繋がり
「私は…………」
【ゴクリッ】
レーナの発言に皆真剣に耳を傾ける。一人を除いては………。
【ジュジュジュュュ】
「私は、アギトと同じ病院に入院していたの。私も病を患い………ね」
「レーナも入院していたのか。気が付かなかったな…………でも、どうしてこの世界に居るんだ?」
【ジュジュジュュュュ】
「私は、おそらく元の世界では死んだと思うわ…………」
「なっ!」
「あなたが、この世界に転生された後に手術があり、おそらく失敗したんでしょうね。麻酔で眠った後、気がついたらここに居た。その時に、女神と名乗る人物にお告げを受けたの」
「何て言われたんだ?」
【ジュジュ……ジュュュ】
「あー、もううっせなーチビ助!少しはおとなしくしていられねーのか!」
「うるさいぞ、あくとう!しょうがないだろ!ルナのジュースがおわっちゃったんだから!」
「………ルナ、少しお姉ちゃんと外を探検しよう」
「おぉ!たんけん!おもしろそう、いくいく!」
気を利かせたステラは、アギトをチラッと見て『後で教えて』と言わんばかりの顔をしてルナを外へと連れて行った。
アギトも、そんなステラに『あぁ』と頷いた。
「ったく、うっせーチビ助だな」
「しょうがないと思うよ?まだあの子小さいし、こんな話面白くないと思うし」
「まぁ、チビ助にしたら退屈か。んで、それから?」
「そうね、それで私はこの世界で勇者を助けなさいと言われたわ。そうすれば、元の世界では何不自由なく過ごせるようにすると言われて」
「俺と同じだな。俺も、魔王を倒せば病気を治し普通の生活がおくれるようにすると言われた。本当かどうかは今考えれば怪しいが…………」
「………それでレーナはアギトを助けるために探していて、たまたま俺達と出会ったってわけか」
「そうよ。グレイヴ達に出会えて私はだいぶ助かったわよ」
「………そうだな。ガイやメイがアギトとの繋がりが無ければ途方もない旅だっただろうな」
「えぇ。4人には感謝をしてもしきれないわよ」
「なーに、水くせーこと言ってんだよ!」
「そうですよ!私達だって、レーナさんが居なかったらあの異様な魔物に殺されていた所ですよ!感謝するのは私達の方です」
「私なんて、巫女になったばかりで何も出来なかったし」
「そんなことないわ!メイも、ハツネさんもすごく強かった」
「えへへへっ。そうかな…………」
「ハツネさんの支援もすごかった」
「ありがとう」
「んで、俺とレーナの繋がりはわかったが、ハツネはどうなんだ?」
「本当に覚えてないのね。ハツネさんは、私達の入院していた病院の看護師さんよ」
「看護師………」
「まぁ、何人も居たし皆マスクを着けて顔が半分隠れた状態だったから覚えてなくて当然よね。私の所にはよく来ていたんだけどね。その時に同じ階にいるあなたの事を聞いたわ」
「私が看護師…………」
「そうよ。私が最後まで良くおしゃべりしたのを覚えているわ」
「………何も思い出せない」
「でも、そうなると時系列がおかしくないか?」
「そうなのよ…………」
「確かに………私はこの世界に何年も居る。でも、二人は最近転生された。なら、真っ先に私が転生してその後にアギトさん。最後にレーナさんの順番のはずじゃ…………」
「あぁ、そうなる。しかし、レーナの話を聞く限りじゃ俺→レーナ→ハツネさんの順番なんだ」
「そこは謎ね…………」
「でもさ、いいんじゃねーか!?アギトの兄ちゃんも、ハツネさんもレーナさんもこの世界で無事会う事ができたんだしさ」
「まぁ、そうね。ガイの言う通りよ。今は、それだけで十分じゃない。これからわかってくるんじゃない?この世界の謎が…………」
「そうだな。今はガイやアリスの言う通り、これだけで十分だ。そして、これから先どうするか考えればいい」
「そうね、じゃこの話は一旦ここでお終いにしましょう」
「それよりアギト。私もあなたのクラン、ブレイブハートに入れてくれないかしら?」
「あぁ、もちろんだ!ハツネはどうする?」
「私は、アリスさんと約束したから。今のままじゃ足手まといにしかならないから、冒険者ランクをCにあげてから入ります」
「そんな約束してたのか」
「当り前じゃない。つい最近冒険者になって、右も左もわからない子なんて足手まといに過ぎないわ!だからせめて、場数を踏んでCランクまで上げなさいと約束したの」
「なるほど、アリスらしいな」
「な、何よ!私だって、一応ちゃんと考えているんだからね!」
「そうだな、いつも助かってる」
「べ、べ、べ、別にあんたの為なんかじゃないんだからね!わ、わ、私はただこの地を任せてもらったからやってるだけよ!か、勘違いしないでよ、このへっぽこ勇者!」
アリスは、顔を真っ赤にして照れ隠しをする。そんな様子を皆は優しく見守るのだった。
「あはははっ!アリスの姉ちゃん照れてやんの!」
「うっさいわね、ガイ!殴られたいの!?」
「あ、お、俺あのチビ助たちを探しに行かないと。じゃ、じゃーな!」
「あ!待て、逃げるな!」
「相変わらずお兄ちゃんは余計な一言が多いのよね…………」
「………だが、それもガイの良さだ」
「グレイヴさん、いいですか!あんまお兄ちゃんを甘やかせないでください!すぐ、調子にのっちゃうんですから!」
「………あ、あぁ。善処する」
「アギトさんもですよ!」
「お、おう…………」
「何か、メイさんって歳のわりにはしっかりしてるんですね」
「当然です!お兄ちゃんが馬鹿すぎるから、私がしっかりしなくちゃいけないんです!」
「俺のクランのまとめ役だな…………。俺の立場って…………」
「え?あ、い、いや、そんなんじゃないですよ!ただ、兄の事だけに関してはです!」
「………いいんだメイ。俺は気にしてない…………気にしてなんか…………」
「………勇者の精神が崩壊したな」
「本当に大丈夫?アギト、しっかりしなさいよね!」
「そうですよ、アギトさん!元気出して!」
「………お、おう」
「さて、この後は今後の事を決めるとするか」
「色々問題山積みだしね。私達の方もアギトさんにお話ししたいことありますし」
「よし、じゃステラとルナを呼び戻すか」
この後、更なる問題がアギトを襲う事となるのだった。




