2ー エルガ
「創造神……?」
母から世界中の神様のことは耳が痛くなるほど聞かされている。
だけどエルガという名前は1回も聞いたことが無い。
「そ、創造神。 まぁでも人間の歴史には乗らないかな? 多分消されてる。大体3万年前だったかな? 鍛冶神ストスに封印されたの。 「俺の天下にお前はいらない」って急に来てね? 何の嫌味かここに封印したの」
「嫌味?」
「そう、嫌味。 私の最高傑作 超神器【大地創造機】を私の封印の魔力源にされたの。 ここって火山でしょ?」
「うん……ここは火山だけど……」
「超神器【大地創造機】は火山を作り出して鉱石や生命を生み出すの。 火山から生み出される魔力で【大地創造機】を動かしてその余りを私の封印に使う……結構頑張って作ったんだけどね? 今はもうストスの便利道具にされちゃった、私込みで…… ――私が傲慢だったのかな。 もう少しおしとやかに生きてれば封印されるなんてことは無かったのかな。 いや、私が超神器【大地創造機】なんてものを作らなければ良かったのかなぁ……」
「……」
言葉が出ない。
まず年月の想像が付かないし、第一僕らボルカン一家があがめている鍛冶神ストスが創造神エルガにとっては敵だって。
少なくともすぐに答えが出るようなものでは無い。
「あ、ごめんごめん、辛気臭くなっちゃったね。 そのリンゴは食べてもいいよ。 私が封印される時にストスが置いていった私の一番好きなリンゴだけど、食べられないし」
3万年前のリンゴだろうけど神様のリンゴなら大丈夫……か……な?
神様がいいって言うならいいのかもしれない。
「――わかった」
カバンから自分の作ったナイフを取り出してリンゴを切る。
例えゴミでも金属板並みのことはできる。
「――甘い」
「でしょ? ストスの奴地味に私の好みわかってるのが腹立つんだよね……」
「――そうだ」
半分だけ食べた後、僕はエルガに近づく。
元々エルガの物という話だし、半分くらいは……
「駄目! 近づかないで!」
エルガの叫びが聞こえたころにはもう遅かった。
ドォンという音とともに腕がはじかれてしまう。
「――大丈夫?」
「これが封印?」
今までは透明だったが触れた場所に虹色の膜がかかっている。
父の魔道具の【結界鍵】の結界とは完全に違う異質のエネルギー、やっぱり神の作った代物なんだ。
「そう。 だから残りは自分で食べなよ」
「わかった」
何でか知らないけどこのリンゴを食べると力が湧いてくる。
少なくとも3日は持つ気がする。
「でも3日か……何とかしないと……」
水は無い、食料も無い。
ここにいても死ぬだけだ。
だけどもう出れるとは考えていない。
出口が分からないのもそうだしあの化け物に殺される未来が見える。
「――そういえばさ、何でここにあなたが来たの? そういえば名前は?」
「――聞いてくれます?」
創造神というくらいだ。
もしかしたらすごい伝説の武具の作り方とか知ってるかもしれないし。
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「――バルクも大変なんだねぇ。 因みに私が作れるのは神器だけだから人には作れないかな」
「そっか……ごめん」
リンゴを切ったゴミナイフを片付けようとした時だった。
「――ごめん、前言撤回。 それ何?」
「何って、ゴミだよ。 さっき話したでしょ? 僕はゴミしか作れないんだ」
「それを私の前に構えてくれない?」
「こう?」
僕は封印ではじかれるかどうかのギリギリの場所でナイフを向ける。
「『創造神エルガの名において、この武具の力を解放せん』」
エルガがそういった瞬間のことだった。
「何で光って……!?」
「――まだこのくらいの力なら使えるみたいでよかった」
「何をしたの?」
「その武器の力を解放したの。 何万年ぶりかに面白くなりそう」
光ったナイフでリンゴの芯に軽く刃を当ててみる。
「――何で……切れるの」
切れた。
今までにないくらいにすっぱりと。
まさかだと思った。
神様の言い分から考えると……
「あなたは人間にして神器をつくれる存在。 むしろ神器以外は作れないのに人間だからその力を解放できないの」
「もしかして、これらも!?」
カバンの中身を全て神様の前に広げる。
もしかしたら、もしかするかもしれない。
「――流石に全部が神器化できるわけじゃない。 何個かは本当にゴミ。 でもすごいよ」
流石に思い通りにはいかなかった。
でもこの神様なら……
「――神様」
「何? 改まって」
「僕に神器を教えてください。 僕に、素晴らしい神器を作る術を!」
この神様の下で研鑽を積めば俺はどれほどの物を作れるか……
そして神器ならば父上の最高傑作【万物を切断する剣】を超えられるかもしれない。
「うん、いいよ別に。 でも大丈夫?」
この日から僕の神器への研鑽が始ま……
「大丈夫って?」
「食べ物とお水。 人だから死ぬでしょ」
「――そうだった!」
らなかった。
とりあえずはそこか。
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