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OneLoser(ワンルーザー)  作者: kíséri/キセリ
The second series:「はじまりのうた」
18/45

これから

 

 カランカラン…


「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」

「3人です」

「こちらへどうぞ。そちら段差ありますので足元お気を付けください。」



 僕たちはあのおじいちゃんと離れてすぐに近くのカフェに入った。この熱が冷めやらぬうちに、不安や恐怖で行動できなくなる前にできるだけ今後の話をしたかった。


 ゆりとマスターはアイスコーヒーを、僕はオレンジジュースを頼んだ。



「で?りっちゃんはこれからどうしたいのよ」


「…今勢いだけで今ここにいて、わかんないですけど、でも、僕は音楽をやりたいです…。大好きな音楽をやりたい、ただそれだけです。不安もあるんですけど、でもそれ以上にあのおじいちゃんが僕に伝えてくれたことを無駄にしたくないって感情が強いです。」


「ほうか。りっちゃん大好きゆっちゃんは?」


「いや言い方!!…まあでも僕ももともとコンバスやってたし、律と音楽してる時間が一番好きなのでもし律と音楽できるならやりたいって気持ちがありますね」



 その言葉がとてもうれしくて、心がポカポカしていくとともにそれによって蒸発した水分が目から体外へ流れていく。

 人生で初めて僕の音楽を好きだと言ってくれた人。僕に勇気を与えてくれた人。こんな頼れるゆりが僕のそばにいてくれてこれ以上恵まれていることは無いと本気で思うからこそ、不安も恐怖も無視せず立ち向ってその先で、こいつと笑いたいと思える。


 生半可な覚悟なわけではないけれど、それでもどこか学生時代の延長線上のような、そんな感覚。あの真っ白がまたこの先待っているのだと思うとそんな不安や恐怖よりも楽しみが上回っていった。


 なんていいながら怖いのも事実で。ただ今までの僕はこの怖さからも逃げてきたから。

 初めてこんなに自分スレスレのところに怖さがあって、今までそれを横目で見ていたものをきちんと目と目を合わせて震えながらも向き合ってる。それだけでも十分僕にとっては成長だ。そして隣にはこの人たちがいる。



「っしゃあ!よーやく二人から音楽やりたいって言葉聞けたわ!もう俺、ほんま何年待ってん。」


「えそんなに待っててくれたんですか?」


「はっ、当たり前やろ。俺はまだこんな話すようなってへん段階でこいつらは音楽やりたいんやなあって思てたわ。やのによーわからんとこ就職して、ほんまいつ口出ししたろうか思ててん。…まあ時間はかかったけどよかったわ。ほんま俺お前らの親かいな!」



 マスターの言葉にまた心を温めながら次第に今後どうしていくのかの作戦会議が始まった。僕はSNSとかも全然見るタイプではなく、それはマスターも同じらしく、あきれたゆりが案を出してくれた。

 その中で一つ大まかに決まったこと。それは“動画投稿を始めること”だった。



「僕、ついにSNS活動者になるのか…」


「とはいっても俺的にはもう今はショート動画の時代だからもうそっちだけを重点的にやっていいと思う。」


「「ショート…動画…?」」


「いや、マジか!!マスターは置いといて律はマジ普段何してんだよ!!…ショート動画っつうんは、だいだい1分以内の動画のことで、最近の若者は10分以上の動画よりもそういった短い動画の方を好む傾向にあるんだよ。でSNSとかって結局若者から流れや流行は作られるから今から音楽をするってなったら絶対に外せないね。」


「ほぇ~ゆり天才だね!…でも一つ質問なんだけど、もちろん若者から流行は生まれるからSNSをするっているのはわかるんだけど、なんか一発屋みたいになりそうじゃない?なんかSNSやって何かにつながるのかな…って思っちゃうんだけど」


「マジ分かってなさすぎ。それこそHirumaもSNSでバズって今だよ?今や新人でテレビに出てる人は基本SNSやってるし、SNSの影響力は想像の何倍も大きいよ。誰でも発信できるような世界だから、なんの発信力もない人よりも発信力ある人の方が重宝される。だってさ…金になっからね。」


「はぁあん、つまりその人が発信すればそのファンがグッズとか、紹介したものを買ってくれるから…ってことか!」


「その通り。まあ僕たちはSNSで物を売るわけじゃないけど、音楽を届けるには今はショート動画が最適だと思ってるよ。」



 ゆりによるSNS講座も終わり、絶対に毎日ショート動画を投稿するという約束をしたうえで、音楽活動が波に乗るまで仕事は続けることになった。SNSは正直よくわからないから、基本的にはゆりが担当で僕は別のとてもとても大事な役割を担当することになった。



「じゃあ律は…バンドメンバー探しといてね」



「はッ!?バ、バンドっメンバー!?」

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