勇者の過去を知る少女
時計の針は13時を指していた。皆、昼を食べ終え、一同はリビングに集まっていた。すると、そこへ丁度クエストに行っていたグレイヴ、ハツネ、レーナ達が帰ってきた。
「戻りました!アリスさん、お変わりないですか?」
玄関の方から、ハツネの声がしてリビングへとやってくる。
【ガチャ】
ハツネが扉を開けると、待ちに待った人物と出会う。
「………アギトさん!」
「君は…………ハツネさんなのか?」
「はい」
巫女服に身を包み、アギトが初めて会った時とは印象がまるで違っていた。そんなハツネをアギトは
「どうして君がここに?それにその服は…………」
「私、冒険者になったんです!アギトさんが村から出て行ったあと、お母さんもだいぶ体調がよくなり、アギトさんの力になりたいとお願いして村を出てきました」
「どうして?君が冒険者になる必要はないはずだが?」
「それがですね、私職業が巫女だったんです!お母さんは、農民で私もかなってずっと思っていたんですが、ヴィータのギルドで冒険者登録したら、そこで【巫女】と言われました。それと、どうやら私は転生者みたいです!」
「何だと!それは本当なのか?」
「うーん、たぶん?メイちゃんが言うにはだけど」
「アギトさん、スキルを使って見たらどうですか?全部わかるんですよね?」
「あぁ。そうだな…………。ハツネさん俺のスキルを使ってみてもいいか?」
「あ、はい…………いいですけど…………」
「ん?」
「あ、あの…………その…………」
「どうした?」
「全部わかるって言いましたけど…………スリーサイズまで分かっちゃうんですか?」
ここで、女性陣が誰もが気にしなかった事をハツネが言った。そして慌てる、アリスとメイ。
「!!!」
「アギト!どうなのよ!わかるの?正直に言いなさい!」
「え?あ……えっ?」
「どうなんですか、アギトさん!答えてください!」
ただならぬアリスとメイの圧に恐怖すら感じるアギトだった。
「ステラ、スリーライスってなに?」
「…………スリーサイズね。おっぱいの大きさとかよ」
「あー、なるほど!だから、おねいちゃんたちあせってるのか!おっぱいがちっちゃいから!あはははっ、おかしー!」
「………ルナ、それは思っても言っちゃダメなやつ」
「そうだぞ、チビ助!それだけは言ってはダメだ。しかもこの二人に対しては…………。死ぬぞ」
「そう。2人ともそんなに死にたいのね?わかったわ、その願い叶えてあげる」
「「えっ……ちょ……」」
【ドンッ】
【ガンッ】
【ゴンッ】
「うわぁぁぁぁ!やめてくれー、アリスさん」
「ぐへっ」
アリスの禁忌に触れた2人はアリスの手によってボコボコになる。
「……今のは完全に2人が悪い。弁明の余地無し」
「そうだなっ、今のはガイとルナが悪い」
「くひょ…何で……こんなこほに(くそっ!何でこんなことに)」
「おはへがわふいんだそ、あくどう(おまえがわるいんだぞ、あくとう)」
「うるへぇー、ほまえかよへいなことをいふからしゃへーか!(うるせー、お前が余計な事いうからじゃねーか!)」
「なんたほ!(なんだと!)」
そんな顔が倍にまで膨れ上がったガイとルナを差し置いて、ハツネが話を続ける。
「あの……、それでアギトさん実際どうなんですか?わかるんですか?」
「えっ?いやいや、そこまではわからないよ!名前や職業、それに固有スキルとかぐらいしか……」
「本当でしょうね、アギト!嘘ついたらあんたもああなるわよ!」
「ほ、本当だよ!信じてくれ!」
「そっ。ならいいわ!」
「……なんかすごいな。アリス様を怒らすとこうなるのか。覚えておこう」
「そうですね、良く覚えておいた方がいいですよ、グレイヴさん、レーナさん」
「……肝に銘じておく」
「わかったわ!」
メイに念をおされた2人は、絶対にアリスにだけは暴言を吐かないと誓ったのだった。
「じゃ、早速私にスキルを使ってみて下さい」
「よし、じゃ行くぞ」
【スキル 調べる】
【初音 19歳 女】
【転生者】
【職業:巫女】
【状態:良】
【死に至る可能性:✖】
【冒険者ランク:F】
【所属クラン:無】
【固有スキル:神域展開】
アギトはスキルを使ってハツネを調べた。そこには、名前がハツネではなく【初音】と表記されていた。おそらく、元の世界の名前だろうとアギトは思っていた。そして、初音の言う通り転生者と言う項目もある。
「転生者…………」
「やっぱりメイちゃんの言う通りだった」
「それと、名前が漢字で初音と表記されている」
「えっ?」
「元の世界の名前じゃないのか?」
「えっーと私、元の世界の記憶がないんです。気がついたらこの世界に居て、子供のころの記憶も無くて…………」
「………そうだったのか」
「でも、いいんです!自分の事、少し知れたから」
「そうか。なら良かった」
「あ!そうだ、アギトさんこちらの2人も紹介します。きっと驚かれますよ!」
メイが、グレイヴとレーナを見た後アギトに言った。
「ん?さらに何かあるのか?」
「こちらは、バイス王国から来たグレイヴさんで、そちらの女性はなんと初音さんと同じで転生者のレーナさんです!」
「なっ!」
「………グレイヴだ。君が勇者アギトなんだな?」
「え、あ、はいそうです。3ヶ月前にこの世界に転生してきました」
「………そうか。魔王を唯一倒せる存在と聞く。良かったら、私も魔王討伐に力を貸したいのだが構わないか?」
「本当ですか?こちらとしては、物凄く助かります」
「………勇者が転生されたというなら、魔王も目覚めたはず。なら、この世界の平和の為にも倒さないとならない。これからさき、よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。グレイヴさん」
「………グレイヴで構わない。その方が俺も楽だしな」
「わかりました。俺の事もアギトと呼んでください」
「………あぁ、承知した」
アギトは右手を差し出しグレイヴと握手を交わす。そして、腫れた顔をしたルナがグレイヴの元に来て
「おい!ルナのことはルナさまとよべ!いいな!グローブ!」
「………ルナ、グレイヴさんよ」
「そうか!いいな、グレープ!」
「葡萄かよ…………」
「なにかいったか、あくとう?」
「何も?」
「そうか!おまえも、ルナのことはルナさまとよべ!」
「何で?普通に嫌だよ!」
「なに?いやなのか?それならようしゃはしないぞ!」
「あぁん、やんのか?俺が、お前みたいチビに負けるかよ!」
「いったな!」
「はいはい、そこまでよお兄ちゃんとルナちゃん!話が進まないから後にして!」
「へいへい、わかりましたよ」
「………わかった」
「では、私の番ですね!私の名前は、水沢麗奈。初めまして、勇者アギト!いいえ、何回も会っているわね、大虎彰人」
「「「なっ!」」」
突如、レーナは元の世界のアギトの名前を呼んだ。
「なぜそれを…………」
「まぁ、あなたわからないわよね。でも、私はあなたの事を知っている。そして、初音さんの事も」
「えっ?」
「レーナさん、初音さんの事も知っていたんですか?」
メイが驚きの表情でレーナに問いかけた。そして、レーナからとんでもない発言が飛びだす。
「知っていたわよ。元の世界じゃ、この3人は繋がりがあったのよ」
「「「なんだと!」」」
これには、アギトも初音も他の面々も驚いた。
「レーナ…………君は一体、何者なんだ?」
「私は…………」




