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カッターの切れ目のような部分が、丁度、メーターのように見える。
メーターが、徐々にオレンジ色に染まっていき、最終的には刃部分が綺麗なオレンジ色に染まった。
僕は、勢いよく、柄にあるボタンを押した。
「うわぁ」
僕は、思わず声を出した。
先ほどまでのサイズと比べて、また倍以上の大きさになったのである。
「名付けて、ビックスイッチ」
何のひねりもないネーミングを、ユキはつぶやいた。しかし、当の武器を持っている僕はあまりの重量の変化に苦戦していた。かなり、重くなったのである。前までは、500ミリリットルのペットボトルに水が満タンに入っている重さくらい(つまり0.5Kg)だったのに、今は2リットルくらいのペットボトル満タンの水くらいの重さがあった。(2kgの物を持つのは容易でもぶんぶんと振り回すのは難しいと言える)
「ユキ、ちょっと、重すぎるよ」
「男なんだからしっかりしなさい!」
僕と彼女が痴話喧嘩のようなトークをしているのを、山賊は口を開いて眺めていた。次第に、地面を足でいじり始め、野球のピッチャーマンウンドを整備するかのように綺麗にし始めていた。
「とにかく、それを振り回すのよ。そうすれば、きっとあなたは勝てるわ。私を信じて」
ユキは真剣な目をして言う。
「わ、わかったよ。君を、信じよう」
僕は彼女の言うことを信じることにした。
「おや、ようやく夫婦漫才は終わったのか」
ニヤニヤとした表情を浮かべて、山賊の相方が僕の方へとやってきた。
推定190センチくらいの大柄な男で、手にはこんぼうのようなものを持っている。(きっと、お手製の武器である)ガニ股で、ずんずんと僕の方へと歩いてくる。利き手であろう右手をブンブンとぶん回していた。
「悪いがお金だけ落として街に帰りなッ!」
男は、お手製の自慢のこんぼうを振りかざし、僕の脳天めがけて振り落とした。
僕は、落ちてくるこんぼうを持っていた武器を持ち上げて、ガードをした。しかし、男はガードをするのは見越しており、そのまま回し蹴りを僕の脇腹にかました。僕は、そのまま横に吹っ飛ばされた。
「はっははは。もっと歯ごたえのあるやつかと思ってたのによぉ!いきなり武器が巨大化するからびっくりはしたが、こんなお雑魚ちゃんだったとはなぁ」
男は、大声で僕に向かって罵声を浴びせている。僕は蹴られた衝撃が全身に走り、あまりの痛みに気を失いそうになる。幸い、日頃から牛乳を飲んでいたせいか、骨は折れていなさそうだ。
僕は、巨刀を杖代わりにし、震える足をごまかしながらなんとか立った。
「ほぉ。まだやるのか」
山賊は笑っている。なんとか立ったのは良いものの、僕の意識は消えそうになっていた。
そういえば、ユキはどこに行ったのだろう。たぶん、近くにいるはずだ。ユキは無事に逃げてくれるといいと願うばかりだ。
変な世界に突然コンビニのトイレからワープして、結果がこれとはなんともお粗末な結果である。世界が消えてしまうのならば、世界が消える前に僕が消えればよいということなのか。ネガティブな感情が一気に僕の頭の中をかけめぐった。そして、僕は大きな声で吠えた。突然の大声に、「何事か」と言わんばかりに、目の前の山賊が僕の方を見る。
何かを言って、こちらに向かってくる男は、相変わらずニヤニヤとしている。
「この汚いクズ野郎」
僕は、武器を一回転させて刀を地面に突き刺した。
そして、もう一度武器の柄のスイッチを押した。
すると、武器は分解され、細い剣が中から現れた。無意識に僕はそれを握った。




