相性
「ゆりと律の良さ何にも伝わんねぇわこれじゃあ」
「わかる。動画じゃあの二人の雰囲気何も伝わって来ないね。」
“ゆりと律の良さ”なんて面と向かって言われたら照れる。なんて正直な人なんだ。僕は今まで褒められた経験が少ないから、というか褒められるような挑戦をしてこなかったからとてもむずがゆい。僕は再生回数の低さは僕の演奏スキルのレベルが低くて誰も聞いてくれないレベルだからなんだと思っていたから、こんなに真っ直ぐ褒められると戸惑ってしまう。
そう言って陽翔はあるバンドを僕たちに見せてきた。
「このバンドは?」
「このバンドもゆりたちと同じ、動画からは良さ全然伝わらないタイプのバンド。ほら見てみ?…でもこの前俺このバンドをライブで見たことあんだけどめちゃくちゃ上手いし繊細でかっこいいわけ。多分動画に合うバンドと合わないバンドがあるんだと思う。ゆりたちは合わない方。」
彼が見せてくれたそのバンドというのは「天邪鬼」という名前の5人バンド。そのバンドはめちゃくちゃカッコいいロックバンドで全員見た目もやや厳つい。確かに動画だけ見ると厳つい男たちがジャカジャカ音を鳴らしてるだけにも見える。
「つまぁあああああありだな!!!」
「うぉ!びっくりした、」
「俺たちはライブをしまくることが大事ってことだぁあああ!!ハハハハハ!!」
「え、それって、」
「俺の友達にライブハウスやってる奴いっからよ!そいつに頼みに行こうぜ!!!」
「い、いやまっ、」
「はっはっは!!!」
流石太陽だ…。流れが全部陽翔の思い通りに動く。そして何が厄介なのかというと彼が言っていることに何一つ間違いはないということ。ただ多くの人が言うのを躊躇うのを彼は躊躇わずにスパッと言い切れるだけだ。
とはいえ解決しないといけない問題はまだある。そしてこっちの問題の方が重大だ。
「その前にさ…このバンド、ベース二人いない…?」




