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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
拳王とシャドウ・ランサーの姉妹編

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星と月の覚悟~目覚める力~

【カンッ、カンッ、カンッ】


部屋に響き渡る金属を叩く音。大輔は今、工房にこもり仕事をしていた。


【三時間前】


「さーて、今日も仕事をするか」


【コンッ、コンッ】


工房をノックする音に大輔は反応した。


「はーい、開いてるよ!」


【ガチャ】


扉を開けたのはステラだった。何やら神妙な面持ちだ。


「おぉ、ステラか。どうした?」


「………髭輔にお願いがあってきた」


「髭輔という奴の言う事は聞かん」


「………むっ」


「そんな顔してもダメだ」


「………大輔にお願いがある」


「何だ?街の案内か?それなら雫に頼め。俺は今忙しいんだ」


「………違う」


「ん?じゃぁ、何だ?」


「………私に武器を作ってもらいたい」


「ダメだ」


「………なぜ?」


「逆に聞くが、なぜ武器が欲しい?」


「………アギトはこれからも旅をする。そして、私達のママも探してくれる」


「あぁ、そうだな。で?」


「………アギトだけに頼るのはダメ。私も一緒に探す。その為には、アギトに迷惑がかからないように私も戦いたい」


「ふーん。そうか…………でもダメだ」


「………何で!こんなにお願いしてるのになぜ作ってくれない?」


「アギトはこのこと知っているのか?」


「……知らない。私が勝手にやっている事」


「なら、なおさら無理だ。わかったら出てけ」


「………いや。作ってくれるまでここを動かない」


「あのな……。アギトが魔王を倒す旅にお前達姉妹を連れて行くと思うか?」


「………え?」


「連れて行くわけねーだろ!何で、わざわざ子供のお前達を連れて行く。あいつの話しじゃ、魔王軍とも戦うって話しだ。そんないつ死ぬかもわからない旅にお前達を連れて行けるわけないだろ!」


「………だから私も強くなって一緒に戦う」


「無理だな……所詮は子供。お前達がどうこうできる相手じゃねーんだよ!それこそ、そこらの冒険者でも魔王軍には勝てるはずがない。

お前達は転生されたばかりだから知らないだろうけど、以前も魔王が復活したことがあり、その時の勇者パーティは強かったらしいが、魔王にたどり着くどころか魔王軍の四天王に全滅させられたんだぞ!

今回だって、アギト達でも勝てるかわからねー!」


「………なら、なぜアギトは戦うの?勝てないかもしれない奴となぜアギトは戦うの?」


「それが使命だからだ。それに、アギトが魔王を倒すことが出来れば、転生者の俺達は元の世界に帰れるのさ。だからあいつは必死に戦っている。

その戦いに、足手まといのお前達を連れて行くわけなーだろ!

お前達の母親はついでに探すって言っていただろ?それでいいじゃねーか!アギトが勝てば、お前達や、母親も元の世界に帰れる。もしアギトが負けたとしても、勇者が居なくなれば魔王は眠りにつく。

その時、一時的に世界は平和になる。その時にお前達が母親を探せばいいじゃねーか!

