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僕らは、管理棟のような場所から出て、そのまま北を目指した。
僕が彼らから離れていた数十分間の出来事はとても内容の濃いものであった。それを聞いたティムとユキは開いた口がふさがらないと言った表情をしていた。
「そんな気持ち悪い生物がこの世にいるとは思わなかったわ。目の前に現れたのはまぼろしではなかったのね」
ユキは、残念そうな口調で言った。
周りに茂る木々も次第に見当たらなくなっていった。
どうやら、さきほどまでいた場所から離れたようだった。
木々に変わって、僕の周りには線路のようなものが無数に設置されている場所が現れ始めた。
「これは、何かしら?」
ユキは、線路を始めて見るようだった。僕は、もちろん初めてではない。むしろ憎くてしかたのない存在である。その線路の上に存在する物体が……
僕らは、歩き始めてしばらくして大きな倉庫の中に入った。少々歩きつかれたので休憩しようということだった。
特に寒くもなく、暑くもなかったから快適な場所であった。大きな倉庫のくせに、特に中には何もなかった。電車でも格納されているのかと思ったが、中には電車はなく、大量の木箱があるだけであった。
「私たちって……何をしに来ていたんだっけ」
ユキは、僕らに問いかけた。
「たしか、突然現れた煙の正体を追ってあの団地区域を飛び出したんじゃなかったけ」
僕は答えた。
「それが、近くどころか遠ざかっているかもしれない。むしろここはどこだよ」
ティムは、目の前の木箱の上に飛び乗った。
「帰ろうにもあの化け物たちがうろついているかもしれないし」
「あれくらい、僕が倒せるよ」
「いいや。もう君は、限界のはずだ。足がふらついている」
ティムにはバレていたようだ。僕の体力は限界に近かった。あの剣を振る体力はもう残っていない。
「今日は、ここで野宿をしてまた明日考えよう。ここを出て先に進むか。それとも元の場所に戻るのか」
気がつくと、日は暮れ、あたりは真っ暗になっていた。
一酸化炭素中毒が気になるから焚き火をするかどうか迷ったが、ユキが「換気すれば大丈夫」と言い、2階にある倉庫の窓を開けてくれた。そして、ユキが、窓を開ける帰りにあたりを見回り、毛布を見つけてきてくれた。木箱の中に入っていたということだから、きっと何かの商品だったにちがいない。確かに、なんだか新品の香りがした。
僕は、毛布にくるまりながら焚き火を見つめ続けた。
そして、僕は気がつくと意識を失ってしまった……
タキシードを着た老いた男性が、美しい女性の横に立っていた。
「何か、お気にめさないことでもありましたかな」
老いた男性は、目の間にいる女性のご機嫌を伺った。
「解せぬ。解せぬ!どうして、わらわのテリトリーに人間ごときが入るのじゃ!」
足で床を何度も何度も激しく叩いている。どうやら、ご機嫌は最悪のようだった。
「姫様。人間というのはそういう無礼な生き物なのです。どうかご機嫌を取り直してくださいませ」
「知らぬ!わらわはあの生き物を駆逐しないと気が済まない!さっさと兵士を派遣して、抹殺してくるのじゃ」
老いた男性の胸ぐらを掴んで、姫は言った。
「わらわの、最強の兵士。インセクトの力、人間どもに思いしらしてやる……!」
真夜中のお城のような場所で、高笑いが響いたのだった。
そして、老いた召使いの老人は、姫の言われるままに兵士たちのいる部屋に向かった。
電子ロックを、指紋認証で解除すると中にはたくさんのカプセルが置いてあった。大量の水が入ったそのカプセルの中には、筋肉質な体で、昆虫のような頭をつけた物体が浮いていた。
「フラスコ様」
後ろから、白い白衣を着た男性が現れた。
「どうした」
「準備は完了しております。今すぐにでも出撃ができます」
白衣の男性は、胸に手を当て、力強く返事をした。
「そうか……。しかし、ここ最近の出撃が多すぎるではないか……兵士だって、一度出撃すると大半は理性を失って、ここには帰ってこない。もうそろそろ兵士だって当初の半分以下になっている。姫様のご機嫌も悪いし……。私は一体どうすれば……」
「フラスコ様、お気を確かに」
「うむ」
フラスコは、気を取り直して、カプセルを出発する準備し始めた。
しばらくして、カプセルの出発の準備が整った。
現地までのカプセルの搬入はいたってシンプルである。
飛行機に積んで、空から落とす。それだけである。
空から、大量の水とともにインセクトが野に放たれる。彼らは、衝撃に強く、ある程度の高さから地面に飛び降りたとしてもその強靭な脚力で、平気に着地してしまうのである。
「では、出撃!」
老いた老人が声高らかに出撃を命じた。暗闇の中に、飛行機は飛び立っていった。
彼らが着く頃には朝になっているだろう。と心の中で思うのであった。




