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OneLoser(ワンルーザー)  作者: kíséri/キセリ
The first series:「ぼくのうた」
3/45

僕だけ

「…あ、起きた!?大丈夫かよ!?」

「…んー?…」


ゆりのバカでかい声がズギッっと頭に響く。目をうっすらと開けるとそこは全くなじみのない部屋だった。何どこだ、ここ。


「いやあマジで、死んだのかと思ったわ、よかった」

「え、今何時?」

「深夜3時」

「まじか」


 重い上半身をゆっくりあげる。ゆり、こんな時間まで起きてくれていた上にスーツ姿の僕にベッドまで貸してくれてたのか…。これは今度飯でもおごらないとな。

 なにより僕は倒れたその瞬間の記憶は正直ないけど、あの不思議な体験の話をしたかった。


いろいろその時の話を聞くと、ゆり曰く、僕はあの浜辺で歌った後、()()()()()()突然かたまって海の方を眺め始めたと思いきや、海に足をつけた後、不気味に笑って倒れたらしい。

 つまりアレはゆりには見えていなかった…?僕だけ見えていた…?



「じゃあ海が奥から真っ白になっていったのも見てない?」


「…はぁ、マジ倒れて頭おかしくなってるわ。もう今日はベッド貸してやるからシャワー浴びてとっとと寝ろ。明日も仕事だぞ。」


「え、じゃああの少女は?あの今にも消えそうな。」


「はいはい、もういいから。それにそんな不気味な話、4時来る手前でしないでくれる?俺、ジェットコースターは行けるけどお化けは無理なんだよ、知ってるだろ」


「…………マジか。」



 いや、マジか。どういうことだ、なぜ僕だけに見えていた?てかゆりの話によれば僕は確実に“見えていた”。つまりおかしいのはゆりなのか?いや、でもそもそもあんな意味わからないこと起きるわけない。僕がおかしいのか…?




『…ィサ……ァュ…ュ…………ェィ…ォ』






 僕の鼓膜は確かに震えていた。間違いない。


 なんだ、何が起こってる…。


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