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 ティムとユキは地面に垂れている赤い血を辿って進んだ。この赤い血の先にカクがいるかもしれないと思うのであった。


「大丈夫か!しっかりしろ!」

 僕は、大きな声で僕の後ろにいる男に話しかけた。

「だ、大丈夫だ」

 男は、右腕から大量の出血をしていた。腕を伝って手の辺りまで血が流れ、そこからポタポタと地面に垂れている。

 僕がこの男の前に現れた時は、男はよく分からない物体に囲まれていた。



 二つの別れ道で、僕は来た道とは逆の道を選択した。僕は、生い繁る草木をかき分けて道を進んだ。

 すると、聞いたこともないような鳴き声が聞こえてきた。恐る恐る声の聞こえるほうへと進んでいくと、気色悪い生物が三体おり、何かを囲んでいた。

 僕は、その現場を遠くから覗き込んでみると、気色の悪い物体は、一人の男を囲んでいた。

 首から下は、筋肉質な人間のボディで、頭は昆虫の頭ような物体がくっついている。人間ではないはずであるが、名称が思いつかない。とにかく、気持ちの悪い敵が僕の前にいた。

 男は、僕の存在に気づいたらしく大きな声で、僕に助けを求めた。男が「助けてくれ」と大きな声を出したせいで、その三体は僕の方を一斉に見た。

 僕は、肩からかけていた武器をつかみ相手の出方を伺った。

「シャァアアア」

 三体のうち一体が不気味な奇声を発した。しかし、僕はそれに動じなかった。すると一体が僕の方へと向かってきた。僕は、武器を手に取り、迎撃体制を取った。


 僕の武器は前と違う。ユキが大きくしてくれたカッターナイフは、切れ味が全くない巨大なハンマーみたいなものであった。このままの仕様では、いざという時に自分を守れない恐れがあると思い、僕は武器を改造した。

 カッターの最終系は、切れる細い刀身が現れる仕様だったから、それを常時維持できるようにカスタマイズした。ユキが大きくしたことによって、どうしてそんな仕様になったのかは分からないのだけれど。そして、元々の大きい部分はその細身の剣の鞘とした。


 目の前から、その物体が飛び上がり襲いかかった。

 上空から爪で僕を引っかこうするが、僕は刀でそれをはじき返す。

 物体は、地面に手をつき、中腰の体制になったかと思えば、素早い動きで僕の方へジグザグに向かってきた。

 僕は、地面に落とした剣の鞘を手に取った。

 僕の右側から爪が出てくる。僕は、鞘でガード、そのまま相手の爪を弾いて、剣を物体に突き刺した。緑の液体が一気に噴き出し、僕はそれを浴びた。無味無臭であるが、液体の色は緑である。気色悪いことこの上なかった。

「グェ」

 見た目及びその生物の最後とは思えないような可愛らしい声を出した。そして、剣を抜くと物体は地面に倒れ込み、灰となった。消えゆく仲間のその姿を見た他の2体は、危険を察したのかその場から姿を消した。


 自らの危険がなくなったことを感じた男が、僕の方へと向かってきた。

「ありがとう!助かったよ。君、強いね」

 男は、笑顔で僕に言った。僕は「とんでもない」と挨拶を返した。

「あなたは、どこから来たんですか」

 僕は、率直な質問をした。

「僕は、この先にあるちょっとして集落的な場所から来た。ほとんど何もない。寝る場所と、荒れ果てたスーパーくらいだ。食料もこうして遠くに行かないと取れない」

 男は、両手を上げて言った。なんだか、アメリカ映画に出てくる諦めたようなモブキャラみたいな仕草である。

「君は?」

 男は、僕の目を見つめている。もしかしたら、僕のような人間を見るのは久しぶりなのかもしれない。

「僕は、向こうのほうの村から」

「そうか」

「そういえば、さっきの物体はなんなんですか。あれは生き物ですか」

 僕は、一度ゾンビと対峙しているせいか、特段不思議な形をした物体が現れても恐れをなさない特性がついたようだ。

「あいつか。あいつは……」

 男が喋ろうとした瞬間だった。

 森の茂みの中から、さっきの気色の悪い物体が一匹飛び出してきた。そして、その右手の鋭利な爪で男の腕を引き裂いた。男の悲鳴とともに、腕から血が流れ出た。

 僕は、その気色の悪い物体を剣で切り捨てた。すると、またしても可愛らしい断末魔とともに灰となった。

「逃げよう」

 僕は、男に肩を貸して、施設の奥へと進んでいった。


 

「ユキ」

 ティムは、ユキに話しかけた。

「何?」

「これを見ろ」

 ティムは、目配せをしてユキに伝えた。

「これは……灰?」

「ああ、灰だ。しかし、どうしてこんなところに灰があるんだ」

 ユキは、その灰を指ですくってみた。灰は人差し指に乗りはするものの、サラサラと地面にこぼれ落ちていった。血痕は未だに続いている。さっき、大量の血が流れたであろう血痕を見たがカクは大丈夫なのだろうかとユキは思った。

「ねぇ、ティム。平気だよね?」

「うーん……多分」

「多分て何よ!」

 ユキは、ティムの尻尾をつかむ。ティムは、気持ちわるかったのか,少し暴れて尻尾をつかむのをやめさせた。



 

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