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OneLoser(ワンルーザー)  作者: kíséri/キセリ
The first series:「ぼくのうた」
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願い

 

「おー仕事は順調か?蒼原。」


「は、はい。…あの、誕生日の日はいろいろすいませんでした。」


「おーいやいや、気にすんな気にすんな!」




 部長絶対ああいうの根に持つタイプでしょ…。目の奥笑ってないし、僕の左肩に置かれた手の圧がすごいし。そもそも僕なんかに話しかけに来るタイプでもないのに。




 もう正直アレからの仕事は死ぬほど憂鬱でしかなかった。じゃあ休みますなんてできるのは学生まで。なんて言いながら、もう28でアラサー4年目のくせに精神年齢はまだ高校、大学で止まってる僕は、大人なんだから、社会人だからどうとかよく分かっていない。それくらい流されて僕は今まで生きてきている。



 年齢が上がっていくだけで必然と大人になるとかよくわからない。


 20歳になったから「はい、あなたは今から大人です」は無責任すぎじゃない?なんて社会人1年目はよく思っていた。未だに思うし。



 社会人としてのプライドなど皆無だから今日も休みたいし、多分明日も休みたい。仕事なんかしたくない。できるなら10時くらいまで寝たい。


 そんな僕が今も仕事をやり続けているのは、やめたとてコレといったやりたいこともないし、転職したって結局死ぬまで社会の歯車として生きていく道しかないし、かといって無職は無理だから、というクソ理由で、何のモチベも目標もありもしない。



 本日もこの部署の中で一番きっらきらしてるゆり。劣等感はよく感じていたけれど、もうかなわない存在なのは僕が一番わかっている。比べるから苦しくなる。

 もうはじめからそんなもんだよなぁって思うようにすると心の柔らかい部分を飴細工でコーティングしたようで、少しだけ心がマシになった気がしたからできるだけそのコーティングが溶けないよう真ん中を熱くしないように心がけている。



 こんな僕ができることは、僕の周りの人たちに小さな幸せがちりばめられていることを願うくらい。


 僕が勝手に願うのもおこがましいから、いつも優しい笑顔の堤さんの自販機ルーレットが7777になりますようにとか、この前僕のミスをカバーしてくれた丸山さんのポケットから忘れ去られた1万円がでてきますようにとか、混んでる電車でたまたま目の前の席が空きますようにとか、そんなレベルの願いをいつもの癖でゆっくり右手を親指を中にして握りながら願う。



 願ったからといってまあ何にもならないんだけど、それくらいはしたい、と思うのは本能的に“誰かの役に立ちたい”と思う人間のサガなのかもしれない。


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