3- 試験
「ひさしぶりの感覚だなぁこんなの」
「師匠が楽しんでくれて良かったです」
「師匠?」
「教えてくれる先生だから師匠。 ダメですか?」
「――悪い気はしない。 それじゃあ師匠から弟子に最初の試練を与えよう」
「ありがとうございます!」
神様の機嫌も取れて何よりです。
「それじゃ、最初の試練。 ここから出ること。」
「――しょっぱなから無理難題ですね!」
どうやって出ろと。
ここには逃げるように飛び込んだというのに。
「そうでもないよ? ここ元は私の部屋だし。 ストスが来た時にいろんなものが破壊されたから【大地創造機】が元々置いてあったこの場所しか残ってないけどね」
「つまりどこかに出る道があるってことですか?」
「ま、そういうことだね。 頑張って探してね。 期待してるから」
「わかりました!」
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と、言われたもののどうやって探そうか……
も僕がすごい大事なものを置くとすれば王座みたいに置いておきたいな……
とりあえずは神様の対角を探して……
「――結構早かったね、バルク」
岩石のドーム、具体的には神様が封印された場所の対角地点に小さな金属板と鍵穴があった。
普通の鍵穴なら時間をかければ解除できると思うんだが……
「師匠、もしかしてこれただの鍵じゃないですね!?」
「ご名答。 確か名前は……神器【隔離せし空間】」
「神器……こんなものにも使われてるんですか」
人の基準からすれば神様の道具を家の鍵に使うとか本当に無駄使いなんだけど……
「ま、神様の部屋だからね。 頑張って突破してみ?」
「と言われても神器の対応方法なんて……」
いや、師匠が試練として出してくれたんだ。
つまり僕でも突破できる難易度のはず……
「とりあえずは鍵だね」
カバンから作成するための道具を取り出し、師匠から完全にゴミと言われたものを使って鍵のようなものを作る。
神器と言うなら少しでもそれっぽく。
せめて見た目ぐらいは……
「『創造神エルガの名において、この武具の力を解放せん』」
鍵の形に変えている途中だというのに師匠から解放の呪文が飛んでくる。
その瞬間、棒が光り輝き、棒の表面上に複雑な幾何学模様が現れる。
「おめでとう。 第一試練突破だよ。 刺してみて」
「わ、わかった」
僕は恐る恐る鍵を鍵穴に突き刺す。
普段の僕が作った鍵だったらこのまま中で折れてしまう……
鍵が回った。
回ると同時に金属板が複雑に展開していたそのものがドアノブになった。
「――そういえば何で神器で神器の扉が開くんです? 人の道具ならわかりますが……」
「神器の力って願いの力とそれを作った神の力によって決まる、神の力は私だから最上に近い。 それよりも大事なのは願いの力。 神って基本的に何でもできるからさ、願いの力が薄いの。 でも人間は違う。 人間が生物の中で一番願いの力が強い」
「だから名前なしの神器でも開くんですか」
「そう。 でも代償はあるけどね」
ドアノブを見ると鍵に書かれてる幾何学模様が消えている。
使い捨てというわけか。
「あ、何万年も掃除してないから結構汚いかも」
「げっほ、げっほ! 汚いというか砂場ですか!?」
扉を開けた後に流れ込んでくる砂の山、広さは結構あるけどそれを埋め尽くすというのは中々だ
「で、この後は?」
「――確か部屋の中に神器【水実る種】があったはずなんだけど……ごめん、どんなものか忘れた」
「――え? この砂の中から姿形も分からないものを探せと!?」
「――第二試練。 どんな方法を使ってもいいからそれを探し出して」
「――ハイ、師匠」
無茶がある……
とりあえず砂を避けていくが……
――無謀すぎる。
「ストスの奴結構派手に神器壊したな……あ、【暗闇を見る眼鏡】の残骸だ」
「このレンズがですか?」
砂の中にあった2枚のレンズ。
どうやらこれが【暗闇を見る眼鏡】という神器の部品らしい。
「――除覗いても何も効果ありません……そうだ、これ使っていいですか? 師匠」
「いいよ、別に。 探す方法は問わないし」
「わかりました」
確か師匠は願いの力が神器の力になるって……
それなら!
ひたすらにそのことだけを考えて鉄をたたく。
作るのはレンズをはめるフレームだ。
「師匠! これの神器化を!」
「――正解。 しかも飲み込みも早い」
眼鏡のレンズに幾何学模様が走り魔法陣が浮かび上がる。
「――あの鍵とは雰囲気が違う?」
「神器【物を探す眼鏡】って言ったところかな。 名入りおめでとう」
モノクルをかけて神器【水実る種】の場所を願う。
しばらくすると部屋の隅っが1つの鉢植えの形に黄色く光り輝く。
「師匠! これですか!」
「あーそれだ」
鉢植えに生えた水色の菜の花に付いた実を潰す。
潰した瞬間あふれ出るきれいな水。
そして即座に再生する菜の花の実。
流石は神器。
「これで水は何とかなりましたが……食べ物は」
「部屋に武器があったはず。 それを探して……生きて帰ってきて。 それが最終試練」
「――はい、師匠」
スタートラインに立て。
改めて思う、ここからは出られない。
というか出たくない。
出ないならば極めるだけだ、人知を超えた道具、神器を。
師匠と共に。
少しでも
「つづきはよ」
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