その時は、俺達家族もお前達について行き、全力で母親探しを手伝ってやる」


「……………」


「そういう事だから、お前の武器は作らん。わかったか?」


「………わからない」


「あのな…………」


すると、部屋の中を覗き込むもう一人の人物を大輔は見つけた。


【ジーッ】


「んでだ。おい、そこのチビっ熊!何してる?」


「はっ!」


「『はっ!』じゃねーよ!バレバレだっつーの!」


「よ、よう!き、きぐうだな、ひげ!こんなところであうとわ!」


「こんな所って…………。ここは俺の家だし、俺の工房だ!居てもおかしくないだろ!何が奇遇だよ!」


「ふ、ふーん、そうか…………。ところでひげ!」


「何だチビっ熊!」


「ルナにも、ぶきをつくれ!」


「てめー、ナメてんのか?」


「なめてない!ほんき!ステラだけにつくってズルい!ルナにもつくって!」


「誰がステラに作ると言った?」


「ひげ!」


「言ってねーよ!」


「いったじゃん!」


「嘘をつくな、嘘を!」


「むむむっ。ひげのケチ」


「ケチで結構!あー、結構!」


「ひげのいじわる!」


「意地悪で何が悪い?」


「いじわるはきらわれるぞ!いいのか?」


「お前らに嫌われても、別にどうってことはねーよ!」


「な、なんだと…………。ステラ、ひげがいじわるする」


「……………」


「ステラ、なんでだまってるの!」


「………髭輔、どうすれば作ってくれる?私はどうしても戦う力が欲しい」


「ルナだってもらえるものなら、なんでもほしい!ステラだけはズルい!」


「………ルナは黙ってて」


「……………うぅ」


「………お願い作って」


「……………」


ステラの本気のお願いに大輔の目つきが鋭くなり静寂が訪れステラが唾を飲む音だけが僅かに聞こえた。


【ゴクッ】


「どうしてもって言うなら、この俺に一発でも攻撃を与えてみろ。それが出来なきゃ一生作らん」


「………わかった。でも、髭輔は戦闘職の職業じゃないはず」


「馬鹿にするな。俺だって一応は戦える。鉱石を取りに行くときにも魔物は出るしな。戦闘経験も多少なりある」


「………なるほど。じゃ、遠慮はしない」


「上等だ。やってみろ!」


「あー!ずるいぞひげ!ルナもそれやる!」


「構わんぞ!後で、ピーピー泣いても知らんからな!」


「じょうとう!ひげぐらい、あっというまにたおす!」


「言ったな、この野郎!」


「ふふーんっ!かくごしろよ、ひげ!」


こうして、ステラ&ルナVS大輔の模擬戦が行われる。もちろん、話を聞いたアギトや雫もやってきた。


【ロックフォールの城外】


「さ、まずはどっちからやるんだ?」


「はーい!はーい!ルナからやる!」


ルナは手を上げ大きく飛び跳ねる。


「ステラはそれでいいか?」


「………ルナからで構わない」


「よし、じゃかかってこい」


「いっくぞぉー」


ルナはアギトに、自分のサイズに合わせてもらった木刀を手にし、両手で握り構える。大輔も、木刀を持ち構えた。そして、ルナが大輔の元へと走っていく。


「えいっ」


【スカッ】


「まだまだ!えいっ」


【スカッ】


「どうしたルナ?そんなんじゃ当たらないぞ?」


「むむむっ。このっ!」


【スカッ】


「この、この、この」


しかし、ルナの攻撃はいとも簡単に大輔に見切られてしまい


【スカッ】【スカッ】【スカッ】


【ゴンッ】


「ぐへっ」


【バタンッ】


大輔の攻撃が、ルナの頭に当たりその場に倒れる。


「はい、終わり!ルナの負け」


「………う………うぅ…………う………うわぁぁぁぁん」


ルナは泣きながら立ち上がり、アギトの元へと走っていき、足元に抱き着く。


「………うぅ………ア……ギド………うぅぅ…………」


そんな、ルナの頭を優しくなでるアギト。


「おー、よしよし。惜しかったな、ルナ」


「うわぁぁぁぁん」


「………次は私よ。ルナのようにはいかないわ!」


「おう!かかって来い!って、お前は武器はいいのか?」


「…………いらない!私の武器はこの拳」


「そうか、そうだったな!お前は空手をやっていたんだっけな!」


「…………うん。じゃ、いくよ!」


「来い!」


ステラは走り出し、大輔の脇腹に蹴りを打ち込む。


【ガンッ】


大輔も、ステラの攻撃に合わせ、木刀で蹴りをうける。


「………まだよ!」


今度は左手の拳で大輔の腹を狙う。しかし大輔は右手に持っていた木刀を捨てステラの拳を掴む。


【パチンッ】


「所詮は子供のパンチ。避けるまでもない」


「………くっ」


「お前の覚悟はこんなものか?」


「………まだよ!」


ステラはすぐさま右手で大輔の左腕を掴み、ジャンプして大輔の顔に蹴りを繰り出す。大輔は首を下げ、ステラの蹴りは空振りに終わったように見えたが、避けられることを想定していたステラは、途中で蹴りを止めそのまま(かかと)落としをする


