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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
拳王とシャドウ・ランサーの姉妹編

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星と月の決裂~砂漠に消えた小さな背中~

ステラ達の実力を測った次の日の朝、大輔、アギト、ステラ、ルナ、雫は工房へと来ていた。


「んで、ステラとチビっ熊はどの武器にするんだ?」


「ルナはチビっくまじゃない!ルナってなまえがある!おぼえておけ、ひげ!」


「俺だって、竜崎大輔と言う名前がある!決して、髭じゃない!」


「ひげはひげ!」


「うるせーぞ、チビっ熊!」


「だからちがう!ルナ!」


「………髭輔、そろそろ選びたいんだけど」


「お前もだ、ステラ!髭輔じゃない!大輔だ!」


「………どうでもいい」


「そうだ!そうだ!ひげのことなんかどうでもいい!」


「どうでもよくねーっうの!」


「ステラ、ルナ、その辺にしておけ………。作ってもらえるものも作ってもらえなくなるぞ?それでもいいのか!?」


「いいのか!ひげ!」


「いや、アギトはおめーに言ってんだが?」


「なに!?そうなのか?」


「いや、普通にステラとルナって俺、言ったけど?」


「まぁ、アギトがそこまでいうんじゃ、きょうはこのへんにしておいてやる!よかったな、ひげ!かんしゃしろよ」


【ゴンッ】


「いてっ」


「おめー、全然わかってねーな!俺の一言でお前達の武器は一生作ってやらねーって事だぞ!」


「むむむっ。それはこまる」


「だったら、最初から言う事聞け!」


「しょうがないな。ここはルナがおとなのたいおうってやつをみせてやるか」


「まだ言うかこのクソガキ。言う事聞かない奴はこうだ!」


【ムニュュュュ】


大輔は、両手でルナの頬を摘まみ横に引っ張った。


「い……へへへ………。こ……こら………はなへ…………ひ……へ」


「やなこった!言う事聞くまで離してたまるかってんだ!」


「………こ……このや………ひょ………」


【ムニュュュ】


すると見かねた雫が


【ポカッ】【ポカッ】


「いへっ」


「いてっ!何しやがる雫!」


「そうだ!なにをするスケベ!」


【ゴンッ】


「誰がスケベだ!お姉ちゃん、本気で怒るよ!泣かすよ?」


「………ぅう………ごめんなさい」


「ったく、早くしてよね二人とも!こっちはお店を開けなきゃならないんだから!」


「はい。すみません」


「お、おう。悪い」


「んで、ステラちゃんとルナちゃんはどれにするの?」


「………私はあれ」


そう言うと、ステラは壁に飾られている一組の鉄甲(てっこう)を指さした。


「ほほう。確かに、空手をやっていたステラとは相性がいいな!」


「………うん。自分が得意とする物が良いと思い」


「オーケー!んで、ルナはどうするんだ?」


「んー」


工房内をグルグル見渡すルナ。すると一つの武器がルナの目に留まる。


「おぉ!あれがいい!」


ルナは大きな両手斧を指さした。


「両手斧?本気か?扱うには相当訓練が居るぞ?もっと扱いやすい武器のが良いと思うが…………」


「やだ!やだ!ルナはあれがいい!」


「まぁ、本人が言うなら仕方ないが、アギトは両手斧なんか扱ったことないよな?」


「無いですね。むしろ、何もないです。木刀だって見様見真似で使ってるくらいですし」


「だよな…………。ステラはともかく、ルナの両手斧の扱い方を教える人間が居ないってのもな」


真剣に悩むアギトと大輔。ルナが両手斧が良いと言っているのでそこは本人の意思を汲んであげたい二人。するとアギトが何かを思い出した。


「居た!たった一人だけいました。それも、これからルナたちがお世話になる所に」


「………私達がお世話になる所?」


「ん?あぁ、いやこっちの話だ!気にすんな」


「………そう言われると気になる」


「んで、誰なんだその人物は?」


「戦乙女のユイさんです!彼女の武器も両手斧です。天使の宴のエリスさん曰く、相当強いと言ってました。なので、彼女に使い方を教われば…………」


「教えてくれそうなのか?」


「平気だと思います」


「なら、それでいくか!んじゃ、ステラ、ルナ!俺様がとっておきのを作ってやる!」


「………感謝」


「おぉ!きたいしてるぞ、ひげ!しっかりやれよ!」


「また随分上からだな…………。まぁ、いいけどよ」


「どれぐらいで出来そうですか?」


