みんなのせいだ
そりゃそうだ。そんなバカみたいな話はない。
バカみたい。いつまでも夢ばっか追って、そんなのうまくいくわけないのに馬鹿。
どいつもこいつも馬鹿ばっかり。馬鹿、馬鹿、馬鹿。もう何歳になってまだ夢見てんだ。
今までも苦しそうに働くサラリーマンや主婦たちによって社会は無理矢理動いてきた。それでしか社会は動けない。みんながやりたい放題してたら社会はもみくちゃになる。社会は団体だ。自分一人の世界じゃない。だから自分一人だけやりたいことをやるなんて、それはルール違反だ。それを社会は許さないから。みんな苦しんでるのに自分だけ楽しんでいるのなんか社会は許さない。
音楽も漫画もすべて対象は社会に属している人だ。社会から出ることは人間出来ない。お金は人間がいるから生まれる。人間がいる限りは社会は生まれ続ける。
つまり社会に嫌われた存在はもうこれ以上どこに属してもうまくいかない。そんなもんだ、人間社会ってものは。そんなもん。だから外れた人はうまくいかない。そんなもの理屈で成り立っている。明らかにおかしい。無謀だ。
今音楽なり漫画なり自分のやりたいことで生きている人は何か突出した才能がある。その才能に社会の人々が惚れ込むからその人は称えられる。
けれど僕はそうじゃない。頑張った動画の再生回数がクソみたいなもんなんだから。
そんな奴才能あるとは到底思えない。
ああよかったよ、勢いで会社辞めなくて。すべて無くなるところだった。
マスターもゆりもああいってくれてたのはただの“やさしさ”だったんだよな。
そんなの鵜呑みにして調子乗ってこのざま。よかったこの段階で気づけて。
才能ないやつがその世界に行ったら本当に一人になるだけだ。そんな意味のないことをするべきじゃない。
そんなの馬鹿がすることだ。
「なのに…ッ、どうして、ッ、僕まで………ばかに…なっちゃったんだァッ…ゥゥック…」
「…律…?」
「…分かってる!!こんなの無謀だってこと!!…馬鹿みたい。マスターもゆりも、なんでそんな本気なんだよ!!馬鹿みてえ!!こんなん、何の意味もない!!もうおっさんにもなって何が『やりたいこと』『夢』だよ!!もうそんなこと言える年齢じゃねえよ!!何を…そんなに本気で……ッ」