「………甘い」


【ガンッ】


大輔は、とっさに左手で踵落としをうけ、ステラの足を掴む。


「うぉっ!あぶなっ」


「………これでもダメなの!」


「考えは良かったが、残念だったな!」


大輔はそのまま、足を掴んでいる左手でステラを放り投げる。


「………何て力なの」


ステラは空中に放り出され無防備になる。そこへ大輔の拳がステラを捉える。


「これで終わりだ!」


大輔のパンチがステラに当たるその時、


【スキル 武神の瞬き】


ステラは無意識のうちに自身の固有スキルを発動した。


ステラは、自分に目掛け繰り出される大輔の拳の先端に、自分の足の裏を合わせ、勢いを相殺し後ろに飛びのく。


「「「なっ!」」」


その場にいた誰もが、直撃するはずだった大輔のパンチが躱された事に驚く。


「………くっ」


「お、おい!ちと待てステラ!今何をした?」


「………何って何?」


「いや、確実に俺の拳はお前を捉えていたのに、急にお前の動きがおかしくなったぞ?」


「………スローモーションになったというか、攻撃が遅かったって言うか」


「なんだと!」


「………今までこんな事は無かった。もちろん、現実の世界でも」


「な、なぁアギト、これって…………」


「わからないが、多分ステラの固有スキルだろう。俺のスキルで調べられると思うがどうするステラ?」


「………お願い、やってみて。もし私の与えられたスキルならそれを活用しない手はないもの」


「わかった」


【スキル 調べる】


アギトは、ステラにスキルを使い固有スキルを調べる。


【武神の瞬き】

・対象の1秒後の行動を見ることが出来る。


「マジかよ…………」


「アギト、どうなんだ?」


「武神の瞬き…………。対象の1秒後の行動を見ることが出来るらしい」


「何だと!?相手の行動を先読みできるのか!」


「そうらしい…………」


「スゲーじゃねーか、ステラ!」


「…………ありがとう」


「ルナの固有スキルはどうなんだ?」


大輔は、ルナの固有スキルにも興味津々だった。アギトは、自分の胸の中で泣き続けるルナにスキルを使っていいかと尋ねると、ルナは小さく頷いた。


【双影の共鳴】

・自分とそっくりな影の分身を呼び出す。


「双影の共鳴…………。自分とそっくりな影の分身を呼び出すだそうだ」


「自分とそっくりな影の分身?つまり、ルナ2人と戦うって事か?」


「………そうだと思う。ルナに限っては誰も見たことないから何とも言えないが、説明を見る限りじゃそう言う事だと思う」


「お、お前等、スゲーじゃねーか!マジスゲーぞ!」


「よーし!わかった!お前達二人に、俺が武器を作ってやろう!」


「ちょっと、お父さん本気?ステラちゃんとルナちゃんを戦いに巻き込むの?」


「いや、そうじゃない!あくまで護身用だ!作るから、戦えって事は言わない!その事を、守れるなら作ってやる。どうしても、身の危険を感じた時に使えって事だ。それでいいな、ステラ、ルナ!」


「…………構わない。私もルナもむやみやたらに使わないと約束する。いいわね、ルナ!」


「………うぅ…………う…………うん」


「よーし、じゃぁ帰って飯にでもしよう!腹減った!」


「そうね、私もお腹すいた!」


「…………私も」


「…………ルナもおなかすいた」


こうして、ステラ達の模擬戦は終わり、いよいよアギト達がロックフォールを後にする時が来た。

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