太陽と子犬。ハワイとピクニック。
「??俺と?」
「そう。僕とゆりとアツと……あなたも」
「え?私も!?」
「もちろん!」
「「無理」」
まさか断られるとは思わずポケンとしてしまった。
まあでもアツの背中から生えている二本を見ればわかるか。
多分ほかでバンドでも組んでるだろうな。一緒にいるということは彼女も同じバンドを組んでいるんだろうし…。
それでも落ち込んだのはゆりも同じようで、ガクッと下顎を落としながら一旦「なんで…?」と彼らに聞くと
「だってお前らどんな音楽やってるか知らねえし。…別にバンド組んでるとかじゃないけど」
「え?バンド組んでないの?なのにスティック持ち歩いてるの?」
「あ、いや、これは、なんもねえ。黙れ。」
「いやあ実は…」
「ちょっ、桃花黙れって」
「…ア~ツ?こんなに真剣に話してくれてるのに自分のことは話さないとかないよ?私そんな奴嫌いなんだけど。」
「…ごめんなさい…」
「うむ!よしよし!偉いよ~!」
「もう嫌いとかいわない?」
なんだこりゃ。
突如として、目の前にいるギラギラした太陽は子犬に大変身した。耳も尻尾も見える。この真夏のハワイのような雰囲気は春の暖かい日差しのもとで桜を見ながらやるピクニックのような雰囲気にガラッと変わり、この季節の変わりように風邪をひきそうになった。
まあそういうことなんだろうな。どちらかといえば亭主関白になりそうなこの暑苦しい太陽も彼女の前では子犬ってことだ。
はあいいなあ。俺なんかつい2か月前に彼女に振られてもうボロボロなのに。隣にいるゆりも同じようにポカンとしていて、なぜかマスターだけはニヤニヤしていた。
いやそうなんだよ。人は見かけによらないというのはまさにこのことで、マスターはこんなに厳つい見た目をしておきながら恋バナが大好きだ。
大学生のころから僕たちはここに来てはマスターの餌食になっていた。「彼女とどうなん」「どこまでいったん」「別れたんけ」「好きな子おらんの」もう毎日聞いた。正直ゆりは彼女が絶えなかったタイプだからこの話は盛り上がっていたが僕はたまにいたくらいでそんなに話すこともなかった。僕らの話を聞いて「青春っていいねえ」なんていつも言っていた。
最近は恋バナよりもこの将来のことの話の方が多くて、恋バナの供給が足りてなかったんだろう。とてもうれしそうだ。
「いやあの実はですね…」




