ショッピングは命がけ?必死な雫と性悪くまさん
今、アギト達はステラ達のこれからの生活で必要な物を買いに来ている。メンバーは、アギト、ステラ、ルナ、雫の四人だ。ロックフォールは、中央の商業区を挟むようにして、左右に居住区と工業区がある。
大輔の住まい兼お店は工業区に位置する。まだ、ステラ達は大輔の家の側にしか行ったことなく、商業区に来るのは初めてだ。
ただ、この世界には現代のようなショッピングモールなどは存在しない。各お店が独立した形で商売をしている。そして、ここにテンションが爆上がりしている少女が一人いた。
「おお!アギト、ひとがいっぱい!」
「おう、いっぱいだな!」
「………ふっ。ルナはまだまだ子供ね。この程度ではしゃいで」
「ええ?そう?私も初めて来たときはルナちゃんと同じ感想を持ったけど」
「………ふっ。雫も子どもね。私はこの程度じゃ驚かない」
「あはははっ。さっ!まずは洋服から買いに行くか。すまん雫、案内を頼む」
「はいは~い!お任せあれ!」
【5分後】
「………おお!すごい!みてみて、ルナ!この服可愛いと思わない?あっ!こっちのもすごくいい!やばい!やばい!やばい!」
店に入った途端、テンションがMaxになったのはルナではなく、先程ルナと雫を子ども扱いしたステラだった。
「おい、ステラ…………?5分前にお前何か言ってなかったか?」
「………はっ!」
「…………オ、オホン。まあまあね」
「ステラがよろこんでる!わーい!たのしい!」
「………あっ!こら、ルナ!走り回らないの!」
「えー!いいじゃん!かわいいおようふく、いっぱいあるよ?」
「………やれやれ、これだからルナはお子様」
「みて、ステラ!このうさちゃんのおようふくかわいいよ!」
「………何!?うさちゃん!どれどれ、見せなさいルナ!」
「あはははっ!ステラおもしろい!」
「………うさちゃんこそ正義」
「あのいつも冷静なステラがまさかここまでとは…………」
「そ、そうですね……。私もすごく驚いています」
「あー!くまさん!アギト、くまさん!」
「ん?くまさん?ルナは熊さんが好きなのか?」
「うん!ルナ、くまさんだいすき!アギト、これがいい!」
ルナが手にしたのは、可愛い熊の顔がプリントされたTシャツだ。
「どう!?かわいい?かわいい?」
「おぅ!ルナも熊さんも可愛いぞ!」
「ぐへへへっ!アギトがかわいいっていってくれた!」
「ルナ、これも可愛いぞ?可愛いルナにピッタリだ!」
「どれどれ?うわぁー、おみみがついてる!かわいい!アギト、これもかって!?」
「おう、いいぞ!どんどん選べ!」
「わーい!アギトだいすき!」
「………アギトさん、お金は大丈夫なんですか?」
「ん!?あぁ、平気さ!旅の資金は余ってるからな!」
「それならいいんですけど…………。じゃ、私も自分の洋服見てきますね!もちろん、自分のお小遣いで買うからお気になさらず」
「え?いや、お世話になってるか商品を持ってくれば俺が買うけど?」
「いえいえ!いいんです!自分で買えますから」
(危ない、危ない。今日はアギトさんを落とすために刺激的な下着を見に来たんだから、見せるわけには…………)
「では、ちょっと奥に行ってきますね!適当に買ったら戻ってきます」
「はいよー!俺達は入り口の所で待ってるかゆっくり見てきていいぞ!」
「つぎはステラのうさちゃんさがそー!」
「………探す。ルナ手伝って!」
「もちろん!いこ、いこ!アギト、こっち!」
この後、ステラとルナはそれぞれ好きな洋服を買い、雫の買い物が終わるのを待っていた。その頃、雫はといえば………
「さて、ここからが本番!アギトさんはどういうのが好みなのかしら?」
雫は、アギトをどうにか落とそうと際どい布面積の下着を物色していた。
「こ、これは…………」
