初投稿
こうやって思うと本当にワクワクが出てくるのが人間の不思議なところで、それからはいつも通り、もしくはそれ以上の調子で歌を歌えることができた。
それからはとりあえず5曲分の撮影をして、それぞれ何テイクかとってなんとか初回の撮影は終わらせた。終わったころには今までにない疲労感を感じた。多分これが興奮の代償なんだろうな。
撮った動画を二人で確認して、いつも聞く自分の声とは違うことにお互いびっくりしながら、それも動画を確認すると次第に慣れてきて、一番いいものを二人で選んだ。
この動画を即座にそれっぽく編集をしたゆりは素早い手つきでSNSのアカウントを作り、投稿の準備を完成させた。「いや慣れすぎじゃない?」と聞くと少し恥ずかしそうな表情でSNSに動画を投稿してた時期があることを教えてくれた。…だからあんなにSNSに詳しかったのか!ようやく納得した。
ゆりによると動画を投稿する時間とかも大事らしい。今は夜の8時。動画を投稿するにはうってつけの時間らしく僕たちの初投稿は今行われることが決定した。
「うわああマジでこういうの初めてだから緊張する~!!」
「アハハ!どうする?明日みたらめちゃくちゃバズってたら!!すぐになんか事務所とかに声かけられたりして…。うはあああワクワクじゃん!!」
そういって久しぶりに未来に期待しながら、本当にこの動画で未来が変わるかもしれないというドキドキを感じながら、せーの、で初めて動画を投稿した。
その瞬間なんの変哲もない面白くない僕の人生に特大のスパイスが振りかけられた。
翌日。昨日の夜は投稿した動画がどうなったのかが気になりすぎてなかなか寝付けなかった。未来にいい期待をして寝付くなんて久しぶりで10歳以上若返ったような気分だった。
昼休憩中、急いでゆりの方に向かって昨日の動画がどうだったか聞くとゆりもまだ見ていないようだった。どう見てもニヤニヤにしている僕たちは不審がられないように、休憩スペースの端っこに座った。
「ガチ緊張しね?」
「いや分かる。でもこれこそ興奮かもね」
「確かに。え、どのくらいいってると思う?俺体感的に4,5万くらいはいってんじゃないかなと思うんだよね」
「ええ、アベレージ分からんけど、1万再生いってたらヤバイね」
「だな!…よしじゃあ、見るぞ…」
どうだ…と二人でスマホを覗くと衝撃の数字がそこにはあった。
「「゛え…」」




