイヴだ」
「………皆、よろしく頼む」
「そして、もう1人極星精霊師のレーナだ」
「よろしくお願いします」
「ガイと、メイ、それからハツネ達は今後加わる予定だ」
「さて、ここでもう2人メンバーを加える」
「えっ?2人?」
「まさか…………」
アリスは、まだ他に誰か紹介していない人物が居るのか?と首をかしげる。そして、メイは大体の予想は出来ていた。
「ステラとルナだ」
「「「なっ!」」」
アギトの発言に驚きを隠せない一同。だが、一番驚いていたのはステラだった。
「…………私達がアギトのチームに」
「あぁ」
「おぉ!ルナもついにアギトのチーズにはいれるのか!」
「………チーム。正確には、クランね」
「そうそれ、アギトのプラン!」
「ダメだこりゃ」
「だが、ステラ達を旅に連れて行くことは出来ない。この子達はまだ幼すぎる。命の危機にさらすわけにはいかない」
「まぁ、そうね…………。んで、ここで面倒を見るの?私は構わないけど?」
「ありがとう、アリス。だが、ここには置いておけない」
「なぜ?」
「確かに、ここに居ればグレイヴやガイ達もいる。だが、毎日いるわけではない。常に居るのは、アリスやロブ達戦闘が得意じゃない者達しかいない」
「うっ!確かに否定は出来ない。私も一応は冒険者だけど形だけだし…………」
「じゃ、どうするんだ?王様の所にでも預けるのか?」
「それも考えた。だが、もっと安全な場所がある。これは、ロックフォールで出会った鍛冶師も賛成してくれた」
「ここでもなく、王様の所でもない…………となると、ジャッジメント?」
「確かに、ジャッジメントはこの国でも最も大きいクランだ。冒険者の質もすごいのだろう。しかし、俺は直接ジャッジメントのメンバー及びリーダーとの面識がない。向こうは、俺が勇者と名乗れば力を貸してくれるだろうが、俺は会った事もない奴らを簡単には信用できない。ただ、俺が呪いを受けた時に助けてくれたのも事実だ」
「確かに私もあいつらは信用ならないと思う。あの時はジャッジメントのリーダーシエナも居たみたいだけど、結局は金で動く連中。もし、この子達が転生者とわかれば何をするかわからない」
「そこで、最も俺が信用をおけるクランに預ける…………」
「天使の宴…………」
「あぁ。さすがはこの国の第3王女」
「あったりまえじゃない!なめないでよね!まったく、これだからへっぽこ勇者は」
「あはははっ。んで、アリスの言う天使の宴には俺の知り合いもいる。そして、そこのリーダーエリスとも面識はある。むしろ世話になった。もちろん、引き受けてくれるかはわからない。でも頼んでみる価値はあると思うんだ」
「まぁ、あそこならどこよりも安全でしょうね。この国で一番強い剣聖アリスや、戦乙女のユイが居るもね。そこに関しては私も賛成」
「ありがとう、アリス」
「フンッ」
「籍はブレイブハートに置いおき、いずれ俺達も仲間を集めたらステラ達を必ず迎えに行く」
「そうですね、アギトさんが言うならそうなのかもしれません。私も兄もまだまだ未熟。なら私達も賛成です。ね、兄さん?」
「俺達がもっと強けりゃ…………クソッ!こればっかりはどうにもならねーからな、賛成だ」
「…………俺もアギトの意見に賛成だ」
「私も、もっともっと強くなってこの巫女の力を使いこなせるようにならないと!もちろん賛成です」
「私もいいわ、どうせこの後はアギトの旅について行くんだから」
「えっ?レーナさんは冒険者ランク上げないんですか?」
「興味ないわ。私の使命は、勇者の力になることだけ冒険者ランクなんて必要ない」
「そうですか。残念です」
「まぁ、レーナさん強いしな!それに、俺達じゃ足手まといになるだけだし。おっさんはどうすんだ?」
「…………俺もお前達と冒険者ランクを上げて上位職業を目指す」
「そっか!」
「じゃ、これで決まりだ…………」
「やだー!」
ステラ達のこれからが決まりかけていた時に大声を上げて否定したのはルナだった。
「やだやだやだ!ルナもいく!アギトといっしょにいく!」
「…………ダメよルナ」
「なんで!ステラはさびしくないの?アギトにあえないんだよ?ルナはがまんできない!」
「チビ助…………」
「ぜったいいっしょにいく!」
「しかしだなルナ…………」
「アギトまでルナたちをすてないで…………。ママもいないのにアギトまでいなくなったらルナは…………ルナは………う……うぅ…………うぅぅ…………」