雫が今手にしているのは、もはや紐しかなく布面積が極端に少ない下着だった。
「こ、これは流石にやりすぎかしら?でも、これくらい大胆に行ってアギトさんを悩殺できれば…………」
そんな際どい下着を持って悩んでいる雫を見た店員が近寄ってくる。
「お客様、こちらはお客様にピッタリかと」
「そ、そうですか?」
「うん、イチコロ。これぐらいスケベなやつじゃないとダメ!」
「そ、そうよね!これくらい大胆に行かないと…………って、え?えっ?ル、ルナちゃん?ち、違うのこれはそ、そのね…………」
「ふーん…………」
「な、な、何よ!何よその顔は…………」
「………べつに」
「ステラァ!!しずくちゃんが、スケベなのもってるー!」
「あっ!こらっ!ルナちゃん?待ちなさい!」
「しずく、スケベ!」
「ま、まてぇ―――――!」
そう言いながらステラの元へと走っていくルナ。そして、ルナを追いかける雫。
「………アギト、あっちでルナが何か叫んでる」
「ん?あれ?いつの間に居なくなってた?」
「………結構前から居なかった」
「マジか。ちょっと行ってみるか」
「………了解」
店内を大声で駆けずり回るルナ。やがて、アギト達を見つけルナが戻って来た。
「どうした、ルナ?そんなに騒いで?」
「あのね、あのね………」
「ルナちゃん、ダメ―――!」
「しずくがね、すけべなのもってる!」
「スケベなの?何だそれ?」
「………あれじゃない?」
ステラが指さす方向には、際どい下着を持った雫がアギトの方へと走ってきた。
「はぁ、はぁ、はぁ。ルナちゃん…………」
「すけべ―――!」
「ち、ちが…………あっ!」
「その、何だ…………。まぁ、いいんじゃないか。たぶん」
「違うんです!こ、これは何かの間違いで………」
「しずくね、これでアギ…………むぐむぐ」
「静かにしようね、ルナちゃん?じゃないと、お姉ちゃん怒るよ?」
おでこに青筋を立てている雫。その顔を見て必死に何かを言おうとするルナ。
「んん――!」
「わかった?」
「んん――!」
ルナは、大きく首を縦に振った。
「プハッ!」
「しぬところだった。しずくこわい」
「ルナちゃんが何も言わなければ怖くないよ?」
「わ、わかった。ルナ、なにもいわない」
小さな両手で自らの口を塞ぐルナ。
「よし、いい子ね!ところで、アギトさん?なにも見てないですよね」
「え?あ、あぁ。」
「ならオッケー!ちょっとお会計を済ませてきます」
「わ、わかった」
この後、無事買い物を終えた4人は大輔の家へと帰宅したのだった。そして
「かえってきたぞ、ひげー!」
「それが帰ってきた奴の言葉かよ!」
「みてみて、ひげ!どう?ルナかわいい?」
そう言うとルナは大輔の前で一回りして見せる。
「おぉ!随分可愛くなったなルナ!」
「えへへへっ!ほれるなよ、ひげ!」
「誰が惚れるか!ってか、ルナそんな言葉どこで覚えた!?」
「ん?アニメでみた!」
「はぁ。今のアニメはとてもじゃないが教育によくないな…………」
「ひげ…………じじくさい」
「ほっとけ!」
「お?ステラも随分可愛くなったな?」
「………目がキモい。見ないで」
「なんでだぁぁぁぁ!」
「あらあら、随分楽しそうじゃない?」
「愛華…………。聞いてくれよ、ステラとルナが俺を虐めるんだ」
「あらやだ、何て可愛い熊さんなの?」
「でしょ!アギトがえらんでくれたの!このくまさんのぼうしルナのおきにいり!」
「ほんと、良く似合っているわ!ステラちゃんも可愛いわね!」
「………あ、ありがとう」
少し照れた顔をするステラ。
「お前等、何で愛華と俺じゃ反応が違うんだ!こんなの不公平だ!」
「しらないもーん!」
「………髭輔はただキモい」
こうして、アギト達の波乱のショッピングは幕を閉じた。そして、翌日一人の少女が仕事中の大輔の元へと向かうのだった。




