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男の子……いや、男は無言で僕らの方へと歩いてくる。ティムは、それに気がついていない。
そして、男は持っていた容れ物を、反対側の腕に付けているブレスレットにかざした。
すると、男の体を光が包んだかと思ったら、男は全身に特殊なアーマースーツとヘルメットを身にまとって現れた。
「ティム!後ろからも変な奴が現れた!」
僕が声を上げると、ティムは振り向き、目の前に現れた人物を見た。
「なんだあれは……もう……わけがわからんぞ!」
ティムはお手上げといった様子だ。
実際のところ、前方から現れた気色のわるい生命体で手一杯だというのに、後方からも変態スーツを全身に身にまとった奴が現れこちらを攻撃すると思ったら、僕も正直なところお手上げである。
「ティム、こっちにくるよ!」
案の定、後方にいたアーマースーツは歩き始めてからしばらくして、走り始めた。
こちらに向かい、そして、僕らに攻撃をするかと思ったが、そのまま通りぬけて、前方の気色の悪い生命体の方へと走っていった。
僕らは何が起こったのか理解ができなかったが、男はそのまま正面に走っていったのである。
ここからは、その男の独壇場だった。
50体ほどいたはずの生命体が、あれよあれよという間に可愛らしい声をあげながら絶命し、散りとなっていった。
男は、パンチやキックをテンポよく繰り出し、謎の武器も駆使して敵の攻撃をかわしながら攻撃していた。その身のこなしは、人間業ではあるものの、かなり鍛え上げられた動きであった。今の僕には到底真似のできない芸当である。
男は、ブレスレットをこすり、変身を解いて僕らの方へと歩いてきた。
「怪我はないかい?」
僕らは、あっけにとられていた。さきほどまでの表情とは一変して、柔和な表情を浮かべて男は向かってきた。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
僕は、軽く会釈をして礼を述べた。ティムは警戒しているようで、特になにもしゃべらなかった(そもそも、その男からは、霧の下にティムがいるため、見えていないのかもしれないが)
「ところで、君は何をしているの?」
「ちょっと、旅をしてまして……」
「そうか……困ったなぁ」
男は、頭をぽりぽりと掻きながら困った表情をしている。
「どうかしたんですか」
「ちょっとね。トイレで用を足していたら、急にこんな場所に来ちゃって。大事な用事があったのに」
「トイレ?」
「コンビニのトイレだよ」
僕は、彼の発した言葉に耳を疑った。まさか、僕以外にコンビニのトイレからこの世界にやってくる人間が現れるなんてことが……




