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OneLoser(ワンルーザー)  作者: kíséri/キセリ
The first series:「ぼくのうた」
15/45

ひとり

 

「なんやスッキリした顔で帰って来よってほんまに…」


「すいません、突然走っていってしまって…」


「ほれはええわもう。…ほんで?ええ表情(かお)しとるけど何があったんで?」



 いつもゆりに頼ってばかりで、ゆりに応援してもらってばっかりだったけど、次はその役目は僕自身で果たす。ゆりの方を一切見ずに、両手をグッと握って、ドクドク鳴る鼓動を受け止めて、しっかりとおじいちゃんとマスターの目を見て、話し始めた。




「……気が付きました。僕はゆりのこともマスターもおじいちゃんだってすごく羨ましくて、すごく置いてけぼりにされているような感覚…孤独だってずっと感じてた…。でも根本的にはきっと人間みんな孤独なんだって。だから僕は、自分のことは自分が一番に応援しようって思ったんです。できないかもしれない、でもできるかもしれない。僕たち人間は他人に100%理解してもらうことなんて不可能なんだから僕くらいは僕のことを応援してあげないと頑張ってる僕が可哀想だなって思ったんです。」



 ミーンミーンと鳴く蝉の音も車のエンジン音ももう何も聞こえなくなっていた。ずっと真っ直ぐ二人の目を見ていた。


 するとおじいちゃんはゆっくり立ち上がった。立ち上がったおじいちゃんは想像以上に身長が高くて僕よりやや低い程度の高さがあった。腰は少し曲がっており、腰をポンポンと叩きながら僕たちの方へ歩いてくると、まるで孫を見るかのような優しい顔で僕たちの頭に手をのせた。


「よーしよしよし、よお頑張ったぞお~」と言いながら僕たちの髪の毛をクシャクシャと撫でる。おじいちゃんは僕たちの人生なんて知ってるはずないのにまるで全部見てきたかのように、そしてその今までの人生を肯定するかのように頭を撫でた。


 それが心地よくて、胸がジワッと熱くなって、また涙が出てくる。隣にいるゆりも同じようで鼻をすする音が聞こえてくる。





 おじいちゃんは僕たちをグッと抱きかかえた。



「なぁお前ら。お前らのいう通り、人間は孤独や。いつまでも孤独や。でもな、アンタらが気づいてない大事な事がもう一つある。な?よお聞けよ?人間は孤独やけど、でも寄り添うことはできるねん。孤独やけど、一人では生きていけれへん生き物やねん。なんか怖いもんに立ち向かうとき、いつだって物語の主人公は仲間を引き連れてるやろ?一緒や。アンタらには随分寄り添える相手おるんやろ?ほんで支えてくれる厳ついヤツもおる。ほんでおっちゃんもおる。大丈夫。アンタらは独りやけど一人やない。ちゃあんとおっちゃんらがおる。頼れる相棒もおる。やねんからせっかくの人生楽しむんや。いつ死んでもおかしない世界やねんから、今のうちに人生楽しんだるんや。仲間がおるねん。なんも怖いもんないやろ?大丈夫や。大丈夫やなくても言うたる。お前らは、大丈夫や。絶対大丈夫や。」




「っっ……はい…はい…っ、っ…」




  足からガクガクと崩れ落ちた。嗚咽が漏れる。




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