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OneLoser(ワンルーザー)  作者: kíséri/キセリ
The first series:「ぼくのうた」
14/45

孤独と味方

 プツッ


 ゆっくり目を開けるとそこにはゆりがいた。辺りは緑で囲まれていた。


 ...戻ってきたようだった。






「............ゆり、」


「...あー見終わった?」


「まって、どういう、」


「...はは、まぁ、どういうことだろうね?」


「まって、ゆり、」


「...はいはい、落ち着いて〜?」






 まさかの最後のシーンはあそこで終わってしまった。

 ようやく声が出せるようになったのに、上手く声が出せない。




 ゆりが、ゆりがとても辛そうに、泣いてたのに、




「...律、聞いて。俺だってね、全然強くないよ。見たでしょ?」




 彼は悲しそうに微笑みながら僕の目をしっかり見た。





「あれが俺だよ。弱っちいんだよ。律が思う凄い人なんかじゃないよ。でもね、律。俺、よわっちいけどさ、律見てるともうちょっと頑張ろうって思うんだよ。なんでだろうね、なんか要領悪くても、でも頑張ってることが伝わってくるからかな。俺も頑張ろうって思うんだよ。羨ましくなったりもするけど、でもそれは律有りきなんだよ。俺は律無しじゃ頑張れない。」




「…僕は、そんなにすごくないよ、僕見て頑張ろうなんて、そんなの出来る人じゃないよ、」




 そう言った途端、あることに気がついた。そしてゆりの腰にもう一度腕を回した。今度はちゃんとあったかい。


 そうか、そうだったんだ。




 僕たち人間は永遠に孤独な存在なんだ。どんなに仲が良くても、それが家族でも兄弟でも、心の底は何を考えてるか分からない。分かりようがない。どんなに頑張って伝えたとしても、“言葉”を介した瞬間それはその人のフィルターにかかって伝わる。自分の思った通りに伝わることなんてない。だから人間って、僕も、ゆりだってめちゃくちゃ孤独なんだ。





 僕だけじゃなかったんだ。



 この疎外感は僕だけじゃなかったんだ。






 みんな同じように孤独を感じてる。







 でもそれを僕は、僕たちは分かっていなかった。

 自分だけが疎外感を感じていて、自分だけが孤独なんだと思っていた。


 だからずっと他人が羨ましかった。周りに人がいる他人が羨ましかった。


 でもその他人もとても孤独だったんだ。みんな孤独だから孤独ではなさそうな人を見ては羨んでいた。

 でも違う、僕たち人間は等しく孤独だったんだ。





 自分のことをわかってくれる人なんて自分以外いないんだ。なのに人間は誰かに分かってもらおうとする。そうやって僕は苦しんでいたんだ。


 でも違った。僕たちの最大の味方は自分自身だけだ。



 他人ではない。



 なのにそれを誰かに託そうとするから苦しむんだ。そうか、僕らは等しく孤独で、最大の味方は自分なんだ…。






 それに気づいた瞬間、緑と赤のこの世界がフェードアウトし、あのおじいちゃんにであった交差点がフェードインしてきた。


 今までの景色や音とは別世界で、車や人の声、信号の音も目に入る色もうるさい。すごく長い時間あそこにいたような感覚があり、このうるさい世界も懐かしく思うと愛情がわいてくる。


 信号を渡った先にはマスターとおじいちゃんがいる。

 空を確認するとまだ赤くなる前で、そんなにも時間は経っていないことを確認した。なぜか手をつないでいた僕たちはどちらからともなく手を離すと、信号が青であることを確認して僕たちはマスターたちの元へと向かった。


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