ルナは、アギトがルナを捨ててしまうと勘違いしてしまっていた。何も出来ないルナたちはお荷物だと。
「なんでもするからつれていってよ…………おわかれしたくないよ…………う……うぅ…………うわぁぁぁぁん」
ついにルナは泣き出してしまう。アギトの足に抱き着き離れたくないと言いながら…………
「…………うぅ…………いいこにするから………トマトもちゃんとたべるから……ひげのこともすきになるから………ちゃんと、たたかえるようになるから…………おねがいだからルナをすてないで…………う………ぅぅ…………うわぁぁぁぁん」
「…………ルナ」
「…………ルナちゃん」
「…………どうするアギト」
「…………ダメだ。やはりルナ達を連れて行くわけにはいかない」
「な、なんで…………ヒック…………こんなに………ヒック………おねがいしてるのに…………」
「俺は、死ぬかも知れない場所にお前達姉妹を連れて行くわけにはいかない」
「ルナはしなないもん!」
「ダメだ。ルナ、わかってくれ」
「わかんない………ヒック………わかんないよ………わかりたくない!」
【パチンッ】
中々引かないルナの頬をステラが叩いた。
「おい、ステラちゃん?」
「………いつもいつも、いい加減にして!どうしてルナはそんなわがまま言うの?アギトだって、本当はルナと一緒に居たいんだよ?髭輔だってそう!別れの時、髭輔が泣いていたの忘れたの?あれは、こうなる事が分かっていたからよ!私達が子供で、髭輔たちと居たんじゃルナを守れない。彼はその事をわかっていたはず。だから、あの涙は別れの寂しさじゃなく悔し涙だったはず!そんな事も分からないの?」
「う……ぅう…………」
「…………髭輔は、誰よりもルナの事を思っていた。そんなの、誰が見たってわかる。アギトも言ったでしょ?必ずルナ達を迎えに来ると。その前に、ルナが死んじゃったらアギトは髭輔に何て言われると思う?「お前が弱いからルナは死んだんだ」って言われるのよ?それでもいいの?ルナの一番嫌いな虐めを髭輔はアギトにするのよ?いいのそれで!」
「………いやだ。アギトとひげはなかよくしてほしい」
「………ならルナ、ここは我慢しなさい!アギトが迎えに来てくれるまでの辛抱よ!それに、死んじゃったらママに会えないのよ?」
「それもいやだ…………」
「………なら、お姉ちゃんの言う事聞けるわね?」
「…………うん」
「…………じゃ、アギトに謝りなさい。わがまま言ってごめんなさいって」
「…………わがままいってごめんなさい」
「そんなことはない。俺がもっと強ければこんな事にはならずに済んだんだ。ごめんな、ルナ、ステラ…………」
アギトは足にしがみつくルナの頭を撫でた。
「んで、いつ出発するの?」
「明日にでも行こうと思う…………」
「はぁ?明日?いくら何でも早すぎじゃない?」
「そうですよ、アギトさん。もう少しステラちゃんやルナちゃんと一緒に居てあげてください。ただでさえ、こんなことになっちゃったんですから」
「そ、そうか…………なら…………」
「1週間はルナちゃん達と一緒に居てください!その間、クエストも禁止です!24時間、寝る時も常に一緒です!」
「メイ、いくら何でもそれは…………」
「何ですか?私の言う事に文句あるんですか?保護したのはアギトさんですよね?なら、これくらいの責任は取ってください!いいですね!?出来ないんだったら、私の魔法で燃やしますよ?」
「えっ?い、いや………それは勘弁してもらいたい」
「なら決定!良かったね、ルナちゃん!しばらく、アギトさんが寝る時も一緒に居てくれるよ!」
「おぁ!ほんとうか!ほんとうだな、アギト!」
「お、おう」
「よーし、じゃさっそくねるぞ!」
「いや、チビ助まだ明るいぞ?いくら何でも早すぎだろ!」
「そ、そうか…………」
「じゃルナ、それにステラも、村を一緒に見て回るか?周りきれてないだろ?」
「…………うん」
「いくー!」
「じゃ、そんなわけでちょっと散歩してくる!」
「…………行ってきます」
「いってこい!」
「お前も行くんだよ!チビ助!」
「あ、そうか!いってきます!」
「やれやれ、チビ助と居ると体力いくらあっても足りないな」
「随分気にかけてるのね、ルナちゃんの事!」
「うるせーぞメイ!」
「あらあら、うふふふっ」
「チッ!」
こうして、ルナ達の出発は1週間後と決まった。その間、アギトはルナ達に振り回されるのであった。




