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僕は、目をさますと高層ビル群の真ん中にいた。
歩行者用の信号機が、青になっていることことを知らせる電子音がテンポ良くなっている。
それになんだか蒸し暑い。セミの鳴き声も聞こえる。目の前のアスファルトが熱波で波打っていた。
僕は、歩行者信号機の青色をずっと見ながら横断歩道の真ん中に突っ立ていた。
ここはどこだろうか。僕は、異世界に居たはずである。トイレから渡った先は、何も無い荒野だった気がする。その荒野から自転車をこぎ、人の言葉をしゃべる黒猫に会った。黒猫に案内されるがままについていくと、今度はメガネをかけたかわいらしい女の子に出会った。女の子と黒猫のお願いを聞いて、僕は図書館へと向かった。図書館へ向かう道中、チンピラに襲われて、それなりにひどい怪我をしてしまった。目をさますと図書館についていた。その図書館で、雪と一緒に写真集を見た。名前はなんだっただろうか。ジョンなんとか。そう、ジョンなんとかという写真家が撮った写真集だ。
僕は、その写真家が撮った風景写真に似ていると思った。でも、これは僕のいる国の1日のうちのある時間帯だ。見たことがあるはずない。
僕は、目の前の信号機が点滅していることに気がついて慌てて走り、横断歩道を渡った。
しかし、やたらと暑い。汗が、自分の意思とは無関係に身体中から流れ出る。気がつけば、背中は汗でぐっちょりしていた。僕は、異世界から戻ってきたようだ。
お母さんは心配しているだろうか。僕が異世界に渡ったときは春だった気がするから、3ヶ月から4ヶ月は経過していることになる。捜索願いとか出していないで欲しいなと思った。
異世界への扉の入口がトイレならば、出口は横断歩道ということか。横断歩道を渡りきった先に、現実世界が待っている。僕らは、現実世界を目指して毎日横断歩道を渡っているのかもしれない。
この蒸し暑い空気に僕は嫌気がさして、アイスが猛烈食べたくなった。
アイスを食べるには抜群の季節である。溶けてアスファルトに落ちてしまいそうなソーダ味のアイスキャンディーをぺろぺろしてやるのである。僕は、早速コンビニに向かった。
都会の一等地ともなれば、コンビニなど歩いて1分圏内に3つはある。ドミナント戦略とかを通り越している。どうしてあんなに同じ店舗が近所にあって、一つも潰れないのか僕には不思議であった。
僕はビルの1階のテナントに入っているコンビニに入った。
店内はとても涼しかった。あまりの涼しさにアイスを買うのをやめようかと思うレベルであった。
僕は、他の商品に目もくれずにアイス売り場へとスタスタと歩いていった。
定番のソーダアイスキャンディーから、高級アイスクリームといった幅広いジャンルのアイスが、冷蔵ケースに所狭しと並んでした。
どれも美味しそうである。僕は、よだれが垂れそうである。
僕は、ソーダキャンディーを手に取った。財布をポケットから取り出して、レジに向かった。
「いらっしゃいませ」
30代くらいの主婦のおばちゃんが声を出して僕をレジに向かい入れた。
「65円になります」
僕は、財布の小銭いれのチャックを開けて、70円を取り出してレジに置いた。
「70円お預かりいたします」
女性が、年齢ボタンを押すとドロワーが開き、お釣りの五円玉をテンポ良く右手ですくった。
「5円のお返しです」
僕は、5円玉を受け取った。
「ありがとうござぁいましたぁ〜」
僕は、テープの貼られたソーダアイスキャンディーを手に取って店を出た。
僕は、店を出て早速、封を開けて、ソーダアイスキャンディーを口に入れた。
冷たい。そして、甘い。
しばらく食べたあと、僕は一回口から出して、ソーダアイスキャンディーが付いている棒を見た。
そこには、薄く「当たり」と印字されていた。僕は、小さくガッツポーズをし、食べ終わったらすぐに二個目を買おうと思った。
僕は、食べ終わったアイスの棒を片手に、二軒目のコンビニ前に立った。
「いらっしゃいまっせぇー」
今度は、ずいぶんとドスのきいた声で僕は迎えられた。
僕は、店内に入ると冷房の効き具合と、さきほどまで食べていたアイスの影響で急激にお腹が痛くなった。
僕は、トイレを借りますと店員さんに断ってからトイレにむかった。
「うぃす」
僕は、トイレに走った。
トイレの横に引くタイプのバリアフリーな扉を開けて、僕はすぐさまズボンを下ろした。
僕の腸から何かが出る気配はない。しかし、お腹は痛かった。
僕はあまりの痛さに声が少しだけ出てしまった。
腸から何か出たかわからなかったが、僕はとりあえず水の流れるボタンを押した。
すると、目の前の扉がせり上がって何かが出てきた。それは、僕には宇宙戦艦のコクピットのようなものに見えた。
「イドウシマス」
どこからともなく、アナウンスが流れた。
そして、僕はお腹の痛さで気を失った。
「起きろっ!」
僕を誰かが起こした。
「起きろっ!」
誰かが僕を叩いている。
僕は、目を開けた。目の前には、ユキが枕を持って僕を叩いていたのだった。