「そうだな…………。二日もあれば出来るかな。幸い、武器の大きさが小さいからそれほど手間じゃない」


「ひげ!いちにちでやれ!」


「無理を言うなチビっ熊!どうやれってんだよ!」


「ねずにやればいい!できるだろ?」


「出来るかボケ!殴られてーのか!」


「ぼうりょくはんたい!」


「なら、だまってろ!」


「むむむ」


「そんな顔しても無理なもんは無理だ」


「チッ!つかえねーな、ひげ!」


【カチンッ】


大輔は自分の中で血管が切れる音がした。


「あー、そうかい。わかったよ!んじゃ、チビっ熊のは作らん!ステラのだけ作ってやる!」


「なんで!」


「知らん!自分の胸に聞いてみたらどうだ?」


「やだ!やだ!やだ!ルナのもつくれ!」


「嫌だ!」


「ケチ!」


「………今のはルナが完全に悪い」


「ステラまでなんでひげのみかたするの!」


「………当然。私達は、無理にでもお願いしてるの!それを、あーじゃない、こーじゃない言うルナが悪い。黙って髭輔の言う事を聞くべき」


「うるさい!ステラのバカ!もうしらない!」


そう言うと、ルナは泣きながら大輔の家を出て行った。


「お、おい、ルナ!何処に行くんだ!?」


「………ほおっておけばいい!直ぐに帰ってくる」


「い、いいのかよ?」


「………いいのよ。それより、武器の事よろしくお願い」


「お、おう、任せろ…………」


【ルナが大輔の家から出て行って六時間】


時刻は午後五時を回っていた。


「…………」


「…………それにしても、ルナ遅くないか?」


「…………そうね。いつもなら、二時間ぐらいで帰ってくるのだけど」


「おいおい、マジか!何かあったんじゃないか?」


「………私、探してくる」


ステラがルナを探しに行こうとリビングのドアを開けた瞬間。


【ドンッ】


「………痛っ」


「いてっ!ってステラか、悪い大丈夫か?」


「………私の方こそごめんなさい」


「んで、そんなに慌ててどうした?」


「………ルナが帰って来ない」


「はぁ?」


「…………昼間、家を出てからまだ帰って来ないの。だから、私が探しに行こうかと」


「ちょ、ちょっと待て!探すっていったい何処を?」


「………街に居なければ、街の外も探す」


「止めとけ!危険すぎる!街の外には、魔物や盗賊も居る。特に、夜の砂地は魔物の住処だ!今のお前じゃ無理だ!」


「………でも私が探さないと。きっと今ルナは泣いている。これも全て私のせいでこうなった」


「いやいや、誰のせいとかじゃなく、危ないからルナを探すのはステラじゃなく俺達がやる!」


「そうだ、ステラ。ここは俺達に任せろ!」


「………でも」


「俺も、街の連中に声を掛けてみる。だから、お前はここでルナの帰りを待て。いいな」


「…………わかった。ルナの事よろしくお願いします」


「おう!任された!んじゃ、アギト行くか!」


「あぁ!」


その頃ルナは街の外を歩いていた。街からはだいぶ離れ、街の灯りは見えない。木の枝を振り回し、ただ歩き続けるルナ。


「もう、ステラのバカ!ひげもバカ!なんで、ルナのいうこときいてくれないの!って、あれ?ここどこ?」


ルナは辺りを見渡すが、何もない。周りに見えるのは一面に広がる砂と、所々にある大きな石。


「うぅ。のどがかわいた…………。ステラ、おみずもってる?」


「…………」


ルナは、ここに来てようやく事の重大さに気が付く。今まで、ただステラや大輔の愚痴を言い続けて歩いてきた。何も考えなしに。そして、ここには今じぶん一人しかいないって事も。


「………こわいよ、ステラ、アギト」


日はみるみるうちに落ちていき、あっという間に暗くなる。

ルナは、近くの大きな岩が集まっている所に腰を下ろす。


「………どうしよう。どうやって帰ろう」


ルナがどう帰ろうか悩んでいる時


【ズザザザザッ】


「ステラ!」


ルナはステラとアギトが来てくれたと思い、岩の陰から出て音のする方向を見た。


【キシャャャャ】


「うわっ」


そこに居たのは三匹のサソリの魔物だった。サソリはルナを見つけるなり、二つのハサミを鳴らしながら近寄ってくる。

ハサミからは得体のしれない液が出ている。


【カシャンッ、カシャンッ】


「ひぃ。こ、来ないで」


【ズズズズズッ】


構わずサソリたちはルナへと近づいていく。ルナも、慌てて元居た大きな石の方へと逃げる。しかし、砂に足を取られ小さな子供には走る事は難しかった。そして、やがて三匹のサソリがルナを捉える。


「きゃゃぁぁぁ」

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