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「フーラースーコー!」

 ドレスを着た女性が、大きな声で、老人に怒鳴りつけている。

「ひ、姫様……」

「わらわの軍隊が、壊滅したらしいではないか」

 ドレスを着た女性は、履いている高いヒールで、足元を何度も何度も踏みつけている。

「何十体と失ったそうではないか。あの兵士をまた一から作ろうとしたら数年はかかるぞ」

「ぐうの音も出ません」

「あぁ!?そんなぐうの音なんぞ聞きたくはないわ」

 ドレスを着た女性は、すわっている椅子を立ち上がって老人の方に向かっていった。そして、老人の前に立つと、その長いドレスの裾を両手で持って、回し蹴りをし、老人の頭にクリーンヒットした。

「ぐふっ」

 老人の男性は、大きく跳ね上がって絨毯に転がり落ちた。

「フラスコ様!」

 周りに立っていた、執事たちが大声で叫んだ。回し蹴りをくらった老人は、赤い絨毯の上にうつ伏せに倒れ、少しだけピクついている。老人に周りの若い執事たちが近寄って行った。

「皆の者!よく聞くが良い。この者のようになりたくなかったら、わらわの願いを聞くのじゃ!」

 ドレスを着た女性は、大きな声で周りの人間に聞こえるように行った。周りの執事たちは、体を一瞬ビクッとさせて、大きな声に驚きを隠せなかった。

「わらわの願いは、この世界の願いじゃ。わらわの願いを叶えるということは、世界の願いを叶えているということを理解しなさい!」


 執事たちが、姫に目をつけられないように忍者の如く老人に近づき、数人で老人を別室に運んだ。


 別室に着いて、老人をベットに寝かすな否や、周りに人間は老人を心配した。

「フラスコ様!」

 周りの若者たちに、老人の方からは返事はなかった。

「姫様はいつもこうだ。自分の願いを叶えない人間はすぐに自分の世界から消す」

 他の若者が言う。

「でも、姫様がいないとこの世界が終わってしまうのは事実だ」

「たしかに」

「いったいどうすれば良いのだ」

「ぐぬぬ」

 頭を抱えて、男たちはその場で立ちつくした。

「どこかに、この世界を変える人間が……」



 数日して、この老人は命を落とした。

 悲しみに包まれたが、姫は特に何も思っていなかった。

 彼女を心から愛し、そして成長を楽しみにしていた老人は、その自らが愛した人間の無慈悲な回し蹴りによって命を落としたのだった。

 

 

 


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